菅内閣総理大臣記者会見
【菅総理冒頭発言】
菅内閣として初めて臨んだ臨時国会が明日、閉会をします。
現在、新型コロナウイルスの新規感染者数や重症者数が過去最多となり、極めて警戒すべき状況が続いています。既に先週から重症者向けの病床がひっ迫し始めており、強い危機感を持って対応しています。コロナウイルスとの闘いの最前線に立ち続ける、医療、介護などの現場の皆さんの献身的な御尽力に、深い敬意とともに心から感謝を申し上げる次第でございます。
これまでも申し上げてきていますように、国民の命と暮らしを守る、これが政府としての最大の責務です。新型コロナの分科会が感染リスクの高い場面として指摘するのが飲食です。お店の時間短縮は極めて重要と考えております。短期、集中の対策として先週末から各地で時間短縮要請が行われており、協力いただいた全ての店舗に対して、国としてもしっかりと支援をしてまいります。GoToイートについては、新規発行の停止、人数制限などを要請し、GoToトラベルについては、一時的に札幌市(さっぽろし)、大阪市に向けた旅行は対象外とし、これらの地域からの旅行、また、東京都の高齢者、基礎疾患をお持ちの方々については、利用を控えるように呼び掛けをいたしております。
空きベッドに対する収入補償を始め、医療機関、高齢者施設などのコロナ対策について、最大限の支援を行います。これまでの経験を踏まえ、検査や感染者への対応を行う保健所、軽症者用のホテル、重症者用の病床、それぞれについて、更に体制を整えてまいります。各地の保健所に派遣する専門職、これまでの倍の1,200名、確保いたしております。
この国会では、ワクチンの無料接種のための法案が成立をしました。ワクチンについては、国内外において治験が複数進められており、既に最終段階に到達しているものもあります。安全性、有効性を最優先としつつ、承認されたワクチンを直ちに必要な方に接種できるよう、事前の準備に万全を尽くしております。
これから年末を、また年始を迎えます。高齢者はもちろんのこと、若者を始め国民の皆様におかれては、科学的にも効果が立証されているマスクの着用、手洗い、3密の回避といった基本的な感染対策を徹底していただくよう、改めてお願いを申し上げます。
国民の命と暮らしを守る、そのために雇用を維持し、事業を継続し、経済を回復させ、新たな成長の突破口を切り開くべく、来週早々には経済対策を決定します。雇用調整助成金はパートや非正規の方々も含めて日額1万5,000円の助成を行っており、こうした特例の延長に必要な予算を手当ていたします。さらに、公庫による最大4,000万円の無利子・無担保融資も来年前半まで今の仕組みを続けます。手元資金に困っている方々のための緊急小口資金については、3月以来、約5,000億円が利用されており、所得の減少が続いている場合には返済も免除しておりますが、これらの措置の延長も行います。さらに緊急的な手当てとして、ひとり親世帯については、来週、予備費の使用を決定し、所得が低い世帯は1世帯5万円、更に2人目以降の子供については3万円ずつの支給を年内めどに行います。
各自治体の事業者の支援など、独自の事業に加え、営業時間短縮を要請した場合のいわゆる協力金を国として支援するために、地方創生臨時交付金を1.5兆円、確保します。
これらの措置によって、現在の厳しい状況を何とか乗り越えていただき、経済回復の足掛かりとしたい、このように思います。
その上で、我が国に必要なものはポストコロナにおける成長の源泉です。その軸となるのが、グリーン、デジタルです。8年近くにわたるアベノミクスによって日本経済は最悪の状態を脱し、もはやデフレではない状況をつくり出し、人口減少の中で雇用者数を増やし、観光や農業の改革は地方経済に大きく貢献をしました。
私が所信表明演説で申し上げた2050年カーボンニュートラルは、我が国が世界の流れに追いつき、一歩先んじるためにどうしても実現をしなければならない目標であります。環境対応は、もはや経済成長の制約ではありません。むしろ、我が国の企業が将来に向けた投資を促し、生産性を向上させるとともに、経済社会全体の変革を後押しし、大きな成長を生み出すものであります。こうした環境と成長の好循環に向けて発想の転換を行うために、今回の経済対策では、まずは政府が環境投資で一歩大きく踏み込みます。
過去に例のない2兆円の基金を創設し、野心的なイノベーションに挑戦する企業を今後10年間、継続して支援していきます。無尽蔵にある水素を新たな電源として位置付け、大規模で低コストな水素製造装置を実現します。水素飛行機や水素の運搬船も開発します。脱炭素の鍵となる電化にどうしても必要なのが蓄電池です。電気自動車や再生可能エネルギーの普及に必要な低コストの蓄電池を開発します。排出した二酸化炭素も、いわゆるカーボンリサイクルの技術を使って、プラスチックや燃料として再利用をします。
