賃上げ等に関する
総理の車座対話

石破内閣では、賃上げ等に関する車座対話を行っています。各対話の様子と、対話を踏まえた政府の対応の概要をまとめました。
画像をクリックすると、対話の様子(動画)を御覧いただけます(首相官邸YouTube)
1.価格転嫁、賃上げ等のチャレンジを進める中小企業を応援する車座対話
中小企業の皆様が、無理なく賃上げが出来るよう、利益を上げていただくためには、(1)適切な価格転嫁、(2)生産性の向上、(3)現場で働く方々のスキルの高度化が極めて重要です。具体的には、以下の取組を進めます。
(1)適切な価格転嫁
①価格転嫁を阻害する商慣習の一掃
- 下請法違反がないか、業界ごとに自主点検を行い、違反があった場合は、不利益の補償が行われる方策の検討を進めます。
- サプライチェーンの頂点となる企業や業界には、直接の取引先のさらに先まで価格転嫁が可能となるような価格決定や、それが隅々まで伝わる情報発信を行っていきます。
- 「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の遵守を徹底します。
②国・自治体の委託請負契約等の価格交渉の改善
国・自治体の委託・請負契約等においても、適切に価格交渉・転嫁に対応するよう、全省庁において、適切な対応を行います。
③下請法の改正
「協議に応じない価格決定」の禁止などを新たに追加する、下請法の改正法案を早期に国会に提出し、価格転嫁・取引適正化を更に徹底します。
(2)生産性の向上
- 省力化投資促進プランの策定
人手不足が深刻な12業種(飲食業、宿泊業、小売業、生活関連サービス業、運輸業、建設業、医療・介護、保育、農林水産業など)について、業種ごとに具体的な課題を洗い出し、これを解決できる対応策を「省力化投資促進プラン」として、2025年春に策定します。
(3)現場で働く方々のスキルの高度化
人手不足を克服し、賃上げの促進を図るためには、現場で働く方々のスキルの高度化への支援も重要です。
適切な評価と処遇改善を図るため、「技能検定」等の公的資格ではカバーできていない産業・職種のスキルを定義し、評価する、「新たなスキル評価制度」を構築し、官民を挙げて、その導入を拡大するとともに、そのスキルを取得するための受講費を支援してまいります。
2.建設業との賃上げ等に関する車座対話
建設業は、インフラメンテナンスの担い手、災害大国である我が国の地域の守り手としての役割を持続的に果たして頂くためにも、若者や女性から選ばれる産業でなくてはなりません。
建設業が、その魅力や楽しさを実感できる、新3K「給与がよく、休暇が取れ、希望が持てる」に、「かっこいい」を加えた新4Kの産業となることを目指します。
建設業界全体において構造的な賃上げを実現していくため、国土交通大臣と建設業関係団体との間で申合せが行われたことも踏まえ、石破総理は、国土交通大臣に各建設業団体と連携し、以下の対応を指示しました。
(1)6%賃上げ目標実現
国土交通大臣と関係団体の間で申し合わせた「概ね6%の上昇」の賃上げ目標実現に向け、昨年成立した建設業法等の改正法も活用し、公共工事のみならず民間工事も含め、資材費・労務費上昇分の発注価格への反映や価格転嫁の取組を進めるとともに、標準労務費の設定を進めます。
(2)省力化投資促進プランの策定・実行の後押し
生産性向上のため、「i-Construction2.0」の推進をはじめ、建設業における「省力化投資促進プラン」を今春目途に策定し、各団体における意欲的な計画の策定・実行を強力に後押しします。
3.地方創生を担う中堅企業との意見交換会
日本全国に約9,000者存在する中堅企業は、地方経済、そして日本経済を牽引する存在です。中堅企業の成長環境を整備すべく、賃上げを伴う成長投資、中核人材の確保、ガバナンスの充実、伴走支援体制の整備、といった課題に対して、官民で取り組むべき事項を整理した「中堅企業成長ビジョン」を策定しました。さらに、本ビジョンの実現に向け、総額1兆円を超える「中堅企業成長促進パッケージ2025」を取りまとめました。早速、中堅企業成長ビジョンを実行に移します。
まずは、賃上げや投資に積極的に取り組み、高い成長目標を掲げる企業が、中小企業から中堅企業、さらにその先へと成長することを促していくため、大胆な賃上げにコミットする企業の成長投資を強力に支援します。 また、そうした成長の実現に必要な、社長の右腕となる人材や創造性ある若い方々・女性の皆様の参加を促します。 さらに、持続的な成長に不可欠なガバナンスの充実と支援を一体的に進める枠組みの構築を進めます。
中堅企業が成長し続けるためには、創造性ある人材を集め、そうした方々がその地方に住み続ける環境を作ることが重要です。全国各地の中堅企業の皆様にも、民の力でリードする地方創生2.0を進めていただき、政府も官民連携の強化で応えていきます。
政府としては、地方創生2.0の実現に向けて、産官学金労言等が集う「地域円卓会議」の場で、地域貢献度の高い重点支援企業を選定し、地域への関わり合いや投資を促進することで地方創生と成長力強化の両立を後押ししていきます。
4.医療・介護・障害福祉関係者との生産性向上等に関する車座対話
医療・介護・障害福祉関係分野は国民の安心を支える重要な分野である一方、他産業と異なり価格転嫁が困難な公定価格の分野です。
政府は、賃上げこそ成長戦略の要と位置づけ、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」の実現を掲げています。以下の点について取り組みます。