「横田滋さんお別れ会」及び「全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」
令和2年10月24日、菅総理は、都内で「横田滋さんお別れ会」に参列し、「全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」に出席しました。
総理は、お別れ会で献花を行った後、挨拶で次のように述べました。
「横田滋さんのお別れ会に際して、一言御挨拶を申し上げます。
まず改めて、滋さんの御冥福を、心よりお祈りいたします。また、奥様の早紀江さんを始め、御遺族の皆様方にお悔やみを申し上げます。滋さんが御存命の間に、めぐみさんとの再会を果たすことができなかったことは、正に痛恨の極みであり、政府として、また一政治家として、大変申し訳なく思っております。
めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから、40年以上が経過しました。滋さんは、拉致被害者家族会の代表として10年間、そして、その後も拉致被害者御家族の先頭に立って、日本国内、さらには国際社会に対して、めぐみさんの救出を訴えてこられました。滋さんの誠実なお人柄と、穏やかながらも強い意志に基づいた一言一言が、多くの人々の心を揺さぶり、世の中を動かしました。政府に届けられた拉致問題解決を願う署名の数は1,400万筆を超え、日本各地及びニューヨーク、ジュネーブ等において開催する集会やシンポジウムにも多数の方々に参加していただいております。
拉致問題の解決を求める声が国内外に大きく広がったのは、滋さんを始めとする御家族の皆様方が、全身全霊を捧(ささ)げてこられた活動の賜物(たまもの)であると思います。国民の皆様の声、国際社会の声は、必ずや北朝鮮を動かすことにつながると考えています。
私も、滋さんを始め、御家族の思いを胸に、拉致問題の理解と協力を直接求めてきました。今後も、解決に向けた国際連携の重要性を訴え続けていきます。
拉致問題は、菅内閣においても、引き続き最重要課題であります。総理大臣として自ら先頭に立って、あらゆるチャンスを逃すことなく、活路を切り開いていきます。めぐみさんを始め、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、全力で行動してまいります。滋さんの御霊を前に、改めてこの決意を申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。」
また、総理は、国民大集会の挨拶で次のように述べました。
「国民大集会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
まず、本年2月に有本嘉代子(かよこ)さんが、6月には横田滋さんがお亡くなりになられました。心よりお悔やみを申し上げる次第でございます。
お二人が存命の間に、お嬢様の恵子さん、そしてめぐみさんを帰国させることができなかったこと、そして、2002年に5名の拉致被害者が帰国されて以来、一人の拉致被害者の帰国も実現せず、いまだに多くの被害者の方が北朝鮮に取り残されている現状に対して、大変申し訳ない気持ちで一杯であります。
拉致問題の解決のためには、国際社会の協力と理解が必要であります。総理就任以降、各国首脳との電話会談、その中で拉致問題を提起し、そして理解を得ることに取り組んできました。引き続き、米国を始めとする関係諸国と緊密に連携を取りながら、拉致問題を提起し続けていきたい、解決するまで取り組んでいきたいと思っています。
同時に、当然のことでありますけれども、我が国自身が、主体的に行動していくことが重要であることは申し上げるまでもありません。国連総会の一般討論演説においては、拉致問題の早急な解決の必要性というものを強調いたしました。その上で、条件を付けずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会う用意がある、日朝間の実りある関係を重視していくことは日朝双方の利益に合致し、地域の平和と安定にも大きく寄与する、その考えを、北朝鮮を含む国際社会に発信いたしました。
本日この集会を通じて、日本国民の一致団結した強い意思が示されるということは、拉致問題の解決のために、力強い後押しとなります。その声こそが、国際社会を動かし、北朝鮮を動かすことにつながると思っております。
私は衆議院に当選以来、今日まで、拉致問題解決のために、全力で取り組んできました。特に、当選2回の時に、新潟港に、1年間に15回も16回も入港してきた万景峰(マンギョンボン)の入港を禁止するための議員立法。さらには、日本から北朝鮮に送金を停止するための議員立法。6人の若手議員と一緒になってつくることができました。その際に、後ろ盾となって応援してくれたのが、当時の安倍晋三内閣官房副長官でした。なかなか、国会で取り上げることが、時間がかかる。そうしたときに、亡くなられた横田滋さん、そして今壇上におられます、横田早紀江さんのテレビを通じての発信が大きく国会を動かしてくれたということも、これ事実であります。
拉致問題は、私の政権においても、当然、最重要課題であります。先日、総理官邸で拉致被害の御家族の皆様とお会いし、なんとしても結果を出してほしい、切実な思い、一刻の猶予もない、そのことが事実だというふうに思います。改めて心に刻みました。
全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、私自身、皆さんと心を一つにしながら、全力で取り組むことをお誓いをして、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。」