これらを政府が率先して支援することで、民間投資を後押しし、240兆円の現預金の活用を促し、ひいては3,000兆円とも言われる世界中の環境関連の投資資金を我が国に呼び込み、雇用と成長を生み出します。また、自動車から排出されるCO2をゼロにすることを目指し、このため、電気自動車などを最大限導入していくための制度や規制を構築します。
デジタル化も、かつて指摘されてきた課題を一挙に解決します。
マイナンバーカードの普及のため、カードを年度末までに申請していただいた方にはマイナポイントの期限を半年間延長します。カードと保険証の一体化を来年3月にスタートし、5年後までには運転免許証との一体化により、更新時の講習や書類の提出がオンラインでできるようになります。今回の経済対策でこれらを一挙に措置します。
5Gを機能強化した、いわゆるポスト5G、さらには次世代の技術である、いわゆる6Gの技術についても、次の技術で世界をリードできるよう、政府が先頭に立って研究開発を行います。今回の経済対策では、これらを含めたデジタル関係で、1兆円を超える規模を確保します。
デジタル化の司令塔となるデジタル庁は、来年秋の始動を目指して、現在、急ピッチで作業を進めています。情報システムの関係の予算を一元的に所管し、各省庁に対して勧告、是正ができる強い権限を持たせます。民間から100名規模の高度な専門人材を迎え、官民を行き来しながら、キャリアアップできるモデルをつくります。
いまだ新型コロナウイルスの感染が続く中で、今、大事なのは安心感、そして、将来への希望です。当面は何が起きても対応できるように、十分な額の予備費を確保します。これらの措置により、国民生活の安心を確保し、将来の成長の基盤をつくります。
先月中旬から下旬にかけて出席したASEAN(東南アジア諸国連合)関連、APEC(アジア太平洋経済協力)、G20(金融・世界経済に関する首脳会合)といった一連の首脳会議においても、グリーンとデジタルが私の政権の最優先課題であることを積極的に発信いたしました。
同時に世界的なパワーバランスの変化により、国際秩序の在り方が大きく影響を受ける中、基本的価値と法の支配に根差した、自由で開かれたインド太平洋を実現していくことの決意を重ねて強調し、関係諸国との間で具体的な協力を進めることで一致しています。
特に今国会で承認を頂いた英国との包括的経済連携協定、さらには先月に中国、韓国を含む15か国と署名したRCEP(東アジア地域包括的経済連携)も重要な成果であると思います。これらの協定、また、来年、我が国が議長国となるTPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の着実な実施と拡大に努め、自由で公正なルールに基づく経済圏の更なる進展を目指してまいります。
先月中旬には、政権発足後初めての外国首脳の訪日として、豪州のモリソン首相をお迎えしました。同首相との間では、自由で開かれたインド太平洋の実現という共通目標を確認した上で、経済分野での協力に加え、安全保障・防衛協力を新たな次元に引き上げる日豪円滑化協定の大枠合意に至ることができました。首脳間の個人的な信頼関係を深めるとともに、日豪の特別な戦略的パートナーシップを大きく進展させることができました。
また、米国のバイデン次期大統領との初めての電話会談では、日米安全保障条約第5条の尖閣諸島(せんかくしょとう)への適用、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を確認し、大変意義のあるやり取りができました。
これらの一連の首脳外交では、政権の最重要課題である拉致問題の解決に向けた協力も要請し、数多くの首脳から理解と協力の意向を示していただきました。コロナ対応の中で高まった自国中心主義や内向き志向などとも相まって、これまで以上に予見しにくい国際情勢であるからこそ、我が国としては、多国間主義を重視しており、国際社会の団結と具体的な協力を主導していく決意であります。
そして、人類が団結してウイルスに勝った証として、来年、東京オリンピック・パラリンピックを開催する、私の強い決意についても、各国首脳から共感と支持を頂きました。これからも首脳外交を積極的に展開しながら、国際社会に対して我が国の立場をしっかりと発信していくとともに、様々な外交課題に全力で取り組んでまいります。
所信表明演説では、これまでお約束した改革については、できるものからすぐ着手し、結果を出して成果を実感していただきたい、このように申し上げました。
