【菅総理冒頭発言】
参議院選挙が終わりまして、今日から臨時国会が始まりました。この機会に、私の方からこれまでの参議院の結果、更には政権交代から約1年間を振り返りながら、今後、菅政権として取り組んでいこうとしているその方向について、国民の皆さんに是非お話を聞いていただきたい。そういう思いで、この記者会見をセットさせていただきました。
まず、先の参議院選挙で御支援をいただいた多くの国民の皆さんに、心からお礼を申し上げます。民主党として参議院選挙の結果は、かなり厳しいものでありました。私の唐突と受け止められた消費税発言が大きく影響したものと思って反省をいたしております。
しかし、同時に財政再建という課題は、これはどなたが総理大臣であろうが、どの政党が政権を担当しようが、避けて通れない大きな課題でありますので、私もこれからも財政再建について、しっかりと取り組んでいきたい。改めてその決意を申し上げておきたいと思います。
政権交代から約1年が経過をいたしました。この1年で日本の政治は大きく変わりました。例えば私が14年前厚生大臣をやったころの閣議は、ほとんどの発言は事前に文書になっていて、各大臣がその文書を読み上げることで、閣議、閣僚懇が終了し、30分程度で終わるのが常でありました。しかし、今の閣議は、閣僚同士がかんかんがくがくの議論を交わすこともしばしばあり、時間が1時間を超えることもまれではありません。そしてその中で、実質的な内閣の方針が決まっているわけであります。
また、各省庁の在り方も大きく変わりました。かつては1人の大臣の周りに事務次官以下の多くの官僚が、その大臣を取り囲んで、すべてのお膳立てをした上で、最終的な判断を大臣にお願いするという形でありました。現在の各省庁は、大臣だけでなく、副大臣、政務官という政務三役のチームがその省の運営のリーダーシップを取っているわけであります。その上で、専門的な知識・経験を有する官僚の皆さんとの、ある意味での協力関係も次第にそれぞれの省庁で定着をしてきております。
更に私の内閣になって、改めて政調、政策調査会を復活させ、そして政調会長にお願いをした玄葉さんに、内閣の一員、大臣にもなっていただきました。これは、以前から私が構想として温めていた形でありまして、このことによって縦割りの役所の政策に対して、国民の声を直接聞く党の意見を持って、それに対して内閣との間での政策調整を行う。党と内閣の間での政策調整を、政調会長に行っていただく、このことがスタートしているところであります。
そういった意味で、官房長官に内閣の中での政策調整、党と内閣の間は政調会長、その上に総理大臣である私が位置することによって、最終的な政策判断は私の責任で行わせていただく、そういう体制がすでに動き出しているところであります。
また、国家戦略室については、総理に直接意見具申をするシンクタンクとしての機能を強化していただきました。これは、各省庁が総理大臣にいろいろな意見や情報を上げてくるときには、どうしてもその役所がやりたいことに沿った情報で、それと矛盾する情報はなかなか上がってきません。そういったことに対して、縦割りの役所とは違う立場から、総理大臣として知っておくべきこと、考えなければならないことを国家戦略室にしっかりと収集し、総理に伝達していただく。より重要な仕事をお願いをしているとこのように考えております。
さて、いよいよ本格的な予算編成の時期に差しかかってまいりました。昨年は、9月の政権交代、12月の予算編成でありましたので、大変時間的に制約がありましたが、今回はそういう意味では初めての本格的予算編成といっても、民主党にとってはそう言えると思います。
まずこの予算編成でやらなければならないことは、無駄の削減、その実行であります。この間、国民注視の下で行われた事業仕分けが大きな効果を発揮しておりますが、更に特別会計を含む事業仕分けにしっかりと取り組んでいただきたいとこのように思っております。
加えて、国会議員自身が身を切ることも必要だと思います。衆議院の定数を80、参議院の定数を40削減するというこの方針に沿って、8月中に党内の意見をとりまとめて欲しい、そして12月までには与野党で合意を図ってもらいたい。今日の朝、枝野幹事長と参議院の会長の輿石さんにそのことを指示をさせていただきました。
