竜巻では、どのような災害が起こるのか
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竜巻が発生しやすいのはどんなとき?
竜巻は、発達した積乱雲に伴う強い上昇気流によって発生する激しい渦巻きです。台風や寒冷前線、低気圧など積乱雲が発生しやすい気象条件に伴って発生しやすくなっています。
日頃から、気象庁が発表する「竜巻注意情報」に注意するとともに、空の変化(発達した積乱雲が近づく兆し)に注意をしてください。真っ黒い雲が近づく、雷が鳴る、冷たい風が吹き出す、大粒の雨や「ひょう」が降り出すなどの積乱雲が近づいている「兆し」があれば、竜巻が発生する可能性があります。
日本では、竜巻は台風や寒冷前線、低気圧などに伴って、季節を問わず全国で発生していますが、特に、積乱雲が発達しやすい台風シーズンの9月、10月に、竜巻の発生確認数が多くなっています。
1年当たりの竜巻発生確認数は約20件(2007~2023年、海上竜巻を除く)となっています竜巻はどのようにして発生するの?
竜巻は、発達した積乱雲に伴う強い上昇気流によって発生する激しい渦巻きです。
台風などの影響で南から暖かい空気が流れ込んだり、上空に冷たい空気が入ってきて、地上と上空の気温差が大きくなった時に多く発生しています。また、高さによって風向や風速が大きく異なる場所では、積乱雲が回転しやすくなり、竜巻が発生しやすい傾向があります。
1年を通して沿岸部で起きやすいというデータがありますが、夏は内陸部でも発生しています。発達した積乱雲が近づいているときの兆しは・・・
周りの天気が次のように変わってきている場合には積乱雲が近づいている兆しなので、竜巻等が発生しやすい状況にあります。注意してください。
- 真っ黒い雲が近づき、周囲が急に暗くなる
- 雷鳴が聞こえたり、雷光が見えたりする
- ひやっとした冷たい風が吹き出す
- 大粒の雨や「ひょう」が降り出す
特に発達した回転する巨大積乱雲は「スーパーセル」と呼ばれ、強雨やひょう、落雷や竜巻等の激しい現象をもたらすことがあります。
また、発達した積乱雲の付近では、竜巻だけでなく、「ダウンバースト(※1)」や「ガストフロント(※2)」と呼ばれる突風による被害もあります。竜巻とともに、これらの突風にも注意することが必要です。※1:積乱雲から吹き降ろす下降気流が地表に衝突して水平に吹き出す激しい突風
※2:積乱雲の下で形成された冷たい(重い)空気の塊が、その重みにより温かい(軽い)空気の側に流れ出すことによって発生する激しい突風
竜巻による被害の特徴は?
平成24年5月6日茨城県つくば市
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短時間で狭い範囲に集中して甚大な被害をもたらします
被害は数分~数十分で長さ数km~数十km・幅数十~数百mの狭い範囲に集中します
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移動スピードが非常に速い場合があります
自動車以上の移動スピードになる場合があります
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建物が倒れたり、車がひっくり返ることがあります
強い竜巻に襲われると、強い風によって建物が倒壊したり、車が転倒することがあります
令和3年5⽉1⽇静岡県牧之原市
(写真提供:気象庁)-
様々なものが竜巻に巻き上げられたり、猛スピードで飛んできます
人や様々なものが飛ばされるだけでなく、巻き上げられたものが猛スピードで飛んでくることも竜巻の恐ろしさです
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建物の中でも、飛んできたものが窓ガラスを割ったり、壁に刺さったりするので注意が必要です
軽い木材であっても猛スピードで飛来すると、簡単に住宅の壁に刺さったり突き破ったりします
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竜巻が発生したらどう行動し、どう身を守ればいいの?
竜巻が発生したときには、建物などの被害は防げませんが、身の安全を守ることはできます。屋外にいる場合は頑丈な建物などに避難してください。屋内にいる場合は窓には近づかず、一階の丈夫な机の下などで身を小さくして頭を守ってください。
竜巻は短時間に猛スピードで様々なものを巻き上げながら、建物などに甚大な被害を与えます。すぐに身を守るための行動をとってください。竜巻にはどのように注意すればよいのか?
