大飯原子力発電所3、4号機の再起動について

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野田総理は、8回目となる四大臣会合を総理官邸にて開催し、大飯原発3、4号機の再起動を決定しました。(平成24年6月16日)

四大臣会合

動画はこちらから。

出席者:野田総理、藤村内閣官房長官、枝野経済産業大臣、細野原発事故担当大臣

 

野田総理は総理官邸で記者会見し、大飯原子力発電所3、4号機を再起動すべきであるとの判断を示しました。(平成24年6月8日)

野田内閣総理大臣記者会見(平成24年6月8日)

動画と発言全文はこちらから。

 

原子力発電所に関する四大臣会合を、4月初めから6回にわたって、総理官邸にて開催しました。
(平成24年4月3日-4月13日)

第6回会合の終了直後の会見で発表された概要は、次の通りです。

写真(会見者=枝野経済産業大臣) 発言要旨はこちら全文はこちら

  1. 政府は「脱・原発依存」の方針。今回の会合も、その枠内で行われたもの。
  2. 昨年来、原発の安全確保対策を確実に積み上げてきた。
  3. 徹底的な事故検証から得られた知見の集大成として、「再起動に当たっての安全判断基準」3点を整理した。
  4. 大飯3、4号機は、その3基準を満たしていると確認した。
  5. 「安全性」が確認できても、「必要性」が認められなければ、再起動の判断には至らない。
  6. 関西電力の供給力積み増しを加えてもなお、このまま夏を迎えた場合、厳しい電力不足の可能性。
    代わりに火力発電を最大限活用するとなると、コスト増で、遠からず電力料金値上げも避けられない。そのため、「必要性」はあると判断。
  7. 政府として、国民の皆さまや立地自治体の理解が得られるよう全力を挙げる。
    理解が得られた後、再起動の是非を最終決断する。
  8. 今後も各発電所について、その都度判断していく。
  9. 今後も脱・原発依存の方針に沿って、具体的取組みを積み重ねていくことをお約束する。
 

※これまでの四大臣会合の開催日時は、以下の通りです。


第1回:4月3日19時-20時10分 第2回:4月5日18時10分-19時30分 第3回:4月6日17時30分-18時20分
第4回:4月9日19時-20時20分 第5回:4月12日17時20分-18時50分 第6回:4月13日18時30分-19時20分
出席者:野田総理、藤村内閣官房長官、枝野経済産業大臣、細野原発事故担当大臣


<目次>

■再起動の判断にあたって
「安全性」と「必要性」の関係
「安全性」を確認する“物差し”

■大飯原発3・4号機再起動の
「安全性」に関して
「必要性」に関して

野田総理の「原子力政策・エネルギー政策」に関する発言
今後の「望ましいエネルギー・ミックス」に関する4つの基本的方向
「脱・原発依存」への道筋


 

 

再起動の判断にあたって-「安全性」と「必要性」の関係-

 

 

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再起動の判断にあたって-「安全性」を確認する“物差し”-

東電福島第一原発事故後、さまざまな検証を重ねた結果、安全性に関する判断基準を以下の3つに取りまとめました。これは、事故後1年間の取組みの集大成です。

 

【3つの安全性基準】

(基準1)安全対策の実行

  1. 電源車を配備するなど、緊急時にも電源を確保できるよう万全の体制を敷くこと。
  2. 冷却する手段の多様性を確保するなど、冷却・注水設備対策を万全にすること。
  3. 原子炉等の圧力を下げ、外部から注水を確実に行うための手順や体制を明確化すること。これにより、格納容器が高温・高圧となり破損しないようにすること。
  4. 電源喪失時にも、原子炉等の状況が把握できるよう、管理・計装(制御システム)設備を万全にすること。

 

(基準2)安全性の総合評価(ストレステスト)

「東京電力福島第一原子力発電所を襲ったような地震・津波※が来襲しても、炉心及び使用済み燃料プール等の冷却を継続し、同原発事故のような燃料損傷には至らないこと」が確認できること。

