太平洋・島サミット
令和3年7月2日、菅総理は、総理大臣官邸で、オンラインで開催された第9回太平洋・島サミット(PALM9)に出席しました。会議後、共同声明(骨子/和文/英文)が発出されました。
総理は、開会の挨拶で次のように述べました。
「皆様、第9回太平洋・島サミットに御参加いただきまして、ありがとうございます。日本国内閣総理大臣の菅義偉です。
新型コロナウイルスの影響で、皆様を日本にお迎えできないことは残念ですが、こうして太平洋・島サミットを開催できることをうれしく思います。
日本と太平洋・島しょ国は、長い交流の歴史に加え、自由、民主、法の支配、人権と環境の尊重といった共通の価値で結ばれた、太平洋を共有する大切なパートナーです。
新型コロナによる社会経済への影響、気候変動や自然災害の脅威、権威主義との競争など、太平洋地域が新たな挑戦に直面している今こそ、我々の更なる結束が求められています。
こうした考えから、日本は、太平洋・島しょ国との連携と協力を着実に強化してきました。2019年には、省庁横断的な太平洋島しょ国協力推進会議を発足させ、オールジャパンでの取組を強化してきました。また、豪州、ニュージーランド、米国などのパートナーとの連携も強化してきています。
そして、今回のサミットでは『自由で開かれたインド太平洋』の下で、太平洋・島しょ国とのパートナーシップ、キズナを一層深めていきたいと思います。
本日は、私と一緒に共同議長を務めるツバルのナタノ首相を始めとした皆様と共に、有意義な議論ができることを楽しみにしています。」
また、総理は閉会の挨拶で、次のように述べました。
「日本の大切な友人である太平洋・島しょ国・地域の皆さんと有意義な議論ができたことに心から感謝申し上げます。
本日、私は『自由で開かれたインド太平洋』というビジョンの下での日本の太平洋・島しょ国に対する政策を、『太平洋のキズナ政策』として発表いたしました。太平洋・島しょ国の皆さんにはそれを温かく歓迎いただき、感謝申し上げます。
日本は、『太平洋のキズナ政策』の下で、日本の強みをいかし、太平洋・島しょ国のニーズに耳を傾けながら、しっかりとした開発協力と5,500人以上の人的交流・人材育成の実施を含め、オールジャパンでの取組強化を進めていきます。
第1に、新型コロナへの対応と回復です。これは今回のサミットの大きな焦点でした。日本は同志国とも連携しながら、ワクチン接種に必要なコールドチェーン整備のための機材の供与、技術協力のほか、保健医療体制の強化、またその後の経済回復支援を含め、包括的な支援を実施していきます。
ワクチンについて、日本は太平洋・島しょ国に対し、年内に合計300万回分を目途として、7月中旬以降に、COVAX(コバックス)などを通じてワクチンを供与することをここに表明します。
第2に、法の支配に基づく、自由で開かれた、持続可能な海洋のための協力です。これは『自由で開かれたインド太平洋』の核となるものです。海洋安全保障、海洋環境、漁業資源を含む海洋資源分野における協力を推進します。
第3に、気候変動と防災です。太平洋・島しょ国が唯一最大の脅威という気候変動問題に共に取り組むとともに、日本の知見をいかした防災協力を推進します。
第4に、持続可能で強靱(きょうじん)な経済発展のための基盤の強化です。日本は、開放性、透明性、経済性、債務持続可能性を重視した、質高インフラ支援を行っていくとともに、財政強靱化のための協力策も推し進めていきます。
第5に、人的交流・人材育成です。人と人とのキズナを更に太いものとしていきます。日本の支援の強みである人材育成を通じて、太平洋・島しょ国の持続可能な成長を後押しします。
最後に、共同議長であるナタノ首相を始め、今回のサミットを実り多いものとするために御尽力いただいた皆様に、心から感謝申し上げます。
それでは、今回のサミットの活発な議論を基礎に、日本と太平洋・島しょ国とのキズナを更に強化していく決意を新たにして、第9回太平洋・島サミットの閉会の挨拶といたします。ありがとうございました。」