そして、予算編成では、雇用と成長を重視していきたいと思います。先日、都内で事業所が行っている保育園を視察してまいりました。「会社勤めの方が、会社のそばにある保育園に預けられるのは大変ありがたいけれども、本当は地域の中にそういうものがあって、会社が遅くなっても最後まで預かってもらえるところがあれば、本当はその方が望ましい。」と、こういう意見をお母さん方から聞きました。
また、働いておられる保育士さんからは、パートのような形で短い時間でも働きたいんだけれども、どうしても長時間の勤務だけの採用では働ける人が少なくなる。このような声も聞きました。
こういうニーズをしっかりとまとめて制度化すれば、働いているお母さん方にとっても、2人、3人という子どもさんを育てながら仕事ができますし、また、多くの資格を持って働いておられない保育士の皆さんにも雇用の機会が拡大します。つまりは雇用が拡大し、経済の成長にも資すると同時に、子育て、広い意味での社会保障の充実にもつながってくるわけであります。
同時に若い人たちの雇用の拡大、また介護や医療の分野のイノベーション。そして、環境の問題。こういった分野にも雇用の機会を多く見出すことができると思います。更には、今、大きなスピードで発展しているアジアの国々の成長をインフラの工事などのお手伝いなどを含めて、日本の成長につなげるための政策努力も全力を挙げてやっていきたい。このように考えているところであります。
更には、地方の疲弊というものが多く言われております。私は林業を再生することで、地方における雇用の拡大につなげていきたい。この数年間、林業の現場を数多く見てまいりました。今、日本の国土の7割は山に覆われておりますけれども、実は日本で使われている材木の8割までもが外国からの輸入である。この現実を御存じの方はそう多くないのではないでしょうか。なぜこんなことになっているのか。それは山の中にハーベスターといった機械を入れるための作業道がないために、私の見たドイツに比べて効率が10分の1から20分の1というそういう効率しか林業が上がっていないからであります。こういった地域に作業道をつくることは、地方において少なくなっている公共事業にある意味では代わる事業転換にもつながりますし、また、林業が再生されれば直接的な雇用だけではなく、そこで伐採された材木を加工するといった、そういう仕事も発生して、地方に地域に雇用が生まれることになるわけであります。
こういった中で今回の予算編成では、元気な日本を復活する特別枠というものを設けることにいたしました。そして、同時に政策コンテストも行うことにいたしました。つまりは国民の皆さんにいろいろな提案のある政策を提示して、どの政策が最も国民の皆さんにとって望ましいと思われますかと。そういった形での国民に開かれた政策決定、予算決定をトライしてみたい。このように考えているところであります。
さて、いよいよ今日から始まりました国会。参議院における与野党逆転。いわゆる、
ねじれ国会としてスタートいたしました。私はこのねじれ国会というのをマイナスとしてばかりとらえるのではなくて、与野党が合意しなければ法案が通らない、政策が実行できないということは、逆に言えば、与野党が合意する政策はかなり困難を伴う政策であっても、その実行が可能になると前向きに受け止めたいと思っております。
1998年、当時、自民党が参議院で過半数を失い、ねじれ国会となりました。その時には長銀、日債銀が破綻寸前の金融国会と言われた時であります。当時の野党であった民主党は、そうした事態に当たって、銀行の一時国有化を含む金融再生法を提案をいたしました。それに対して当時の小渕総理は、それを丸飲みする、その形で法案を成立させ、日本発金融恐慌をストップさせることができたわけであります。当時、私は民主党の代表でありました。そうした国難においては、政局よりも国民のまさに生活こそが重視されなければならない。こういう思いで政局を重視するのではなく、そうした国難を回避することを頭に入れて行動したつもりであります。
