もっと豊かな日本のために
世界をもっと豊かに

ODA(政府開発援助)は相手国や世界のためだけに行うものではなく、国益にもつながることが大前提です。
ここでは相手国・世界、そして日本にとって
どんなメリットがあるか詳しく解説します。

海外支援で日本も豊かになる

ODAは相手国や世界だけではなく、
日本にとってもしっかりメリットがあるように政府が設計しています。
ODAで港の建設に協力する場合の例で解説します。

例えばODAができるまで

  1. 01 開発途上国の港建設に日本政府が協力

    日本政府の資金協力で港の建設がはじまります。
    港の建設に必要な資金の多くは、日本政府から開発途上国政府に対して円で貸し付ける円借款により行われ、貸し付けを受ける国には、事業に使われた資金を返済する義務があります。
    また、円借款案件の約6~7割を日本企業が受注しておりODAによる事業は、日本経済の活性化にも貢献しています。

  2. 02 完成した港では日本企業のビジネスも活性化

    港が完成することによって、現地のビジネスが活性化すれば、
    商社やメーカー、さらにはメーカーのサプライチェーンとなる中小企業など、多くの日本企業のビジネスを拡大することができます。
    法整備の支援を通じて、日本企業の海外展開のための投資環境を整備するという側面もあります。

  3. 03 世界の安定的な物流を維持することは日本経済にもプラス

    港の物流の発展は、ヒトとモノの交流を活性化し、
    「衣」「食」「住」などの国民生活を豊かにするとともに
    日本経済の安定に大きく貢献します。
    また、日本企業にとっても輸出促進などのメリットに
    つながります。

  • 日本

    • ・日本企業の海外進出及びビジネス活性化
    • ・日本からの輸出促進
    • ・日本の食料やエネルギーの安定的な確保
    • ・日本の外交的な影響力強化
  • 支援先

    • ・港湾の容量不足の解消
    • ・貨物物流の効率化 / 輸出促進
    • ・雇用創出、経済の発展
  • 世界

    • ・物流の円滑化 / 促進
    • ・海外事業の発展など経済的繁栄の促進
    • ・安定した国際環境の実現

よくわかるODAの基礎用語

  • そもそもODAとは?政府開発援助

    開発途上国の経済社会開発を支援することを一般に「経済協力」と呼びますが、その中でも「開発途上地域の開発を主な目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」として供与される資金等を政府開発援助(ODA)といいます。
    開発途上国への資金の流れという観点では、本ページで扱ったODAのほかにも、その他の政府資金、民間資金、民間非営利団体による贈与などの手段があります。

  • 返済の必要がある資金協力有償資金協力

    開発途上国の政府等や、そこで事業を行う法人等に対し、資金の貸し付けや出資を行います。返済を必要としない無償資金協力に比べて金額規模が大きく、相手国の経済発展につながるインフラ整備などの大型事業に活用できます。具体的には、主に港湾、空港、発電所等の整備のように経済社会開発を促進する事業に使われます。

  • 政府主体の有償資金協力円借款

    有償資金協力の形式のうちの一つで、開発途上国政府等に対して、経済発展や福祉の向上を促すための資金を融資する仕組みです。この枠組みでは、開発途上国政府等が事業を実施する主体となり、日本は長期間の低利融資を供与して開発途上地域の経済社会開発を後押しすることとなります。また、返済義務を課すことで開発途上国側の開発に対する主体性(オーナーシップ)を高め、自助努力を促す効果もあります。

  • 民間主体の有償資金協力海外投融資

    有償資金協力の形式のうちの一つで、日本や開発途上国の法人等に対して資金を融資・出資する仕組みです。この仕組みでは、民間企業等が事業を実施する主体となり、日本は融資・出資を供与して開発途上地域の経済社会開発を後押しすることとなります。

