小泉内閣メールマガジン[大臣のほんねとーく] |
[2005/10/13]第206号 ● アスベスト問題 (厚生労働大臣 尾辻秀久) 多くの方がアスベストによる被害にあわれ、実際に苦しんでいる方がおら れるという事実はきわめて重いと受け止めています。 今後、引き続き考えられる対策を進め国民の皆様の不安の解消や被害の拡 大を防止したいと強く思っています。 アスベストは、日本の高度成長とともに、建物の部材や自動車のブレーキ 部品、コンビナートの配管などの保温材などに使われてきました。大変便利 なものでしたが、空気中に飛び散ったものを人間が吸い込むと、がんを発生 させる可能性がある危険なものです。 この危険なアスベストを、これを扱う労働者やそのご家族、また、アスベ ストが使用されている製品を作っている工場の周辺の住民の方々が過去に吸 い込んでしまい、長い潜伏期間を経て発症し、多くの方が亡くなられ、また 苦しんでもおられます。 これらの方々の大部分は、ILO(国際労働機関)やWHO(世界保健機 関)においてアスベストががんの原因となることが指摘された昭和47年以 前にアスベストを吸い込まれた方々です。 かつての労働省は、労働者保護の立場から昭和50年以前は粉じん対策と して、それ以降はがんの原因となることに着目した対策として、労働者がア スベストを吸い込まないよう対策を行ってきました。 しかし、労働者の家族や工場の周辺に住んでいる方々への対策を考えるの は労働省ではないという仕事のやり方や関係する役所に対して「アスベスト は危険なものであり必要な対策をとった方がよい」といった情報提供が十分 でなかったことを反省しています。 アスベストの長い潜伏期間を考えますと、これまでの対策が妥当であった かについて、とくに厳格な管理の下とはいえその使用を認めたことなども含 めて、将来、再度、検証しなければなりません。 また、労働者であった方でも、申請することを知らなかったために本来受 けられた労災保険による給付を受けられない方々もいらっしゃいます。この ような方々についても救済する必要があります。 アスベストによる被害がこれ以上拡大しないように、また、不幸にも健康 に被害を受けたすべての方々を救済できるような仕組みを作るために、関係 する役所としっかり連携しながら全力で取り組んでいきたいと考えています。 |