新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見
【安倍総理冒頭発言】
まず冒頭、これを機に改めて、今回の感染症によってお亡くなりになられた方、お一人お一人の御冥福をお祈りします。感染された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
本日、緊急事態宣言を全国において解除いたします。
足元では、全国で新規の感染者は50人を下回り、一時は1万人近くおられた入院患者も2,000人を切りました。先般、世界的にも極めて厳しいレベルで定めた解除基準を、全国的にこの基準をクリアしたと判断いたしました。諮問委員会で御了承いただき、この後の政府対策本部において決定いたします。
3月以降、欧米では、爆発的な感染拡大が発生しました。世界では、今なお、日々10万人を超える新規の感染者が確認され、2か月以上にわたり、ロックダウンなど、強制措置が講じられている国もあります。
我が国では、緊急事態を宣言しても、罰則を伴う強制的な外出規制などを実施することはできません。それでも、そうした日本ならではのやり方で、わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います。
全ての国民の皆様の御協力、ここまで根気よく辛抱してくださった皆様に、心より感謝申し上げます。
感染リスクと背中合わせの過酷な環境の下で、強い使命感を持って全力を尽くしてくださった医師、看護師、看護助手の皆さん、臨床工学技士の皆さん、そして保健所や臨床検査技師の皆さん、全ての医療従事者の皆様に、心からの敬意を表します。
日本の感染症への対応は、世界において卓越した模範である。先週金曜日、グテーレス国連事務総長は、我が国の取組について、こう評価してくださいました。
我が国では、人口当たりの感染者数や死亡者数を、G7、主要先進国の中でも、圧倒的に少なく抑え込むことができています。これまでの私たちの取組は確実に成果を挙げており、世界の期待と注目を集めています。
そして本日、ここから緊急事態宣言全面解除後の次なるステージへ、国民の皆様とともに力強い一歩を踏み出します。目指すは、新たな日常をつくり上げることです。ここから先は発想を変えていきましょう。
社会経済活動を厳しく制限するこれまでのやり方では、私たちの仕事や暮らし、そのものが立ち行かなくなります。命を守るためにこそ、今、求められているのは、新しいやり方で日常の社会経済活動を取り戻していくことだと思います。
コンサートや演劇など、文化芸術イベントは、私たちの心を豊かにし、癒やしをもたらしてくれます。トップアスリートたちが活躍する姿は、私たちに夢や感動を与えます。日本各地へ観光旅行に再び出かける日を心待ちにしている皆さんも多いと思います。感染状況に目を凝らしながら、来月、再来月と、そうした日常を少しずつ段階的に取り戻していく。そのための具体的な道筋についても、本日、お示しいたしました。
プロ野球なども来月、まずは無観客から再開していただき、段階的に観客を増やしていく。コンサートや各種のイベントについても、100人程度のものから始め、感染状況を見ながら、1,000人規模、5,000人規模、さらには収容率50パーセントへと順次、拡大していく考えです。あらゆる活動について感染防止対策を講じることを大前提に、本格的に再開していく。感染リスクがあるから実施しないのではなく、これからは、感染リスクをコントロールしながら、どうすれば実施できるかという発想が重要であると考えます。
学校については、文部科学省が分散登校など、再開に向けた指針を既にお示ししています。
100を超える業種別の感染防止対策ガイドラインは、事業活動を本格的に再開し、新たな日常をつくり上げていくための道しるべであります。事業者の皆さんには、これを参考に事業活動を本格化していただきたい。政府も、ガイドラインに沿った感染防止の取組に100パーセント補助を行うなど、最大150万円の補助金で、町の飲食店を始め、中小・小規模事業者の皆さんの事業再開を応援します。
ガイドラインを完全に守って行動したとしても、感染リスクをゼロにはできない。試行錯誤も覚悟しなければなりません。感染を抑えながら完全なる日常を取り戻していくための道のりは、かなりの時間を要することになります。