  • 返済の必要がない資金協力無償資金協力

    開発途上国・地域の経済社会開発の基盤として必要な機材や施設を整備する資金を無償で供与します。具体的には、主に基礎生活分野(水・衛生、保健・医療、教育、小規模道路・橋梁、防災、環境対策等)における取組を後押しします。案件によって開発途上国政府、当該地域で活動する国際機関及び非政府組織(NGO)等が実施の主体となります。

  • 人材育成の協力技術協力

    日本の知識・技術・経験を活かして、開発途上国の経済社会発展の担い手となる人材の育成や技術の移転(人づくり)を行います。具体的には、研修員受入れ、専門家やJICA海外協力隊の派遣、 機材供与、開発調査などを行います。

 

よくあるODAに関する誤解

  1. よくある誤解 その1なんで海外の国にお金をあげちゃうの?

    ODAの多くは無償提供ではありません。

    ODAの多くは円借款による援助であり、返済が必要となります。
    緩やかな条件ではありますが、金利も課したものとなり、決して全てのODAにおいて無償で資金を提供しているものではありません。

  2. よくある誤解 その2大量の税金が途上国に流出している!

    ODAの財源の多くは税金ではありません。

    令和5年度ODA事業予算2兆7,533億円のうち70%程度が、
    税負担によらない国の投資活動である「財政投融資」等によって賄われています。
    このため、ニュースなどの報道機関で報道される「◯◯兆円の支援を表明」などに記載されている金額全てが税金のみで構成されているものではありません。

    財政投融資等70%、一般会計特別会計21%、出資・拠出国債9%
    令和5年度ODA事業予算(当初予算)の財源割合

    【財政投融資】
    税負担に頼らずに、国債の一種である財投債の発行などにより調達した資金を財源として、政策的な必要性があるものの民間では対応が困難な長期・低利の資金供給や大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするための投融資活動です。

  3. よくある誤解 その3国内の問題を後回しにして海外にお金をばらまいている!

    日本の国益も重視しています。

    ODAは海外の利益だけではなく、日本の利益にも直接つながることを前提に設計していますので、一方的に支援先の国だけがメリットを享受するものではありません。

    ①日本にとって望ましい国際環境の能動的な創出
    →二国間関係の強化、海上輸送の円滑化、日本の信頼向上、国連・国際機関等での我が国の立場への支持

    ②日本経済の安定・成長
    →エネルギー・資源・食料の供給・確保、日本企業の海外展開支援(投資環境・物流の改善)

    ③在留邦人・日本企業の安全

さらにODAで得られる外交的な影響力

日本、相手国、そして世界の経済的なメリットだけではなく、
ODAで関係性を深めたことは、外交上にも大きなメリットをもたらします。

例えばフィリピンの大型巡視船を
円借款で支援

フィリピンは、南シナ海やルソン海峡といった、太平洋沿岸地域の国にとって重要なシーレーンに面しています。
他方で、南シナ海において、2023年10月の中国船舶とフィリピン船舶の衝突につながった危険な行為を含め、地域の緊張が高まる行為が確認されていることなどに鑑み、海における法の支配を貫徹することがますます重要になっています。
これまで日本はODAを通じて、フィリピン沿岸警備隊が使用する船舶の建造を支援したり、海難救助や海上法執行等の能力向上を支援したりすることで、フィリピンの海上安全の向上に寄与してきました。
こうした支援は、日本を含むインド太平洋沿岸地域の国にとって重要なシーレーンの安全の確保、ひいてはインド太平洋地域の平和と安定にもつながります。

効果的なODAの事例

  • ベトナム・ノイバイ国際空港第二旅客ターミナルビル建設事業(円借款)

    Photo: JICA
    Photo: JICA

    同空港の国際線旅客ターミナルの新設や、必要な機材の調達などの支援に加え、日本の質の高い安全管理や品質管理に関する技術支援も行うことで、航空需要への対応を図るとともに、利便性・安全性の向上にも寄与しました。

  • インド・デリー高速輸送システム建設事業(円借款)