※同原発には、設計上の想定を9.5m上回る最大遡上の高さの津波と、設計上の想定の約1.1倍の地震が来襲。

 

<ストレステストの概要>

(基準2)の評価をするために、「ストレステスト」を実施しています。

図

東電福島第一原発を襲ったような地震・津波※に見舞われても、各種の対処により、「水素爆発・炉心損傷には至らない」ことを、ストレステストによって確認します。

※同原発には、設計上の想定を9.5m上回る最大遡上の高さの津波と、設計上の想定の約 1.1倍の地震が来襲。

上記図示は、ストレステストのごく一部です。詳細に関しては、下記をご覧ください。

<東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する  評価手法及び実施計画>

 

(基準3)安全性向上へ向けた事業者の事業計画・姿勢の明確化

原子力安全・保安院がとりまとめた下記の30の安全対策に基づいて、さらなる安全性、信頼性向上のための対策の着実な実施計画が、事業者により明らかにされていること。
さらに、事業者自らが安全確保のために必要な措置を見出し、実施し続けるという事業姿勢が明確であること。

<東電福島第一原発事故の技術的知見から得られた30の対策>

―東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見に関する意見聴取会(3月28日策定)―

○外部電源対策 対策1 外部電源系統の信頼性向上
対策2 変電所設備の耐震性向上
対策3 開閉所設備の耐震性向上
対策4 外部電源設備の迅速な復旧
(1)所内電気設備 対策5 所内電気設備の位置的な分散
対策6 浸水対策の強化
対策7 非常用交流電源の多様性と多様性の強化
対策8 非常用直流電源の強化
対策9 個別専用電源の設置
対策10 外部からの給電の容易化
対策11 電気設備関係予備品の備蓄
(2)冷却・注水設備対策 対策12 事故時の判断能力の向上
対策13 冷却設備の耐浸水性確保・位置的分散
対策14 事故後の最終ヒートシンクの強化
対策15 隔離弁・主蒸気逃がし弁の動作確実性の向上
対策16 代替注水機能の強化
対策17 使用済燃料プールの冷却・給水機能の信頼性向上
(3)格納容器破損・水素爆発対策 対策18 格納容器の除熱機能の多様化
対策19 格納容器トップヘッドフランジの加温破損防止対策
対策20 低圧代替注入への確実な移行
対策21 ベントの確実性・操作性の向上
対策22 ベントによる外部環境への影響の低減
対策23 ベント配管の独立性確保
対策24 水素爆発の防止(濃度管理及び適切な放出)
(4)管理・計装設備対策 対策25 事故時の指揮所の確保・整備
対策26 事故時の通信機能確保
対策27 事故時における計装設備の信頼性確保
対策28 プラント状態の監視機能の強化
対策29 事故時モニタリング機能の強化
対策30 非常事態への対応体制の構築・訓練の実施

 

【「3つの安全性基準」をまとめるまでの経緯】

下記の図の○をクリックすると、それぞれの詳細資料がご覧になれます。

図3月30日 5月6日 6月7日 6月18日 4月15日 6月7日 7月22日 11月14日~ 10月24日~ 9月30日~ 9月30日~ 11月29日~ 中間とりまとめ 中間とりまとめ 中間とりまとめ 3月28日

 

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大飯原発3・4号機再起動の「安全性」に関して

四大臣会合による検証の結果、大飯原発3・4号機については、上記3点の安全基準をすべて満たしていることが確認されました。詳細は、下記をご覧ください。

 

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大飯原発3・4号機再起動の「必要性」に関して

<再起動しない場合、節電で対応できる?>

関西電力と試算を行ったところ、すべての原発が停止したまま夏を迎えたとすると、

  • 平年並みの暑さ(過去5年平均需要)の場合  ・・・15%以上の電力不足の恐れ
  • 一昨年並みの猛暑で最大電力需要の場合     ・・・20%程度の電力不足の恐れ