不妊治療については、保険適用を2022年度からスタートし、男性の不妊も対象にしたいと考えます。それまでの間は、助成制度の所得制限を撤廃した上で、助成額の上限を2回目以降も今までの倍の一律30万円で6回まで、2人目以降の子供も同様といたします。これらを来年すぐに実施できるよう、補正予算に盛り込みます。不育症の検査やがん治療に伴う不妊についても、新たな支援を行います。
2年前に、携帯電話料金については、4割は下げられると講演で申し上げました。国民の財産である電波の提供を受けながら、大手3社が9割の寡占状態を長年維持し、世界的に見ても高い料金、不透明な料金体系、しかも、20パーセントもの営業利益を上げ続けている。このような国民として当たり前の感覚からすれば、大きくかけ離れている事実に問題意識を持ってきました。
今回、大手のうちの1社が、大容量プランについて、2年前に比べて7割安い20ギガで2,980円という料金プランをメインブランドの中で実現するとの発表がありました。本格的な競争に向けて一つの節目を迎えたと思います。
本当の改革はこれからです。個々人の料金負担が本当に下がっているのか、サブブランドに移行する場合の手数料など、残された障害がないか見ていきながら、必要に応じて更なる対応を採っていきたいと思います。
菅内閣において重要なのは、変化に対応するスピードと国民目線の改革です。まずは新型コロナウイルスを何としても乗り越え、経済を回復させていきます。国民のために働く内閣として、全力で取り組んでまいります。
私からは以上であります。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様から御質問を頂きます。
最初は慣例に従いまして、幹事社2社から質問を頂きますので、指名を受けられました方は、近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただいた上で、質問をお願いいたします。
それでは、幹事社の方、どうぞ。まずTBSの後藤さん、お願いします。
(記者)
幹事社、TBSテレビの後藤と申します。よろしくお願いします。
総理は、会見でも今、大事なのは、安心と将来への希望とおっしゃいました。それに関わるテーマについてお尋ねします。
GoToトラベル事業についてなのですけれども、感染の拡大に伴い、事業継続に対してリスクを指摘する声が挙がっています。政府は、現在、感染状況のステージの判断を各都道府県の知事に委ね、その判断に基づいて、最終的に政府が運用の見直しなどについて決定をすると説明しています。今後より迅速な対応を行うためにも、政府が感染状況の判断等も含め、より主体的に関わるよう、意思決定のプロセスを見直すお考えはありませんか。
また、それに関連して、更に政府ですとか自治体の権限や責任をより明確にするため、また、休業要請をする際の財政補償などをより明確にすることなどの目的の観点から、新型コロナウイルスの特措法改正案を来年の通常国会に提出する、そういったお考えはありませんか。以上です。
(菅総理)
まず、GoToトラベルの見直しですけれども、地域の感染状況を踏まえて、各都道府県知事の意見を伺いながら国が最終的に判断する、このようになっています。
今回も、11月21日にコロナ対策本部でGoToトラベルの運用見直しを決定して、その後に札幌市、大阪市において到着分を対象外とした対応をいたしました。また、27日からは出発分についても控えていただくよう呼び掛けることにしました。
また、先般は、東京都知事からの要請を受けまして、東京都の到着、出発、両方について、高齢者の方や基礎疾患をお持ちの方は御利用を控えていただきたい、こうしたことの呼び掛けを行ったところです。
特措法の見直しでありますけれども、新型コロナの分科会において、強制力を伴う措置を認めるかどうか、これについては罰則を含めて規制強化をすべき意見だとか、あるいは私権を制限すべきではない、慎重な御意見もありました。
じっくり腰を据えた議論が必要だということでありましたけれども、今後はこれまでの知見を参考にし、事業者や個人の権利に十分配慮をしつつ、感染拡大防止にどのような法的措置が必要なのかという点について、分科会でも御議論いただく中で、政府として必要な見直しは迅速に行っていきたいと思います。
(内閣広報官)
それでは、幹事社の方、もう1社どうぞ。
毎日さん、お願いします。
(記者)
毎日新聞の笈田(おいた)と申します。よろしくお願いします。
総理の説明責任に関連してお伺いしたいと思います。日本学術会議の会員6名を任命されなかった問題をめぐって、今国会でも説明不足を指摘する声が相次いでいました。会員任命後、国内で総理が記者会見をされるのは今日が初めてとなりますので、6人を任命しなかった理由と今後の対応、また、6人の方は具体的にどのような活動が認められれば将来的に任命される可能性があるのか、御説明いただけますでしょうか。
