G20ビジネス・サミット
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ご列席のCEOの皆様、 本日は、世界経済を牽引されている皆様とお会いでき光栄に思います。この機会に、今回のG20首脳会議に臨む私の考え方を、本日のテーマであります貿易の再活性化に則して述べさせていただきます。 貿易は、強くかつ持続的な成長のために不可欠であることは言うまでもありません。東アジア諸国の奇跡的な成長とその後のアジア通貨危機の克服がこのことを証明しております。歴史の中では、ご承知のとおり、1929年に発生した世界恐慌への対応において、各国は自国製品の販路拡大のためと思って、ブロック経済化を進めるとともに保護主義的措置の導入や競争的な通貨切り下げを行い、自国経済の浮揚を企図しました。しかし、現実には世界の貿易量はむしろ大幅に減少し、長期の恐慌に陥った歴史は皆の共有するところです。 2008年の世界経済危機においても、やはり貿易が受けた打撃は甚大であり、2009年の世界全体の貿易量は10%も縮小しました。しかし、1929年とは異なった動きがそれ以上の打撃を防ぎました。G20に集まった皆さんの叡智により保護主義の抑止という成果を達成しました。危機直後にワシントンで開催された初のサミットにおいて、保護主義抑止を宣言し、WTOなど国際機関に対し、監視を行うよう要請しました。第2回サミットでは、貿易金融の収縮に対応するため、2年間で2500億ドルが利用可能となるよう合意し、貿易金融を拡充してきました。これらの取組みは世界の市場に安心感を与え、貿易の回復に大きく貢献いたしました。貿易量は、危機発生からおよそ1年でほぼ危機前の水準をうまく回復し、世界経済は脆弱性を内包しつつも回復を続けています。
このように我々G20は、世界恐慌の再来という事態を回避し、貿易を回復に導くことができました。しかしながら、最近では、資源や食料分野を含め、貿易に新たな障壁を設けたり、輸出規制を課すなど、これまでのG20の成果に逆行するような動きも見られます。また、競争的通貨切り下げを危惧する声もあり、世界恐慌を想起させる動きが出てきています。
私はこのG20サミットの直後に開催されるAPEC首脳会議の議長を務めます。
皆様からは、 WTOドーハ・ラウンドの2011年中の妥結という提言もいただきました。交渉の妥結には、G20各国が、世界経済における地位に応じた責任を果たしていくことが重要であります。2011年という機会を逃せば交渉の更なる停滞を招く恐れがあります。ラウンドの早期妥結を実現するため、G20として交渉の終局に入る明確なコミットメントを示し、各国の交渉代表に実質的な交渉を行って最終合意案をまとめる政治的指示を与えることが重要であると考えます。このWTOドーハ・ラウンドが2011年に大きく進展するようにG20の皆様のご協力を得て、我々も含め、取り組まなければならないと思います。貿易・投資について、このG20の中で大きな成果を上げられることを祈念して私の発言とさせていただきます。 |