どうか野党の皆さんにもお願いをしたいと思います。今、日本が置かれている長期の経済の低迷、そして、膨大な財政赤字、そして、不安な社会保障の現状、いずれもそうした金融危機に勝るとも劣らない、大変な国難とも言える状況であります。どうか、野党の皆さんにも国民のために役立つ政策であれば、私たちも真摯に耳を傾け、謙虚にお話を聞いて、そして、合意ができたものはしっかりと取り組んでいきたいと、このように考えているところであります。
最後に、総理大臣に就任した直後の記者会見で、最小不幸社会という言葉を申し上げ、政治の役割は、そこにあるということを申し上げました。つまり、幸福には、個人個人いろいろな形があるから、これがあなたの幸福ですよと押し付けることを政治が行うべきではない。しかし、不幸になる原因、貧困とかあるいは暴力とか、そういうものから人々を守っていくこと、そのことが政治の役目であろうと、このことを申し上げたところであります。
近年、多くの人々が家族や地域や、場合によっては職場の仲間といった、そういうつながりが薄れて、孤立化し、幸せを感じることができない生活を送っておられます。そういう人たちだけが自由だとか、そういう社会であってはなりません。
そういった意味で、私は、すべての人々が居場所がある、出番のある社会を目指していきたいと、このように考えております。
そして、20年にもわたる日本の経済を含む低迷、閉塞感、これを打ち破るために、私自身、自分の持っているすべての力を発揮して、新しい日本の建設のために全力を挙げてまいりたいと、このように考えております。どうか、国民の皆さんの御理解と御支援を心からお願い申し上げ、記者会見冒頭のごあいさつとさせていただきます。
どうも、御清聴ありがとうございました。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、質疑に移ります。私の方から指名いたしますので、指名されたら、まず、所属と名前を名乗っていただいてから質問を行ってください。質問は、簡潔にお願いいたします。
それでは、質問のある方は挙手を、では、藤田さん。
(記者)
日本経済新聞の藤田です。昨日の民主党の両院議員総会で、9月に予定される民主党代表選に出馬される意向を示されましたが、改めて再選に向けての総理の意欲をお伺いしたいと思います。
その際に、何を掲げて、国民や党員に再選を訴えるのか、再選された場合は、内閣改造等役員人事を行う考えはあるのか、お聞かせください。
(菅総理)
今、冒頭申し上げた「この内閣として取り組んでいきたい。」、そのことを実行するためには、9月においても党員の皆さんの支持をいただければ、代表としてあるいは総理として、今日申し上げたことを取り組んでいきたい。このように思っております。
人事等については、まだ、今、国会が始まったばかりでありまして、この国会で全力を挙げて、私たちのやるべきことを国民の皆さんに伝え、そして、それの理解をいただくことに専念をして、まずはまいりたいと、このように思っております。
(内閣広報官)
では、次の質問を受けます。松山さん。
(記者)
時事通信の松山です。国会対応についてお伺いします。先ほど、ねじれ国会で与野党の合意ができれば、政策が実現可能だということをおっしゃいましたが、具体的にどうやって野党の協力取り付けということを進めていくお考えか。
それから、総理は、この間、消費税税率引き上げに向けて、衆議院を解散して国民の信を問うということもあり得るというふうにおっしゃっていましたけれども、そういった重要政策の実現を図るために、衆議院の解散あるいは国会が膠着状態に陥った場合に、御自身の進退をかけると、そういったような事態も想定されていますか。
(菅総理)
まず、ねじれ国会への対応は、先ほども申し上げましたけれども、やはり丁寧な国会での審議あるいは議論がまず大前提だと思っております。その中で、野党の皆さんがすべて反対されれば、勿論、法案は通らないわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、野党の皆さんもやはり国民の皆さんのことを考えて行動されると思いますので、私は、合意できる部分は必ず生まれてくると、このように思っております。解散といったことについては、全く考えておりません。
(内閣広報官)
それでは、次の質問を受けたいと思います。
それでは、山口さん。
(記者)
NHKの山口です。ねじれ国会の対応についてお伺いします。