本当に多くの事業者の皆さんが、この瞬間にも経営上ぎりぎりの困難に直面しておられる中で、更なる時間を要することは死活問題である。そのことは痛いほど分かっております。それでも、希望は見えてきた。出口は視野に入っています。その出口に向かって、この険しい道のりを皆さんと共に乗り越えていく。事業と雇用は何としても守り抜いていく。その決意の下に、明後日、2次補正予算を決定いたします。先般の補正予算と合わせ、事業規模は200兆円を超えるものとなります。GDPの4割に上る空前絶後の規模、世界最大の対策によって、この100年に一度の危機から日本経済を守り抜きます。
総額で130兆円を超える強力な資金繰り支援を実施します。経済全体を牽引(けんいん)する大企業、地域経済を支える中小企業、オンリーワンの技で成長の原動力となってきた中堅企業、規模の大小にかかわらず、政策投資銀行や公的ファンドを通じて、劣後ローンや出資など資本性の資金を供給します。身近な地銀、信金、信組などによる実質無利子、最大5年元本返済据置きの融資も進んでいます。必要な方に支援を一日も早くお届けできるよう、全力を尽くします。
こうした企業への資金繰り支援について、日本銀行が総額75兆円の新たな支援プログラムを先週決定しました。そして、今後とも政府と日本銀行が一体となって事態を収束させるために、あらゆる手段を講じていく。その決意を異例の共同談話として発表いたしました。正にオールジャパンで、圧倒的な量の資金を投入し、日本企業の資金繰りを全面的に支えてまいります。
事業を存続するために待ったなしの固定費負担も大胆に軽減していきます。人件費への助成を、世界で最も手厚いレベルの1万5,000円まで特例的に引き上げます。雇用をされている方が直接お金を受け取れる新しい制度も創設します。店舗の家賃負担を軽減するため、最大600万円の給付金を新たに創設します。使い道が全く自由な最大200万円の持続化給付金についても対象を拡充し、本年創業したばかりのベンチャー企業の皆さんにも御活用いただけるようにいたします。地方の実情に応じた事業者へのきめ細かな支援も可能となるよう、地方創生臨時交付金も2兆円増額いたします。
コロナの時代の新たな日常、その的に向かって、これまでになく強力な3本の矢を放ち、日本経済を立て直してまいります。経済再生こそがこれからも安倍政権の一丁目一番地であります。
ただ一点、強調しておかなければならないことがあります。それは、緊急事態が解除された後でも私たちの身の回りにウイルスは確実に存在しているということであります。ひとたび気を緩め、ウイルスへの警戒、感染予防を怠った途端、一気に感染が広がっていく。これがこのウイルスの最も怖いところです。
感染防止を徹底しながら、同時に社会経済活動を回復させていく。この両立は極めて難しいチャレンジであり、次なる流行のおそれは常にあります。それでも、この1か月余りで国民の皆様はこのウイルスを正しく恐れ、必要な行動変容に協力してくださいました。こまめな手洗い、今や外出するときはほとんどの方がマスクを着けておられます。店のレジは、人と人との距離を取って列をつくるなど、3つの密を避ける取組を実践してくださっています。こうした新しい生活様式をこれからも続けてくだされば、最悪の事態は回避できると私は信じます。
3つの密が濃厚な形で重なり、これまでも集団感染が確認された夜の繁華街の接待を伴う飲食店、バーやナイトクラブ、ライブハウスなどについては、御協力を頂いていることに感謝申し上げます。こうした施設も、専門家の皆さんに御協力いただきながら、来月中旬をめどにガイドラインを策定し、上限200万円の補助金により、有効な感染防止対策が講じられるよう支援する考えです。それまでの間、どうか身を守る行動を続けていただきますようにお願いいたします。
こうした取組を重ねてもなお、感染者の増加スピードが再び高まり、最悪の場合には、残念ながら2度目の緊急事態宣言発出の可能性もあります。しかし、私は、外出自粛のような社会経済活動を制限するようなやり方はできる限り避けたいと考えています。市中感染のリスクを大きく引き下げていけば、それが可能となります。
そして、そのためには、感染者をできるだけ早期に発見するクラスター対策を一層強化することが必要です。その鍵は、接触確認アプリの導入です。スマートフォンの通信機能により、陽性が判明した人と一定時間近くにいたことが判明した方々、すなわち濃厚接触の可能性が高い皆さんに自動的に通知することで、早期の対策につなげるアプリです。
先月、オックスフォード大学が発表したシミュレーションによれば、このアプリが人口の6割近くに普及し、濃厚接触者の早期の隔離につなげることができれば、ロックダウンを避けることが可能となる大きな効果が期待できるという研究があります。我が国では、個人情報は全く取得しない、安心して使えるアプリを、来月中旬をめどに導入する予定です。どうか多くの皆さんに御活用いただきたいと思います。