    Photo: JICA/Shinichi Kuno
    Photo: JICA

    安全面を含む作業スタンダードや最先端の省エネ技術の導入など、日本の「質の高いインフラ」を活かし、デリーの高速輸送システムの建設を支援。乗客整理やごみ廃棄禁止ルールの徹底、女性専用車両の導入など、都市化と公共交通機関の整備を経験した日本独自の知見を共有し、交通渋滞の緩和と自動車公害減少を通じた地域経済の発展、都市環境の改善および気候変動の緩和等に寄与しています。

  • ケニア・モンバサ港開発計画(円借款)

    Photo: TOYO CONSTRUCTION CO.,LTD
    Photo: JICA

    海水による腐食防止対策を施した工法や特殊鋼材・地盤改良など日本の質の高い技術力を活かして同港のコンテナターミナルの建設、荷役機械の整備を支援。
    取扱貨物の需要増加への対応および効率的な港湾運営を促進し、同国と近隣諸国を含めた地域全体の貿易促進および経済社会発展に寄与しています。

  • カンボジア・太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画(無償資金協力)

    Photo: JICA
    Photo: JICA

    カンボジア国内の電力需要は年々増加しており、不足分の電力は近隣国から輸入しています。電力の多くはディーゼル火力発電所に頼っており、再生可能エネルギーは国内発電量のわずか3%に過ぎません。このため、日本は同国の発電能力の向上、エネルギー源の多様化、再生可能エネルギー 利用に関するカンボジア国民の意識啓発を図るため、プノンペン市のプンプレック浄水場において、太陽光発電関連機材を調達し、技術者の育成を支援しました。

  • ガーナ・母子手帳を通じた母子継続ケア改善プロジェクト(技術協力)

    Photo: JICA Photo: JICA

    ガーナでは、乳幼児死亡率の削減と妊産婦の健康の改善が重要な課題となっています。また経済成長とともに、住民の健康状態や保健サービスへのアクセスの地域間格差が生じる中、日本は、地方部を含めた全国のコミュニティレベルにおいて、質の高い母子保健サービスを提供できる環境整備や人材育成を実施しました。

  • ボリビア・井戸カメラ事業(中小企業・SDGsビジネス支援事業)

    Photo: RaaX Co., Ltd.(Higashi-ku, Sapporo, Hokkaido) Photo: RaaX Co., Ltd.(Higashi-ku, Sapporo, Hokkaido)

    地質の岩盤の調査技術を転用した「井戸カメラ」で海外マーケットを拡大したい日本の中小企業を直接支援し、現地で大きな課題となっていた「井戸の長寿命化」の課題を解決。
    日本の高い技術力を活かして復活した井戸は、今日もボリビアの人々の暮らしを潤しています。

 
 
Photo: JICA
Photo: JICA
 
Photo: JICA/Shinichi Kuno
Photo: JICA
 
Photo: TOYO CONSTRUCTION CO.,LTD
Photo: JICA
 
Photo: JICA
Photo: JICA
 
Photo: JICA
 
Photo: RaaX Co., Ltd.(Higashi-ku, Sapporo, Hokkaido)

自由で開かれたインド太平洋

ODAは、FOIPの実現においても重要なツールの一つであり、
これまでも戦略的に活用されています。

「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けたODAの取組
 
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けたODAの取組 ①
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けたODAの取組 ②
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けたODAの取組 ③
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けたODAの取組 ④
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けたODAの取組 ⑤

ウクライナ支援

ウクライナ侵攻は、決して対岸の火事ではありません。
法の支配に基づく国際秩序を守り抜くためには、ウクライナをはじめとする
途上国などとの関係を強化することは重要です。

対ウクライナODA関連支援
 
ロシアによるウクライナ侵略を受けて行ったODAを通じた取組 ①
ロシアによるウクライナ侵略を受けて行ったODAを通じた取組 ②
ロシアによるウクライナ侵略を受けて行ったODAを通じた取組 ③

さらに詳しい情報は
こちらから!