気象庁では、竜巻やダウンバーストなどによる激しい突風が予測されるときに、国民の皆さんに注意を呼びかけるため、「竜巻注意情報」を発表します。また、目撃情報が得られて竜巻等が発生するおそれが高まったと判断した場合にも発表しており、有効期間は発表から約1時間です。
竜巻注意情報を含め、竜巻に関する情報は、以下のように時間を追って段階的に発表します。
- 半日~1日程度前に気象情報で「竜巻などの激しい突風のおそれ」と明記し注意を呼びかけます。
- 数時間前には雷注意報で「竜巻」と明記して特段の注意を呼びかけます。
- さらに、今まさに竜巻等が発生しやすい気象状況となった段階で「竜巻注意情報」を発表します。
竜巻等に対しては身の安全を確保することが何よりも重要です。上記の情報を効果的に利用するためのポイントを解説します。
- 人が大勢集まる屋外行事や高所作業のように避難に時間がかかる状況では、気象情報や雷注意報にも留意し、万一に備え早め早めの避難を心がけてください。
- 竜巻注意情報が発表された場合には、まず周囲の空の様子に注意し、急に真っ暗になる、大粒の雨が降り出す、雷鳴が聞こえるなど、積乱雲が近づく兆候が確認された場合には、頑丈な建物に避難するなど身の安全を確保する行動をとってください。
- 竜巻注意情報が発表された場合には、気象庁ホームページのナウキャスト(雨雲の動き・雷・竜巻)で、危険度の高まっている領域をこまめに確認してください。このように竜巻注意情報と竜巻発生確度ナウキャストは組み合わせて利用することが効果的です。
竜巻等は積乱雲の下で発生します。積乱雲は、大気の状態が不安定なときに急発達し、竜巻のみならず、急な大雨、雷、ひょうなどの激しい現象も引き起こす可能性がありますので、竜巻注意情報等が発表された際にはこれらにも合わせて注意してください。
竜巻発生確度ナウキャストとは?
竜巻発生確度ナウキャストでは、気象ドップラーレーダーなどから「竜巻が今にも発生する(または発生している)可能性の程度」を推定し、これを発生確度という用語で表します。
竜巻発生確度ナウキャストは、竜巻の発生確度を10km 格子単位で解析し、その1時間後(10~60分先)までの予測を行うもので、10分ごとに更新して提供します。【発生確度2となっている地域】
竜巻などの激しい突風が発生する可能性がありますので、急な突風の発生に対する注意が必要です。発生確度2 が現れている地域には、竜巻注意情報を発表します。発達した積乱雲が近づく兆しがある場合には、頑丈な建物内に移動するなど身の安全確保に努めてください。
【発生確度1となっている地域】
発生確度2よりは低いですが、竜巻などの激しい突風が発生する可能性が高い状況です。突風による影響が大きい作業や行事を行う場合には、発生確度1 にも十分留意してください。
【発生確度が現れていない地域】
発生確度1や2となっている地域に比べると可能性は低いですが、発生確度が現れていない地域でも積乱雲が発生している場合には、竜巻などの激しい突風が発生することがありますので、注意が必要です。
なお、発生確度1と2の違いは、竜巻などの激しい突風が発生する可能性の程度の違いを表現したものであり、発生するまでの時間的な切迫度を示したものではありません。
竜巻が間近に迫ったら・・・
竜巻が発生したときには、建物などの被害は防げませんが、身の安全を守ることはできます。竜巻の移動スピードは非常に速いため、竜巻を見ても写真や動画を撮影したりせず、ただちに以下のように身を守る行動を取ってください。
竜巻注意情報が発表された場合や積乱雲とその兆しを感じたら、以下のように身の安全を確保しましょう。屋外では・・・
- 近くの頑丈な建物に避難するか頑丈な構造物の物陰に入って、身を小さくしてください
- 物置や車庫、プレハブ(仮設建築物)の中は危険ですので避難場所にはしないでください
- 周辺に身を守る建物がない場合には、水路などくぼんだところに身を伏せて両腕で頭や首を守ってください
屋内では・・・
- 一般の住宅では雨戸、窓やカーテンを閉め、家の1 階の窓のない部屋に移動してください
- 丈夫な机やテーブルの下に入るなど、身を小さくして頭を守ってください
- 大きなガラス窓の下や周囲は大変危険ですので窓ガラスから離れてください
普段から心がけておくことは・・・
- 竜巻注意情報等の情報の入手手段を調べておきましょう
- 屋内外の避難場所・避難方法を考えておきましょう
- ガラスの破砕防止対策(飛散防止フィルムを貼ること等)も有効です
- 加入している保険が竜巻による被害を対象としているか、確認してみましょう
詳しくはこちらの資料をご覧ください。
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平成25年9月に埼玉県越谷市などで発生した甚大な竜巻被害を受けて、関係省庁からなる「竜巻等突風対策局長級会議」を内閣府に設置し、同年12月に、予測情報の改善や災害情報の伝達の在り方についての検討、防災教育の充実などを今後の取組むべき施策として取りまとめています。
また、気象庁は、同会議の検討報告(平成25年12月26日)を受け、竜巻発生の目撃情報が得られた場合に、目撃情報のあった地域の周辺で更なる竜巻などの激しい突風が発生するおそれが非常に高まっていることを伝える竜巻注意情報の提供を平成26年9月から開始しました。
引き続き、関係省庁と協力・連携し、竜巻等突風対策に取り組んでいきます。
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