同時に、医師が必要と判断した場合には直ちに検査を実施する、検査体制の強化にも引き続き取り組んでまいります。抗原検査の使用が既に始まりましたが、PCR検査についても、民間検査機関への支援に加え、大学にある検査機器を活用させていただくなど、検査機能の拡大を進めます。
検体を採取する体制も増強します。これまでの専用外来に加え、医師会の御協力を頂き、全国で既に100か所近いPCRセンターを設置しており、これを一層拡大していきます。2兆円を超える予算を積み増し、自治体と連携しながら、医療提供体制の充実にも取り組みます。
全国各地で新型コロナ重点医療機関を指定し、今後の流行のおそれに備え、十分な専用病床をしっかりと確保していきます。
ウイルスとの闘いの最前線で奮闘してくださっている医療従事者、病院スタッフの皆さん、介護事業所の皆さんに、心からの感謝の気持ちとともに、最大20万円の給付を行う考えです。
高機能マスクや医療用ガウンなどの防護具についても、ウェブを使って全国の8,000近い医療機関の状況を直接把握しながら、国による直接配布を強化していきます。
感染状況が落ち着いてきたこの機をいかし、様々な取組を加速し、次なる流行のおそれに万全の備えを固めてまいります。
世界に目を向ければ、感染は今なお拡大を続けています。そうした中で、本日の政府対策本部では、水際対策の更なる強化も決定いたします。入国拒否の対象国は、100か国を超えることとなります。経済のグローバル化が進んだ現代で、人の動きが止まることは、世界経済に致命的なダメージを与えます。欧米での厳しいロックダウンによって、生産などの経済活動も大きく停滞しました。世界経済の復活なくして、日本経済の力強い再生もありません。国内で感染が落ち着いたとしても、世界的な感染の拡大に歯止めがかからない限り、真の終息はないのです。
私たちは、自国のことのみに専念していてはならない。内向きな発想では、この世界的課題を根本的に解決することはできないと考えています。しかし、感染が拡大している国では、そうした余裕はありません。これまで世界の政治・経済をリードしてきた国々の多くは、今、国内の対応で手一杯になっている、そうした現実があります。そこに隙が生まれるような事態は、決してあってはならない。こうしたときだからこそ、私たちは、自由民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的な価値をしっかりと堅持していく。そして、こうした価値を共有する国々と手を携え、自由かつ開かれた形で、世界の感染症対策をリードしていかなければならないと考えます。
このウイルスに対する治療薬やワクチンを、透明性の高い国際的な枠組みの下で途上国も使えるようにしていく特許権プールの創設を、来月予定されているG7サミットで提案したいと考えています。
医療防護具については、ここ数か月、国内の増産に取り組んできました。特定の国に依存するのではなく、グローバルな世界で強靱(きょうじん)なサプライチェーンを築き上げていくことも、極めて重要な課題です。我が国のこれまでの経験もいかしながら、世界の感染症対策、コロナの時代の国際秩序をつくり上げていく上で強いリーダーシップを発揮していく。それが国際社会における日本の責任であると考えます。
緊急事態が解除された後の次なるステージにおいても、国民の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。
私からは以上であります。
(内閣広報官)
これから皆様から質問を頂きます。質問には、安倍総理と尾身会長に対応いただきますので、総理、会長におかれては、所定の位置に御移動願います。
質問の内容によりましては、尾身会長から説明を頂くこともございますので、御了解をお願いしたいと思います。
質問を希望される方、その意思表示は発声ではなく、声ではなく、挙手でお願いいたします。私が指名をいたしますので、指名を受けた方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただいて、所属とお名前を明らかにされた上で質問をお願いいたします。
それでは初めに、幹事社からの質問といたします。どうぞ。
(記者)
北海道新聞の佐藤と申します。
総理にお伺いします。北海道や神奈川は、新規感染者の目安を下回っていません。東京でも大型連休明けの人出回復の影響が懸念されます。31日の期限を待たず、前回の判断から4日の短期間で全面解除した理由を、仮に再指定する場合の基準と併せてお伺いします。