仮に20%の電力不足に節電で対応しようとすると、下記のような試算になります。

 

【20%の節電に必要な対応】

※平成22年8月19日(14:00~15:00)関西電力の最大ピーク需要「3095万kw」で試算

※平日の日中に在宅している家庭は限られていることもあり、昨夏の家庭の節電結果は、関西4%(10%要請)、東京11%(15%要請)でした。

 

※原発を再起動しない場合における今夏の電力需給の見通しに関しては、こちらのページをご覧ください。

 

また、万が一にも、突然のブラックアウト(停電)が起こった場合には、暮らしに不便が生じるだけでなく、
安全・安心に関わるリスクも考えられます。

 

●震災直後、枝野官房長官(当時)は次の通り発言しました。(平成23年3月14日)

(記者発表『計画停電の実施について』)

写真『今回の計画停電については、周知期間が短く、対象となる人口が非常に多いこともあり、開始に当たって、若干の混乱も予想されます。こうした中、人工呼吸器をお使いの方々など、停電により支障の生じる患者さんなどもおられます。その対応にも万全を期しておりますが、そうした方々のご不便をできるだけ軽減するためにも、東京電力管内の国民の皆様の節電へのご協力が必要です』

 

●四大臣会合後、枝野経済産業大臣は次の通り発言しました。(平成24年4月13日)

(原子力発電所に関する四大臣会合(第6回)終了後の記者会見)

写真『私は昨年3月、初めての計画停電を実施する際、内閣官房長官として対応をいたしました。人工呼吸器など、生命の維持に欠かすことができない機器が早期からの計画停電によって、ご本人、ご家族の知らないうちに停止する可能性がありました。こうしたことは、絶対に避けなければならないということで、全ての患者の皆さんと1人残らず連絡が取れるまで、停電実施をしないように、東京電力に対して強い指示をいたしました』

『一方で、切迫した状況の中、深夜から未明、早朝にかけて、厚生労働省において、まさに死にものぐるいの対応をいただきました。その結果として、実際に電気が止まる前にすべての患者の皆さんと連絡を取ることができましたが、突然の停電、電力不足が社会の隅々に、特に社会的に弱者と言われる皆さんにいかに深刻な事態をもたらすかということを心底実感をいたしております。電力需給に関しても、「多分これで大丈夫だろう」といった楽観的な見通しで物事を進めることはすべきではないという風に思っています』

 

<再起動しない場合、電気料金はどうなる?>

関西電力が、原子力発電所に代わって、火力発電等を最大限活用して電力供給を最大限行っていくためには、
年間約0.7兆円のコスト増(総コストの約22%)と試算されています。

【原発停止による燃料費の増加について(試算)】

関西電力 22年度実績 23年度推計 24年度推計
(燃料価格が横ばいの場合)
総コスト 約2.3兆円 約2.8兆円 約3.1兆円前後
燃料費 約0.4兆円 約0.7兆円 約1.0兆円前後
うち原発停止による
燃料費増
+0.4兆円 +0.7兆円
燃料増が総コストに
占める割合(%)
約13% 約22%
積立金(原変・別途)
残高[年度末]
7,270億円 約4,600億円

※油価及び為替については、
【22年度】 1バレル=84ドル、86円/ドル、
【23年度推計及び24年度推計】 1バレル=109ドル、81円/ドル
24年度の焚き増し燃料の比率は、LNG:石油=7:3 として試算 (昨年11月の「エネルギー・環境会議」と同じ)

関西電力の総コストのうち、一般管理費(総コストから燃料費、減価償却費及び公租公課等を除いたもの)は総額でも0.7兆円しかなく、この中味をどんなに圧縮したところで、燃料費増を吸収できる規模ではありません。現在、社内の積立金を使いながら、電気料金を維持していますが、それも昨年度末で4600億円程度まで減っていると試算されます。

今の状態が続けば、遠からず電気料金の値上げは避けられない状況にあります。

 

