菅総理の世界経済フォーラム(WEF)2011年年次総会
(通称「ダボス会議」)出席:概要


平成23年1月

 菅総理は、1月28日から1月30日まで、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(通称「ダボス会議」)に出席するため、スイスを訪問。1月29日に特別講演を行ったほか、有識者との会合やビジネス・リーダー等との昼食会、ジャパン・セッションでの冒頭挨拶、ソロス氏との会談を行った。

1 特別講演日本語英語
 1月29日、菅総理は、「新しい現実のための共有規範」をテーマとする本年のWEF年次総会において、「開国と絆」と題する特別講演を行った(シュワブWEF会長が進行役・コメンテーター)。
 冒頭、総理は、現下のエジプト情勢について、ムバラク大統領が国民との対話の中から、国民が幅広く参加する政権を作り、政治的安定と市民生活の平静を取り戻すことを期待する旨述べた。
 総理は、現在の日本で、精神面と経済面で閉塞を打ち破っていく「開国」が必要であると同時に、それにより人と人との関係に断絶が生じないよう、改めてつなぎ合わせる「絆」が必要であるとして、次のポイントに沿って、世界に向けてメッセージを発信した。

(1)自らを開く:新しい現実、150年前に学ぶ開国の思想、開国を具体化する経済連携の推進、農業の再生に開国の精神で挑む、開国の精神によるイノベーションによる成長制約の克服。

(2)新しい絆を創造する:最小不幸社会の実現に必要な新しい絆、絆の観点から働くことの価値を再定義する、日本が発信する螺旋階段型の発展、「新しい絆の創造」を柱に国際貢献を進める、APECの「あまねく広がる成長」の取組。

(3)結び~日本を、そして世界をクロスカップリングする:世界のリーダーに期待されるのはクロスカップリングにおける触媒の役割。開かれた将来を築く挑戦において人々が社会から切り離されないよう新しい絆でつなぎ直すことが求められる。


2 その他の行事
(1)有識者との会合
 国際情勢に精通した以下の有識者との間で密度の濃い意見交換が行われ、有識者から、人間の安全保障に対する高い評価、「開国」における意識改革や人の移動の重要性、WTOドーハ・ラウンドや経済連携における日本のリーダーシップへの期待、今後日本の貢献において重視すべき分野(インフラ、エネルギー・環境技術、ODA)、日本の成長戦略(法人税減税を含む)への高い評価、アジアにおける日本の役割の重要性等への言及があった。

<出席者>
 ・アナン前国連事務総長
 ・緒方国際協力機構(JICA)理事長
 ・グリア経済協力開発機構(OECD)事務局長
 ・サザーランド・ゴールドマン・サックス・インターナショナル会長
 ・サマーズ・ハーバード大学教授
 ・スティグリッツ・コロンビア大学教授
 ・バートン・マッキンゼー・グローバル・マネージング・ディレクター
 ・バロウ国際労働組合総連合(ITUC)書記長
 ・ホックフィールド・マサチューセッツ工科大学(MIT)学長
 ・マブバニ・リー・クアンユー公共政策大学院大学学長
 ・マロック=ブラウンFTIコンサルティング地球規模課題担当議長
 ・シュワブWEF会長

(2)シュワブWEF会長主催昼食会
 ゴーン・ルノー会長が司会進行を務め、政財界のリーダーが出席。出席者との質疑応答の形で、日本の経済・社会や東アジア情勢等について、活発な意見交換が行われた。

(3)ジャパン・セッション冒頭挨拶
 「日本の再構築」をテーマとして開かれたセッションの冒頭に出席し、日本及び日本人が自信を回復して外に出て行く必要性について述べたうえで、日本の再構築について国際的な大きな視点からの議論を期待する旨の挨拶を行った。なお、同セッションでは、海江田経済産業大臣、小島三菱商事会長、緒方JICA理事長等がパネリストを務めた。

(4)ジョージ・ソロス氏(ソロス・ファンド・マネジメント会長)との会談
 ソロス氏が強い関心を持って取り組んでいる気候変動問題に関し、森林保全の重要性や気候変動分野での途上国への支援について意見交換を行った。