また、総理のおっしゃる新しい日常はどのような状況になるまで続ける必要があるのかお伺いします。
4月に7都府県で発令後、全国拡大や期間延長などを経て、国民は長い自粛生活を強いられました。御自身のコロナ対策全般の総括と今後の検証をどう考えますか。
宣言下で、検察庁法改正案見送りや黒川前検事長の辞職など混乱があり、与野党から首相や森大臣のけじめを求める声があります。政治責任をどう負われるのでしょうか。以上です。
(安倍総理)
それでは、お答えいたします。
関東の1都3県と、そして北海道については、先週21日の段階においても新規の感染者数は減少しておりまして、医療の逼迫(ひっぱく)状況についても改善傾向にありました。そのため、この状況が、この傾向が継続していけば解除することも可能であるということを申し上げていたわけでございますが、正に今日までその傾向が続いてきたわけであります。
東京においては10万人当たり0.5人という、これは大変世界でも厳しいレベルの基準の一つでありますが、これもクリアをしているということであります。例えば神奈川県におきましては、それは超えてはいるわけでありますが、1以下であって、同時に、リンクが追えている比率についても、多くは今、リンクが追えているということもあり、専門家の皆様に諮問させていただいた結果、解除すべきであるという答申を頂いたということだろうと思います。
3つの要素の状況、感染の状況、そしてこの感染の状況とともに医療の逼迫状況と、そして監視体制等々について総合的に判断をしていただいたというふうに思います。
ただ、先ほども申し上げたとおり、この解除をもってウイルスの存在がゼロになったわけでもありませんし、新規の感染者がゼロになったわけでないわけでありまして、これからもこのウイルスとの闘いは長い道のりになると思います。
そのため、これまでの8割削減といった社会経済活動を厳しく制限するのではない形で、感染リスクをコントロールしながら、段階的に社会経済のレベルを引き上げていくことで、コロナ時代の新たな日常をつくり上げていかなければならないと、こう思っています。
この新たな日常がいつまで続くのかということでありますが、それは正に、これは私たちのこれからの闘いにもかかっているのでありますが、同時に、やはり治療薬・ワクチンの実現が極めて重要なのだろうと思います。
先ほど申し上げましたように、日本だけで、これ、感染が大体終息したなと思えば完全な終息になるのではなくて、グローバルな時代の中において世界的にこの感染が終息しなければならないという中において、これは判断をしていかなければいけないという意味においては、治療薬やワクチンの存在が極めて重要だろうと、こう考えています。
総括と、また今後の検証ということでありますが、総括と検証は極めて大切なのだろうと思います。ただ、今のところ、この1か月半でこの感染状況について、最初に申し上げましたように、おおむね収束ということになってきたのではありますが、ただ、もちろんまだ油断もできませんし、まだ検証するという段階ではないのだろうと思います。しっかりともちろん、事態が終息した段階において、検証をしなければならないと、こう思っています。今後とも、次なるステージに向けて我々は全力を尽くしていかなければいけないと思っています。
そして、黒川さんの辞任についてでありますが、黒川氏については、法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものでありますが、その責任については当然、内閣総理大臣たる私にあります。御批判を真摯に受け止めながら、しっかりと職責を果たしていきたい。森大臣におきましては、正に検察、法務省の士気をしっかりと高めて、信頼回復のために全力を尽くしてもらいたいと思っております。
また、私に与えられた責務は、この新型コロナウイルス感染症を完全に克服して打ち克ち、経済をしっかりと回復させていく。その間は、雇用と暮らしを守り抜いていくことが私の責任であろうと、こう考えています。
(内閣広報官)
それでは、幹事社からもう1問。どうぞ。
(記者)
フジテレビの鹿嶋(かしま)です。よろしくお願いします。
政府の経済対策についてですが、スピードが依然として遅いという指摘があります。持続化給付金ですとか、申請してもなかなか振り込まれずに、廃業に追い込まれている事業者も数多くあると聞いています。
また、各社の世論調査で内閣支持率が下落傾向にある理由の、要因の一つに、これまでの政府の対応が、対策が評価されていない面もあると思いますが、今後どのように対応されていく考えでしょうか。