<政府の判断>

「必要性」に関しては、「暮らしの安全・安心を守る必要」という観点、「経済的な必要」という観点、両面から検討する必要があります。政府としては、上記の検証から、大飯原発については、「再稼働の必要性がある」と判断しました。

 

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野田総理の「原子力政策・エネルギー政策」に関する発言

●第180回国会における野田内閣総理大臣施政方針演説 (平成24年1月24日)

写真『国民の安心・安全を確保することを大前提にしつつ、経済への影響、環境保護、安全保障などを複眼的に眺める視点が必要です。化石燃料が高騰する中で、足元の電力需給のひっ迫を回避しながら、温室効果ガスの排出を削減し、中長期的に原子力への依存度を最大限に低減させる、という極めて複雑な方程式を解いていかなければなりません。幅広く国民各層の御意見を伺いながら、国民が安心できる中長期的なエネルギー構成を目指して、ゼロベースでの見直し作業を進め、夏を目途に、新しい戦略と計画を取りまとめます』

 

●参議院予算委員会(平成24年3月14日)

「脱・原発依存」についてのこれは方針変わりません。極力原子力発電所に依存するということは中長期的には避けていく、低減させていきたい、その分、省エネ、再生エネルギー等々の普及やあるいはその推進等を進めていくというその方針は基本的に変わっておりません』

 

●参議院予算委員会(平成24年3月26日)

『脱・原発か原発推進容認かという今二者択一の問いかけでございますが、中長期的には原発への依存度を極力抑えていくという方向の、これ「脱・原発依存」という姿勢であるということをまず申し上げておきたいというふうに思います。そういう姿勢の中で臨んでいくということでございます』

 

●週刊文春 (平成24年4月5日号) 阿川佐和子さんとの対談

『私も脱・原発依存に向かうべきだと思います。でも今、現実に国民が生活し、経済活動するには電力が必要です』

『繰り返しますが、私も脱・原発依存に向かうべきだと思っているんです。いかに発電方法を組み合わせるべきかという望ましいエネルギーミックスについて、今年の夏をめどに方向性を固めたいと思っています』

 

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今後の「望ましいエネルギー・ミックス」に関する4つの基本的方向
-大飯原発の安全性・必要性を確認した四大臣会合直後の、経産大臣の記者会見より(平成24年4月13日)-

  • 原発への依存度をできる限り低減させる。
  • 省エネルギー・節電対策を抜本的に強化する。
  • 再生可能エネルギー開発・利用を最大限加速化させる。
  • 天然ガスシフトをはじめ、環境負荷に最大限配慮しながら、化石燃料を有効活用する。

政府の「革新的エネルギー・環境戦略」に関する資料はこちらをご覧ください。

「脱・原発依存」への道筋
-ラジオ「政策情報 官邸発」に、枝野経産大臣が出演して発言しました。(平成24年4月30日・5月1日放送)-

政策情報 官邸発枝野経産大臣は、番組の中で以下のような内容の発言をしました。

 

  • 「大飯の安全性・必要性は認めたが、ここは認めない」という判断も、今後確かにあり得る。
  • 固定価格買取り制度のスタートで、この夏から再生可能エネルギーは相当拡大していく。
  • 「原子力発電所は40年で止める、例外はほとんど認めない」という原則の法律案を、現在国会に出している。
    それ(40年)をいかに前倒しできるかの専門的判断を、この夏頃には示す。

番組の全文(文字/音声)は、こちらをご覧ください。

中長期のエネルギー政策
-大飯原子力発電所3、4号機の再起動についての記者会見の中で、野田総理が発言しました。(平成24年6月8日)-

『政権として、中長期のエネルギー政策について、原発への依存度を可能な限り減らす方向で検討を行ってまいりました。この間、再生可能エネルギーの拡大や省エネの普及にも全力を挙げてまいりました。…政府として選択肢を示し、国民の皆様との議論の中で、8月をめどに決めていきたいと考えております』

 

その他 政府の原子力政策・エネルギー政策に関する資料はこちらから

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