財政再建など、国が抱える大きな問題については自民党などとも一緒にできるというのはわかるんですけれども、子ども手当ですとか農家の戸別所得補償といった野党側との対決法案については、どのように対応していくお考えですか。
(菅総理)
基本的には、今、申し上げたことと同じです。子ども手当について、これから1万3,000円の上乗せのところをどういう形で行うかという議論をしなければなりませんが、例えば、この法案は、成立の時点では公明党の皆さんにも賛成をいただいております。そういった経緯も含めながら、他の野党の皆さんの中で、どういう形であればある意味で前向きな結論が得て、賛成をいただけるのか。一つひとつの案件ごとに丁寧に説明をし、議論をしていきたいとこう思っています。
(内閣広報官)
それでは、次の質問を受けたいと思います。
後ろの方で、七尾さん。
(記者)
ニコニコ動画の七尾です。
総理にお願いがございます。国民から質問が来ております。お答えいただけますでしょうか。
(菅総理)
どうぞ。あなたの質問として、してください。
(記者)
ありがとうございます。
国民の質問を代読いたします。
8月6日の広島の平和記念式典にルース駐日米大使。また、9日、長崎で行われる式典にもイギリスの政府関係者がともに初めて出席する見通しとなっております。こうした機会を通して、総理御自身が核なき世界に呼応するメッセージなどを世界へ向けて発信するお考えはありますでしょうか。
(菅総理)
6日の広島、9日の長崎の式典にも、私も出席を予定いたしております。ルース米大使が出席をされることは、私は歓迎をいたしております。日本国民の、二度と核による被害をもたらさないでほしいという思いを受け止めていただく、大変いい機会になるとこう思っております。
また、その中で私からもあいさつをすることになっておりまして、今、おっしゃったような中身についても是非盛り込んでいきたい。このように考えております。
(内閣広報官)
それでは、次の質問を受けたいと思います。
西山さん。
(記者)
朝日新聞の西山と申します。よろしくお願いします。
小沢一郎前幹事長についてお尋ねします。総理、昨日の両院議員総会で、全員野球で国民の声を踏まえた政策実現に邁進するというふうにおっしゃいました。これは党内で大きな影響力を持つ小沢さんを含めて、例えば党の役職に入ってもらうことなどを前提に、代表選の中である種協力を求めていくというようなことはあるのかどうか。そして以前、しばらく静かにしていただきたいとおっしゃっていましたが、相変わらず静かにしていていただきたいのか。そろそろ、表に出て協力をしてもらいたいということなのか。その点をお尋ねしたいと思います。
(菅総理)
先ほども申し上げましたように、今日から国会が始まりまして、まず私がやらなければならないことは、この国会を通して国民の皆さんに、政権として取り組むべきことをしっかりとお伝えすることだと思っております。党内が一致結束してというのは勿論、一般的でもありますけれども、9月に代表選が予定されておりますので、その後のことまで今の段階で、こうしたい、ああしたいというのはちょっと早過ぎるのではないかとこう思います。
(内閣広報官)
それでは、次の質問を外国プレスの方から受けたいと思います。
それでは、そこの後ろの方。
(記者)
ザ・タイムズのレオ・ルイスです。以前、総理は、原子力や高速鉄道などの技術を海外に売ることを政府が支援することによって、いわゆるジャパン・クールが再建されればとおっしゃっていました。総理の考えでは、今後日本が海外で成功するだろうと思われるプロジェクトとはどういったものでしょうか。また、総理が最も重要視し、自ら訪問しようと思われる国を3つ挙げてください。
(菅総理)
我が国はもともと省エネ、クリーンエネルギーについては高い技術を持っております。また、今、発展の速度の速い、例えばインドとかベトナムとか、場合によっては中国といった国もインフラの整備という点では日本に比べてまだ遅れている。日本にはそうしたインフラ整備の能力が高い企業があります。そういった意味でグリーンな環境の分野、そしてそういう社会インフラ。勿論、原子力発電所、更には新幹線といったものも含めて、そういう技術をある意味では提供することによって、我が国の成長にもつなげていくことができると考えております。