また、学術会議の在り方の見直しについて、政府から独立した組織にすべきとお考えでしょうか。いつまでに結論を出し、いつから適用するお考えか、お聞かせください。
また、説明責任の関連で、説明不足を指摘する声は、桜を見る会の前夜祭で安倍前総理側が費用負担していた問題に関しても強まっています。検察は前総理を聴取する方針で、安倍前総理も今日聴取があれば応じる考えをお示しになりましたが、当時の官房長官として、前総理本人を含めて事実関係を確認した上で、国民に御説明するお考えはありますでしょうか。
総理は、過去の国会答弁については、答弁をした責任は私にあり、事実が違った場合は対応すると、今国会で答弁されました。誰のどういった判断を基に事実と異なるかどうかを御確認されて、具体的にどのような対応を採るお考えでしょうか。御説明ください。
(菅総理)
まず、私の会見の話でありますけれども、日本学術会議の任命について国会で何回となく質問を受けて、そこは丁寧にお答えをさせていただいています。この学術会議法にのっとって、学術会議に求められる役割も踏まえて、任命権者として適切な判断を行ったものです。
また、憲法第15条に基づいて、必ず推薦をされたとおりに任命しなければならないわけではないということについては、これは内閣法制局の了解を経た政府としての一貫した考え方であります。
そして、いずれにしろ、会員の皆さんを任命しますと公務員になるわけであります。公務員と同様でありますので、その理由についてはやはり人事に関することで、お答えを差し控えさせていただきたい。是非このことは御理解を頂きたいと思います。
また、一連の手続は終わっておりますので、新たに任命を行う場合には学術会議から推薦をいただくという必要があるというふうに思います。
また、私、梶田(かじた)会長とお会いをして、今後、学術会議として国民から理解をされる存在として、よりよいものをつくっていきたい、こういうことで合意しました。
そして、今後、どのように行っていくかについては、井上担当大臣の下で、梶田会長を始め学術会議の皆さんとコミュニケーションを取って議論をしているところであります。その方向性というのは、その議論の中で出てくるだろうと思います。
また、桜を見る会の中で、参議院予算委員会において私の答弁がありました。私は国会で答弁したことについて責任を持つことは当然である、そういう意味合いで私自身申し上げたことであります。
また、安倍前総理の関係団体の行事に関する私のこれまでの答弁については、安倍前総理が国会で答弁されたこと、あるいは必要があれば私自身が安倍前総理に確認しながら答弁を行ってきた、そういうことであります。
(内閣広報官)
それでは、これから幹事社以外の方から御質問を頂きます。質問を希望される方は、意思表示は声でなく挙手でお願いいたします。私が指名いたしますので、近くのマイクにお進みいただいて、所属とお名前を明らかにした上で御質問をお願いします。希望される方は多いと思います。必ずお一人方1問でお願いしたいと思います。
それでは、御希望の方、挙手をお願いいたします。
それでは、時事の大塚さん。
(記者)
時事通信の大塚です。
新型コロナウイルスのワクチンについてお伺いします。ワクチンの接種については、いつ頃から始めるような目標でしょうか。また、総理御自身は接種される御予定はありますでしょうか。
(菅総理)
まず、ワクチンについては、安全性とか有効性を最優先とすることが大前提だと思います。既に、先ほど申し上げましたように、国内でも治験が行われておりますが、今後こうした治験のデータ、これを最新の科学的知見に基づいてしっかり審査した上で承認したものについて、全額国の負担で接種を行わせていただきます。必要な方に直ちにそうしたワクチンが接種できるようにいろいろな準備や、自治体における迅速な体制というのに今準備をしているところであります。
また、具体的な接種の時期についてでありますけれども、安全性・有効性をこれはしっかり確認した上でありますので、現時点において、政府のほうから予断を持ってその時期を明確にすることは控えたいと思います。
また、私のことでありますけれども、最初は医療関係者とか、高齢者とか、これからそうした順番を決めるわけであります。そういう中で、自分に順番が回ってきたら接種させていただきたいと思います。
(内閣広報官)
それでは、次、NHK、長内さん。
(記者)
NHKの長内と申します。
2050年カーボンニュートラルについてお伺いします。
先ほど、総理は2兆円の基金にも言及されましたが、技術革新は非常に大事だと思いますけれども、やはりいろいろハードルがある中で、何より国民の理解、協力というのが一番大事なのではないかと思います。その国民が具体的にイメージしやすいようにするためにも、どのように理解を得ていくお考えでしょうか。