また、緊急事態宣言下で、総理も言及がありましたが、最低7割、極力8割、人との接触を減らす目標を掲げ、感染者の、これが抑制に効果を発揮したと思いますけれども、今後再びこの爆発的な感染拡大を起こさないために、総理は先ほど言及しましたが、外出自粛はできるだけ避けたいということをおっしゃっていますけれども、新たな日常ということで、国民にまた分かりやすい目標を、接触制限について示すお考えはありますでしょうか。
また、先ほど言及がありましたけれども、入国制限措置についても今後どのようなタイミング、判断で解除、緩和に入っていくのか。よろしくお願いします。
(安倍総理)
今、3つ御質問があったと思いますが、最初の質問については、大変、国民の皆様、厳しい状況の中で、中小企業・小規模事業者の皆様を含めて事業継続のために本当に歯を食いしばって頑張っておられると思います。そういう皆さんへの支援は、正にスピードがとても重要であると我々も認識をしております。
その中で、まだまだ届かないのではないかという御批判もあります。我々も受け止めなければいけないと思っていますが、第1次補正の成立から3週間余りが経過をいたしましたが、この間、今おっしゃった最大200万円の持続化給付金については、先般21日にぶら下がりの会見をさせていただいたわけでありますが、その際で、その時点で、入金開始から10日余りで40万を超える中小企業・小規模事業者の皆様に5,000億円をお届けしているというお話をさせていただきました。今日、25日でありますが、ですから、入金開始から大体2週間ということになりますが、45万の中小企業の皆様に6,000億円近い現金をお届けしております。これは、窓口の皆さんにも本当に頑張っていただいていると思いますが、これからもスピードを大切に、一体となって対応していきたいと思います。
また、身近な地銀や信金、信組を通じた実質無利子、最大5年間返済据置きの融資についても、3週間で1兆円を超える融資が行われています。公庫と合わせれば、これまで7兆円近い融資が行われているということになります。かつては、そういう融資についてもいろいろな検査、審査がありましたから、もっともっと時間がかかっていたのですが、これは相当スピードアップしていただいたというふうに、窓口でそれぞれ頑張っていただいていると思います。ただ、相当切迫した状況の方々も多いですから、我々もしっかりと性善説に立って対応していくように促していきたいと思っています。
また、1人当たり10万円の給付金は、全国で1,300を超える、8割近くの自治体で実際の給付が始まっています。何よりもスピードを重視して、これからも厳しい状況に立っておられる皆様に支援をお届けしていきたいと思います。
引き続き、2次補正予算も合わせて、あらゆる手立てを講じて、迅速に支援をお届けしていく考えであります。
また、人との接触については、最初の質問でもお答えをさせていただきましたように、新たな日常をつくり上げていくという中において、8割、人との接触を、これは削減するという、今度は、考え方には立たずに、言わば、どのように感染の拡大をコントロールできるか、その中で、どうすれば様々なことが実施できるかという観点に立ちたいと思っています。
その中で、今、おっしゃったようなことは100を超える業態においてガイドラインを作っていただきました。そのガイドラインの中で、今、新たな日常の中での事業の再開、様々な業態においてガイドラインが作られた、そのガイドラインに沿って、それも参考にしていただきながら、新たな日常をつくっていただきたいと、こう思っています。
最初に申し上げましたように、イベントやプロスポーツについて、また、観光旅行などについても段階的な緩和を行っていくという道筋についてもお示しをしていきたいと、こう思っています。
そしてまた、入国の措置については、国外においては依然として感染の拡大が広がっておりますし、新興国や途上国を中心に拡大も継続しています。警戒が必要な状態が続いていると認識をしておりますので。ただ、将来的には、我が国内外の感染状況等を踏まえながら、国際的な人の往来の再開に向けた検討を行っていくことも重要であろうと考えています。
感染再拡大の防止と両立する形で、どのように国際的な人の往来を部分的、段階的に再開できるかについて、対象国、対象者、手続を含め慎重に検討して、その上で政府として適切なタイミングで総合的に判断をしていく考えであります。もちろん、第一は国民の健康と命を守り抜いていく、これを最優先に考えていきたいと思います。
(内閣広報官)