今、「特に考えている国を。」と言われましたが、たくさんの国がありますが、中国が一番注目されておりますが、インドとか、あるいはベトナムとか、そういった国々も大変大きな可能性を持っていると、このように受けとめております。
(内閣広報官)
それでは、次の質問をこちら側サイドで。
では、平田さん。
(記者)
毎日新聞の平田と申します。先ほど総理が財政赤字であるとか社会保障というものを挙げて野党に協力を求めるといった発言をされたかと思うんですが、どのような形で、例えば社会保障、消費税に関しての全党が一堂に会したような場を設けるようなことをお考えなのか。また、もう一つは、来年度の予算編成に向けて、その予算編成作業の中でも野党に協力を求めていくことがあるのか。その辺のお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
(菅総理)
先ほども申し上げましたが、まずは我が党の考え方をまとめていただくと。そのことを政調を中心にお願いをし、その上でそうした超党派の話し合いという場が可能であるのかどうか検討していきたい、こう思っています。
(内閣広報官)
それでは、次の質問を受けたいと思います。
真ん中後ろ。佐藤さん。
(記者)
週刊朝日の佐藤といいます。昨日の両院議員総会で総理は、そう遠くない時期に若い優秀な皆さんが中心になって政権を順次引き継いでいくことがある意味で私のけじめ、役目であるとおっしゃられました。この遠くない時期というのはいつ頃を指すのでしょうか。国政を停滞させないということを最優先に考えたら、遠くない時期というよりは直ちに身を引かれて、新しいリーダーの下で再スタートを切るという選択肢も可能性としてはあり得るかなと思いますし、また、そうすればこれほどに厳しい批判を浴びることもなかったかもしれないとも思います。
次にバトンを託すまでに。
(菅総理)
厳しい何ですか。
(記者)
厳しい批判をこれほどに浴びることはなかったのではないかとも思います。次にバトンを、あえて厳しい道を選んだ総理の次にバトンを託すまでに、特にどの課題について、いつまでどう道筋をつけることを御自身の政治的使命と考えていらっしゃるのか、今一度改めてお聞かせいただければ。
(菅総理)
昨日の、今御指摘のあった話の多分前後に、私が30年前初当選して以来、あるいは34年前に初出馬して以来、まずは政権交代可能な野党をつくって、そしてその野党を選挙で政権交代をさせて政権を担当したい。それが私の政治における夢であったと。そういう意味では昨年の政権交代実現によって、私の政治家としての夢は達成されたということを申し上げました。
その上で、鳩山政権が安定的に4年間、5年間続いていくことを望んで、私も不十分ながら精一杯協力をしてきたということも申し上げました。そういう中で、鳩山総理が辞任をされ、この時期に私がこういう形で後の総理を拝命するとは予想を超えた状況でありました。そのことも申し上げました。
つまりは、次の世代がどんどん育ってきてくれていると思っておりますが、この民主党政権がまだ誕生して9か月の段階で、いろいろ私も考えましたが、そうした責任を投げ出したときに、そのことにより次の世代にきちんと政権が受け渡し切れるかということも当然考えなければならないと思いました。
そういう意味を含めて、ここは大変な御批判をいただくことは予想はしておりましたけれども、やはりしっかりした政権運営を、少なくとも何年間かは続けた中で、その次の段階で、次の世代の皆さんが受け継いでいただければありがたいと、そういう趣旨で申し上げたところです。
(内閣広報官)
それでは、次の質問を受けます。
そちらの五十嵐さん。
(記者)
読売新聞の五十嵐と申します。消費税についてもう少しお伺いしたいと思います。
総理は冒頭の発言でも、「財政再建は避けて通れない大きな課題だ。」というふうにおっしゃいました。また、党内の意見の調整を待ってから、改めて提起するお考えを示しましたけれども、今度の9月の代表選で再選を目指すに当たって、改めて消費税を含む税制の抜本改革を提起されるお考えというのはあるのでしょうか。
(菅総理)