(菅総理)
2050年カーボンニュートラルを実現するために、環境への投資を飛躍的に増やして、先ほど申し上げましたように、世界最先端のイノベーションを生み出すべく2兆円の基金を今回創設する予定です。
我が国の産業構造だとか、あるいは経済社会変革、発展につなげていく。このことを実行に移すには、やはり国民の皆さんの理解、今の質問にありましたように、必要だというふうに思っています。様々な世代や分野の方が参画をして意見交換をする会議や、あるいは国と自治体の間で議論を行う会議、こうしたものを早期に開催をし、先進的な取組を広げていきたいというふうに思います。
こうした会議も含めて、今後様々な広報活動を行いながら、2050年カーボンニュートラル、これに向けた理解を促すと同時に、機運向上に取り組んでいきたい、全国的な地方の市町村を巻き込んだ、そうした会議も開きたい、このように思っています。
(内閣広報官)
それでは、次の質問に行きたいと思います。
では、産経の杉本さん。
(記者)
産経新聞の杉本と申します。よろしくお願いいたします。
安全保障の政策についてお伺いいたします。臨時国会が終わりますと、令和3年度予算編成に向けて動きが本格化すると思うのですけれども、政府はこれまで防衛費は8年連続で増額をしております。一方で、新型コロナウイルスの対策等で、財政状況は非常に厳しい状況にありますけれども、総理は現在の安全保障環境は厳しさを増しているという認識を示されております。総理として、今度の予算でまた増額をするというお考えはございますでしょうか。
関連しまして、安倍内閣では敵基地攻撃能力を含むミサイル阻止について、年内までにあるべき方策を示すという談話を出しております。この年内の結論というのがもう厳しいのではないかという観測もありますけれども、敵基地攻撃能力を持つのか、持たないのか、この結論をいつまでに出したいというふうに総理としてはお考えになっていますでしょうか。
よろしくお願いします。
(菅総理)
まず、来年度の防衛費でありますけれども、中期防を踏まえて、現在、政府内において検討中でありますけれども、厳しさを増す安全保障環境の下で、国民の命と平和な暮らしを守る、そのために必要な防衛力の整備、これは着実に推進していきたい、このように思います。
そして、抑止力強化の在り方であります。これについては国家安全保障会議での議論を踏まえて、引き続き検討して、調整していきたいというふうに思います。
現時点において、その検討について、予断を持って答弁させていただくことは控えさせていただきたい、このように思います。
(内閣広報官)
それでは、次の御質問に行きたいと思います。
外国プレスの方からも御質問いただきたいと思いますので、ロイターさん、お願いします。
(記者)
ロイター通信の竹中です。
来週の経済対策の規模と、その裏付けとなる第3次の補正の規模感についてなのですが、この時点での総理のお考えをお伺いできますでしょうか。
(菅総理)
冒頭申し上げましたように、新型コロナ対策としての医療機関などの支援、雇用調整助成金や企業の資金繰りなど、雇用と事業の支援、地方向け交付金1.5兆円、グリーン投資の基金2兆円、デジタルで1兆円、予定しております。
そして、当面何が起きるか分からない状況でありますので、予備費、これもしっかり確保したいと思っています。こうした措置によって、当面のコロナ対策に万全を尽くし、国民生活の安全・安心をしっかり守っていきたい、このように思います。
現在、総額も含めて政府内で検討していますので、来週には閣議決定したいというふうに思っています。いずれにしろ、今、最終段階でありますので、この場でお答えすることは控えたいと思います。
(内閣広報官)
それでは、次の質問に行きたいと思います。
それでは、日経の重田(しげた)さん。
(記者)
よろしくお願いします。
75歳以上の医療費負担についてお伺いいたします。総理が目指す社会像としまして、自助・共助・公助を掲げておられます。一定の収入のある高齢者の負担を2割とし、負担を分かち合う改革は、この理念と整合的であるように思います。
与党からは、先送りの圧力や対象者をより限定するよう求める声が上がりますが、これに対してどのように対応されますでしょうか。
(菅総理)
少子高齢化社会が急速に進み、2022年には団塊の世代も後期高齢者になるわけであります。その分、当然、現役の世代の皆さんの負担も増えてくるわけでありますから、そうしたことを考えたときに、幅広く全世代型社会保障制度という中で、御負担をできる方を増やしていって、将来のそうした若い世代の負担を少しでも減らしていくという、こうしたことは大事だというふうに思います。次の世代に、そうした社会保障制度、全世代のものを引き継いでいくのが、これは私たちの役割ではないかというふうに思います。