これから幹事社以外の皆様から質問を頂きますので、改めてではございますけれども、質問の意思表示は発声ではなく、挙手でお願いいたします。私が指名いたしますので、お近くのマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにされた上でお願いしたいと思います。質問を希望される方は多いと思いますので、質問はお一人1問でお願いしたいと思います。
それでは、御希望される方、どうぞ、挙手をお願いいたします。
では、笈田(おいた)さん。
(記者)
毎日新聞の笈田と申します。
先ほど総理、これからの安倍政権の一丁目一番地として経済再生を挙げておられましたが、今回、月末までの期限から1週間程度前倒しして判断するに当たって、経済への影響や景気の低迷の状況については、どの程度考慮されたのでしょうか。また、特にその中で意識された経済指標などがあれば、お聞かせ願います。
(安倍総理)
まず、今回の解除については、21日もそうだったのですが、地域の感染状況、そして医療提供体制、監視体制、この3つの基準、要素に注目した上で総合的に判断をいたしました。しかし、今、お話を頂いた経済の状況、国民生活の状況、経営上ぎりぎりの困難に直面している皆様のことについては、常に私の頭にあります。ですから、この緊急事態宣言を廃止すると同時に、第1次補正、そして今度の第2次補正ということになってきているわけでありますが、事業の継続と雇用を、そして暮らしを守り抜いていくためにしっかりと下支えをしていきたい。ただ、同時に、それを今回の解除の基準の中に入れたわけではないということでありまして、この3つの基準について御判断を頂きまして、今回解除をしたということであります。
しかし、もちろん最大の政治の責任は雇用を守っていくということであります。安倍内閣が発足して以来、我々は、とにかく働きたい人が働ける、そういう日本をつくり上げていくということで全力を尽くしてきました。そういう中においては、失業率や有効求人倍率等々、非常に重視してきたわけでございますが、今は、とにかく皆さんが働く場を失うことがないように、事業が継続できるように、これからも全力を尽くしていきたいと、こう思っています。
(内閣広報官)
それでは、次の方から御質問を頂きます。御希望の方、挙手をお願いします。
では、私から遠い方の後藤さん。
(記者)
TBSテレビの後藤と申します。総理にお尋ねします。
緊急事態宣言の全面解除で、今日は一つの節目になると思うのですが、先ほど会見で、総理は今後の経済対策など、今後の見通しに力点を置かれてお話をされたと思うのですが、私は、これまでの政府対応についてお尋ねしたいと思います。
4月上旬に政府は、マスク1世帯当たり2枚配布するという方針を決めました。しかし、この2か月余り経過した中、まだ行き渡っていないというふうな世帯も多くあるのが現実です。そういった現状について総理はどのような認識をお持ちでしょうか。お願いいたします。
(安倍総理)
御指摘のマスク全戸配布については、1億2,000万枚を上回るマスクの製造や、あるいは梱包(こんぽう)、配送作業に携わる多くの皆さんがこの危機的な状況で、本当に頑張っていただいていると思います。感謝申し上げたいと思います。
その中で、この検品を強化をいたしました。そうした強化によって配布が予想より遅れているのは事実だろうと思います。マスクが手に入らず、その到着を待っておられる皆様に一日も早くお届けできるように全力を尽くしていきたいと思います。
例えば、先ほど申し上げました最大200万円の持続化給付金についても、45万を超える中小・小規模事業者の皆様に対して、現場において、多くの方々が休日返上で手続を進めていただいて45万を超える中小企業・小規模事業者の皆様に6,000億円近くをお届けしておりますが、まだまだ届いていない。先ほどもありました。どうしてもこういうときにはそういうことも御理解を頂かなければならないわけでありますが、一日も早くこうした支援もお届けしていきたいと、こう思っています。
明日の支払いにも本当に大変な状況の中で、早く届けてもらいたいという声も私たちに届いております。この持続化給付金についても、まだお届けできていないということについては大変申し訳ないというふうに感じておりまして、そういう皆様にも一日も早くお届けをしていきたいと、こう思っています。
