内閣総辞職に当たっての内閣総理大臣談話

更新日:令和3年10月4日 総理の指示・談話など

令和三年十月四日
閣議決定

 本日、菅内閣は総辞職いたします。

 昨年九月の内閣発足以来、「国民のために働く内閣」として、様々な改革を進め、多くの課題に対処してきました。

 最優先の新型コロナとの戦いについては、国民の命と暮らしを守り抜くとの決意の下、多くの皆様の御協力をいただきながら、「医療体制の構築」、「感染防止対策」、「ワクチン接種」を懸命に進めてきました。

 中でも、ワクチンについては、世界的な獲得競争を経て、打ち手の確保や職域接種の導入など、これまでの発想にとらわれることなく、全力で取り組んできました。その結果、想定を上回るペースで接種が進み、今や、全人口の七割が一回接種し、六割の方が二回の接種を終えました。このまま進めば、我が国は、世界でもワクチン接種が最も進んだ国の一つになります。

 ワクチン接種が急速に進む中で、新規感染者数は大きく減り、医療現場の状況も改善していることから、緊急事態宣言等のすべてを、先月末をもって解除することができました。そして、ウイルスへの高い警戒感を維持し、医療体制の強化やワクチン接種をさらに進めながら、飲食などの制限を段階的に緩和していくこととしました。安心と賑わいのある日常に向けた大きな一歩を踏み出せたのではないかと思います。

 今日まで大変な御尽力をいただいた医療・介護をはじめとする関係者の皆さん、飲食などの事業者の方々、国民の皆様お一人お一人の御協力に心から感謝申し上げます。

 また、「国民にとっての当たり前」を実現したいという思いで、長年の課題にも挑んできました。

 二〇五〇年のカーボンニュートラル、デジタル庁の設置により新たな成長の原動力は力強いスタートを切りました。携帯電話料金の引き下げは、すぐに実行され、家計の負担が大きく軽減されました。最低賃金は、過去最高の上げ幅を実現し、九百三十円となりました。

 少子化対策は待ったなしの課題であり、不妊治療の保険適用に道筋をつけ、男性の育児休業の促進や、四十年ぶりの三十五人学級も実現することができました。また、孤独・孤立に苦しむ方に手を差し伸べたいとの思いで担当大臣を据え、困難にある方々と行政の架け橋となるNPOへの支援も拡充しました。

 避けては通れない課題にも責任をもって対応してきました。一定の所得がある高齢者に医療費の二割負担をしていただく改革が実現し、アルプス処理水についても安全性の確保と風評対策を前提に、海洋放出を判断しました。長年の懸案であった重要土地等調査法や国民投票法も成立しました。

 内閣の重要な使命である東北の復興も進めました。四月の訪米の際にバイデン大統領に直接要請し、先月、福島のお米や牛肉を含む日本産食品の輸入規制が、全面的に撤廃されました。

 外交・安全保障の分野でも、基軸である日米同盟の更なる強化を図るとともに、自由で開かれたインド太平洋構想の具体化に向け、同志国や地域との連携と協力を深めることができました。

 そして、東京オリンピック・パラリンピックについては、開催国としての責任を果たし、やり遂げることができました。選手の方々の素晴らしい活躍は、多くの人々に感動をもたらし、世界中に夢や希望を与えてくれました。さらには、障がいのある人もない人も、助け合って、ともに生きる、共生社会の実現に向け、「心のバリアフリーの精神」を発信することができました。

 この一年間で、子供や若者、国民の皆様が安心と希望を持てる未来のために、道筋を示すことができたのではないかと思っています。

 この内閣への国民の皆様の御支援、御協力に心よりお礼を申し上げます。どうか、次なる内閣、新総理に対しても、皆様の御支援をお願いいたします。

 ありがとうございました。

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