先日、全世代型社会保障制度の会議の中で、関係大臣に対して私は、与党との調整も十分に図って取りまとめるよう、具体的な検討を進めるよう、指示いたしました。政府与党においても、最終的な調整が行われているだろうというふうに思います。政府としては、私が冒頭に申し上げましたように、少子高齢化が急速に進んで、もう団塊世代が後期高齢者になるのが目前でありますから、そうした中で我が国の将来を考えたときに、多くの方に少しずつでも御負担して、この安心・安全の社会保障制度というのをつくっていくことは大事だというふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、次の質問に行きたいと思います。
では、共同の吉浦さん。
(記者)
共同通信の吉浦です。よろしくお願いします。
日米関係についてお伺いします。来年1月20日に米国ではバイデン新大統領が就任する予定です。日米の首脳同士の個人的な更なる関係構築や、菅政権が掲げられる、外交の基軸に掲げる日米同盟の強化に向けて、早期の日米の首脳会談を検討されていると思います。現時点で具体的な訪米や会談の時期についてどのようにお考えでしょうか。よろしくお願いします。
(菅総理)
まず、日米同盟というのは申し上げるまでもなく日本外交、安全保障の基軸であって、インド太平洋地域と国際社会の平和と繁栄の正に基盤となるものであります。我が国としては日米関係をさらに強固なものにして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、バイデン次期大統領と一層緊密に連携をしていきたい、これが基本的な考え方です。
先月、バイデン次期大統領との電話会談において、日米安全保障条約第5条の尖閣諸島への適用、日米同盟の強化、そして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力、これを電話会談で確認することができました。
また、私の訪米についてでありますけれども、コロナ感染状況も見つつ、できる限り早い時期に会おうということで一致をしているところでありますので、具体的に今は何ら決まっておりませんけれども、今後しかるべきタイミングで調整をしたいと、このように思います。
(内閣広報官)
それでは、フリーランスの方も今日はおいでいただいていますので、安積さん、お願いいたします。
(記者)
フリーランスの安積です。
総理、今年10月の国民の自殺者数というのが5年ぶりに2,100人を超えました。特に9月と比較しまして、女性の自殺者数の割合、増加割合が83パーセント増となっております。これはコロナについて、女性に非常にしわ寄せが来ているのではないかということが想定されるのですけれども、総理はですね、長官時代には国民に寄り添うということをしばしば口にされ、先ほどもまた、国民の命と暮らしを守ることが政府の責務だというふうにおっしゃいました。ただ、この2か月間、総理はですね、国民に対して直接もう少し頑張ってくれとか、そういった励ましの言葉を掛けられることはありませんでした。これからなおまだ厳しい状態が続くと思いますけれども、これからやはり国民に対してそういう言葉を掛けてくださるのか、それともやはり今までのように例えば会見、国会が終わるとか、そういった節目節目しかされないのか、どちらなのでしょうか。お答えください。
(菅総理)
菅内閣の方針については、官房長官が1日2回記者会見をさせていただいています。これは世界主要国でも、現職の閣僚が記者会見するというのは日本だけと言ってもいいと思います。そういう中で、政権としての考え方を官房長官の記者会見を通じて国民の皆さんに理解をしてもらう。また、閣議は2回ある中で、関係閣僚も記者会見しております。
ただ、私自身についてでありますけれども、私自身も機会があるときに、そこはぶら下がりなどでメッセージを発出させていただいております。そうしたことも含めて、これから政権としてのそうしたコロナを始めとする対応策についてというのは、もっとしっかりと発信できるようにしていきたい、こういうふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、次の質問に行きたいと思います。
読売(よみうり)の黒見さん、お願いします。
(記者)
読売新聞の黒見です。
総理、新型コロナウイルスの感染拡大が続いておりますが、一方で、衆議院議員の任期も来年秋に迫っております。衆議院解散総選挙の時期については現状どのようにお考えでしょうか。
(菅総理)