今後、新しい生活様式の定着を図っていく上で、国民の皆様には常時マスクの着用をお願いをしているところでございますが、仮に国民全員が毎日、使い捨てマスクを利用するとなると、その需要は月30億枚を超えてしまいます。これまでの国内増産に加えて、輸入増加にも取り組み、今月は8億前を超える供給を確保できる見込みでありますが、このうち医療機関向けのサージカルマスクを優先的に供給していることも踏まえれば、需要の拡大に見合うだけの十分な供給量を確保することは引き続き難しい状況にあることは御理解を頂きたいと思います。
洗うことで再利用が可能な布マスクは、そうした需要の増大を抑えて、需給バランスを回復することに大きな効果が期待できます。マスク増産に取り組んでおられますユニチャームの高原社長も、先般、現在配布している布マスクとの併用が進めば、全体としてマスクの需要の拡大に対応できるのではないかということをおっしゃっているわけでありまして、その意味におきましても、一日も早くお届けできるように全力で取り組んでいきたいと思います。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
では、七尾さん。
(記者)
ニコニコ動画の七尾です。よろしくお願いします。
総理、尾身先生、脇田先生らを始めとする専門家会議の皆様、医療従事者の皆様、連日、ありがとうございます。
質問です。3密、フィジカルディスタンスを掲げる中にありまして、満員電車という状況は非常に厳しいと思います。満員電車の解消はコロナの時代の新たな日常の象徴の一つだと思いますが、総理は満員電車というものをどうお考えでしょうか。テレワークや時差通勤などの取組だけで十分だとお考えでしょうか。よろしくお願いします。
(安倍総理)
今回、感染症が拡大する中にあって、3密を避けなければいけないというときに、多くの皆さんは、満員電車がこのままでいいのかということを考えられたのだろうと思います。その中で今回、国民の皆様に大変な御協力を頂きまして、首都圏の主要路線においてはピーク時の時間帯の混雑が7割減少いたしました。これも正に皆様がテレワークあるいは時差通勤等で御協力を頂いた結果だろうと思います。改めて感謝を申し上げたいと思います。
今後は感染拡大を防止していく上において、今までの防止策を徹底しながら、社会経済活動を回復させて、新しい日常を官民でつくり上げていかなければならないのだろうと思います。その際、電車での感染リスクを低減することは極めて重要であると認識をしています。引き続きテレワークや時差通勤に御協力を頂きたいと思いますし、また、鉄道事業者においても車内換気の徹底や、車内での会話を控えていただくことなどを呼びかけるガイドラインを作成しています。引き続き国民の皆様、そして事業者の皆様に御協力をお願いをしたいと、こう思っておりますし、あとは、やはりテレワークが新しいスタイルの一つにはなってきているのだろうと。これはコロナ後の世界においても一つの大きな働き方の柱になっていく、それは満員電車に対して、満員状況を軽減していくことにおいても大きく寄与してくれるのではないかと期待をしています。
(内閣広報官)
それでは、次。
では、下久保(したくぼ)さん。
(記者)
中国新聞の下久保です。よろしくお願いします。
総理にお伺いしたいのは、災害避難所のことについてです。梅雨が近づいていますが、やはり関心というか、心配なのは、災害避難所での感染症対策です。政府は昨年、命を守る行動、早めの避難を呼びかけられましたが、今回もそれは必要だと思いますが、災害避難所でどのように感染を防いでいきますか。また、クラスターが発生した場合は大きな事態となりますが、この点について対策はどのようにお考えか、お聞かせください。
(安倍総理)
これから本格的な台風シーズン、あるいは集中豪雨が来襲してくる、そういう時期に当たるわけでありまして、国民の皆様には新型コロナウイルス感染症が完全に終息していない中にあっても、災害時に危険な場所にいる場合には避難所に避難するよう心がけていただきたいと思います。その際、3つの密を回避するなど、感染拡大の防止に我々も十分に対応していかなければならないと考えています。
そこで、政府においては、従来の対策に加えまして、ホテルや旅館等の積極的な活用も含めまして、可能な限り多くの避難所を開設していく。また、マスクやパーティションの備蓄など、必要な対策を講じていただくように地方自治体に要請をしているところでありますが、加えて、政府としても災害発生時には感染防止対策として、今、申し上げたマスクやパーティションを始め、必要な物資をプッシュ型で、これまで以上に迅速に支援していくことができるように、準備に万全を期してまいる考えであります。
繰り返しになりますが、そういう中にあっても、まずは災害発生時には避難所にまず避難をしていただくように心がけていただきたいと、こう思っております。