先ほど来申し上げておりますように、財政の再建という課題は、どなたが政権を担当されるにしても、今の日本においては避けて通れない課題だと思っております。ただ、消費税という形で私が申し上げたことが、唐突に受け止められたと反省をしているわけです。
ですから、何か代表選でそのこと自体を約束にするといったようなそういう扱いをすることは考えておりません。
(内閣広報官)
それでは、次の質問を受けたいと思います。
真ん中、上杉さん。
(記者)
フリーランスの上杉です。98年の金融国会のことに関して、先ほど総理は言及されましたが、当時、まさに小渕総理と菅代表で国難に当たるということで、金融国会、夏休みも返上で確かやったと記憶していますが、今回同じような危機に際して、夏休み返上とはいかず、非常に短い期間の国会ということで閉じてしまいます。このときに、まずなぜ国会を早めに閉じるのか。そして、与野党ともに、与野党協議を非公式でも構いませんが、することをこの夏休み中にやるのかどうかということをお聞かせください。
(菅総理)
98年当時のことは、上杉さんもよくご存知だと思いますが、ここにいる仙谷さんや古川さんやみんながいろいろ外国の事例を勉強して、法案をまとめて提出をしたわけであります。まさにあのときは金融危機で、いつ銀行が破たんするかわからないという状況の中で、私たちもそういう危機感を持って、それぞれの皆さんが頑張っていただきました。
勿論、現在の状況も、先ほど申し上げたように、大きな意味では、大変日本の危機的な状況とも言えるわけですけれども、金融危機のように、本当に1日とか何日というそういうものとは少し性格は違うだろうとこう思っております。
ですから、しっかり取り組みたいとは思いますが、そういったある意味での段取りについては、特に政調会が再スタートしましたので、そういう皆さんにまずは検討をいただいているところです。
(内閣広報官)
それでは、次の質問を受けます。そちらの方、そこの秋元さん。
(記者)
フジテレビの秋元優里と申します。防衛白書についてお伺いしたいんですけれども。
(菅総理)
何?
(記者)
竹島の防衛白書。はい。あの竹島の記述があるので韓国に配慮して閣議報告を先送りしたというふうに伝えられていますが、9月以降に出すとしましても、同じ竹島の記述が盛り込まれるのであれば、先送りする意味はあるのでしょうか。
そしてもう一点なんですが、日韓併合100年で総理談話を出すというふうに、検討されているというふうに伝えられているんですが、具体的にそれはどのような談話なんでしょうか。
(菅総理)
まず、防衛白書については韓国の哨戒艦の沈没事件、そして、これをめぐって私も出席したG7でのいろいろなやりとり、更には国連における議長声明等、大変安全保障上重要な事案がこの間に発生をいたしました。そういったことをきちんと盛り込むようにと、私から申し上げたところです。それによって発行がやや遅れることになりましたが、理由は、今申し上げたとおりであります。
また、日韓併合100年を今年迎えるわけですけれども、これに対してどういった形で対応するのか。例年8月15日には終戦記念日の中でもいろいろな関係に触れていることもありますけれども、慎重に検討していきたいとこう考えております。
(内閣広報官)
予定の時刻が迫ってきております。最後の質問を受けたいと思います。一番端っこ、荒木さん。
(記者)
中国新聞の荒木と申します。菅内閣の選択についてお伺いします。総理は参院選挙の前に税制改革に強い意欲を示されましたが、選挙で大敗して何を最重点にするのかが見えにくくなっていると思います。一内閣一テーマという言葉もあるかと思うんですけれども、菅内閣として必ずこれだけは実現したいという政策は、どのように考えておられるのでしょうか。
(菅総理)
冒頭のあいさつの中でそのことを申し上げたつもりです。多少一般的な言い方で言えば、この20年間の閉塞状態を打ち破りたいと。そして、具体的な政策で言えば、雇用と経済成長を重視したそういう政策を展開したい。それによって20年間の閉塞を打ち破る。それは経済的な面もそうですが、同時に人々が孤立して幸せを感じられないようなそういう状況からも脱却をしていきたい。こういうことを実現していきたいと考えております。
(内閣広報官)
予定の時間が来ましたので、これで閉じたいと思います。御協力ありがとうございました。