まず、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止して、そして、経済の再生、これが最優先であります。ここに全力でまずは取り組んでいきたい。しかし、とはいえ、私の衆議院議員の任期も来年の秋まででありますので、そこの中でいつか選挙を行う必要があるわけでありますので、時間的な制約、そうしたことも考えながら、そこはよくよく考えていきたい、こういうふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、次の御質問に行きたいと思います。
それでは、京都の国貞さん。
(記者)
京都新聞の国貞と申します。
日本学術会議のことで、関連でお伺いします。先日、人文社会系の310の学協会が任命拒否を撤回するように声明を出したんですけれども、総理は先ほども国会で丁寧に説明をされているということもおっしゃったわけですけれども、アカデミズムからの反発というものは現状では止まっていないと思うんです。率直に任命見送りを判断されたときに、これほどまで反発が広がると思っていたのかどうか。また、これほどまでアカデミズムのほうが反発しているということに関してどう思われているか、認識をよろしくお願いします。
(菅総理)
まず、この任命の問題でありますけども、先ほど申し上げましたように、内閣法制局の了解を経た政府としての一貫の考え方として、必ずしも推薦どおり任命しなければならないというわけではないということが、まずは大前提です。そういう中で学術会議そのものについて、これでいいのかどうかということを私は官房長官のときから考えてきました。日本に研究者と言われる方が90万人いらっしゃいます。その中で学術会議に入られる方というのは正に現職の会員の方が210人おります。また、その連携会員の方が2,000名おります。そうした方の推薦がなければ、なれないわけでありますから、これは1949年ですかね。この組織ができてから、多くの関係者がいて、新しい方がなかなか入れないというのもこれは現実だというふうに思っています。
そういう中で、私自身は縦割り、あるいは既得権益、悪しき前例主義、そうしたものを打破したい。こうしたことを掲げて自民党総裁選挙も当選をさせていただきました。そういう中で、この学術会議もまた新しい方向に向かったほうがいいのではないかなという、そうした意味合いの中で、内閣法制局の了解を経た一貫した考えの下でここは自ら判断をさせていただいた。そういうことであります。
それで、これで大きくなるかどうかということでありますけれども、私はかなりなるのではないかなというふうには思っていました。
(内閣広報官)
それでは、大変恐縮ですが、次の日程もございまして、次の質問で最後にさせていただきます。
では、西村カリンさん。
(記者)
フランスの公共ラジオ局のラジオ・フランスの特派員、西村と申します。
GoToトラベルについての質問をします。GoToトラベルキャンペーンを強く推進する自民党の二階幹事長は全国旅行業協会の会長として務めていますが、結果的に他の業界に比べて自民党はこのトラベル業界を優遇するのではないかと思う国民はいると思われます。その点について、総理の御意見を聞かせてください。
(菅総理)
GoToトラベルでありますけれども、そもそも日本には観光関連の方が約900万人おります。全国にホテルや旅館、さらにはホテルや旅館で働く従業員の方、そしてお土産を製造する、あるいは販売をされる方、農林水産品を納入する方、そうした、まず地域で活躍されている方が観光を支え、観光に従事されている方が地域をしっかりと支えていただいているということもこれ、事実だというふうに思っています。そういう中で、このGoToトラベルを政府としては実行に移してきているところであります。
地域の中でそうした生活をしている人が当時は5月、6月は稼働率が1割とか2割だったんです。そうした人たちはもう、このまま行ったら正にこの事業を継続することができないというような状況の中で、私どもはこのGoToトラベルをさせていただいて今に至っています。二階幹事長が特別ということではなくて、何がこの地域の経済を支えるのに一番役立つのかなという中で判断をさせていただいているということであります。
(内閣広報官)
それでは、次の日程がございます。大変申し訳ございません。会見を終了させていただきます。 現在挙手されている方で御希望がありましたら、各1問をメールなどでお送りいただければ後ほど総理のお答えを書面で返させていただきますので、御理解いただくようにお願いをいたします。
それでは、以上をもちまして、本日の総理記者会見を結ばせていただきます。
皆様の御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。