現在、こういう状況の中でこうした災害が発生した場合に備えて、武田担当大臣を中心に内閣府防災で今、しっかりと万全を期しているところであります。
(内閣広報官)
それでは、次の方。江川さん。
(記者)
フリーランスの江川紹子と申します。よろしくお願いします。
伺いたいのは、日本はなぜやることなすこと遅いのかという問題です。いろいろな対策、ここでたくさんいいことをやりますという話を聞きましたけれども、それがものすごく時間がかかっている。さっきマスクの話がありましたけれども、10万円の現金給付は、私のところにはいまだに申込書さえ届いておりません。雇用調整助成金のことも少しずつ改善されてはきたということは伺いましたけれども、非常に複雑で遅いと。いろいろなことが、幾らいいことをやりますといっても、かなり時間がかかっております。これはどうしてなのか。一つ一つの問題はいろいろ理由があると思います。さっきのマスクでいえば検品の問題があるとか、それ以外に手続の問題があるとか、いろいろあると思うのですけれども、何かもっと根本的なところが何か問題があるのではないかと。この間、検査のことで目詰まりという言葉をおっしゃっていましたけれども、それにも通じる何か問題があるのではないか。公務員の人員削減とか、IT先進国だと思っていたのが、実は後進国ではないかとか、あるいは危機に対して何の準備もできていなかったのではないかという、いろいろな見方があります。総理御自身は、今の問題についてどういうふうに認識していらっしゃるか。
そして、先ほどまだ検証すべき段階ではないとおっしゃいましたけれども、第二波だか第三波だかが来るかもしれないと。そういうときに備えて、やはり今の段階で検証をきちんとやって、そして、どこが足りないのかということを考えるということが必要ではないかというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。尾身先生にもこの点を答えていただければ幸いです。
(安倍総理)
まず初めに、私からお答えをさせていただきたいと思います。
まず、様々な給付について時間がかかるのではないかというお話を頂きました。10万円の給付については、この措置を決定した段階から総務省と、あと地方自治体には準備をあらかじめ進めてもらいました。普通、予算が国会で通らなければスタートしないのですが、その前から準備をしていただきました。ただ、今、御指摘があったように、IT化等々について十分に進んでいない点があることは率直に認めなければならないと思います。マイナンバーカードの活用において、例えばマイナンバーカードと銀行口座が既に結び付いていれば、これはかなりスピード感を持って対応することができたのだろうと、こう思います。その点についても反省すべき点は多々もちろんございますが、今回、その中においても地方公共団体の皆さんは相当頑張っていただいていると思います。
また、雇調金の問題につきましても、検証ということについては、我々もなかなか時間がかかっているではないかという御批判を頂くたびに、現場の状況がどうなっているのだということを常に我々もやり取りをしているわけでございます。ただ、もちろん現場も一生懸命、急にこうした危機の中で、給付の対象が相当大きなものになるということの中で頑張ってもらっているということについては、私も感謝をしているのですが、ただ、今までの審査のやり方でやっていくと時間がかかっているというのは事実でございまして、こういうときには思い切って発想を変えるということもとても大切なのだろうと思います。
言わば、みんながこれを政府全体、窓口に至るまで発想を変えていくということについて、私たちはどうだったかということは真剣に反省しなければならないのだろうと、こう申し上げなければならないと思います。
ただ、例えば、先ほど申し上げました持続化給付金におきましては、相当スピード感を持って対応しておりまして、この2週間余りで45万を超える中小企業・小規模事業者の皆様に6,000億円を超えるという、今までのスピード感では相当速くやっておりますが、ただ、こういう状況の中ではまだまだだということを感じておられる皆様方がおられることは、これは我々も認めなければならないと思いますので、これからも全力を尽くしていかなければならないと思っています。
また、PCRの問題につきましても、様々な課題や問題も、我々も明らかになってきたと思っておりますので、今度は100近いPCRセンターを設置をして、今までよりも相当能力を上げていきたいと、こう思っております。
あと、尾身先生。
(記者)
検証は。
(安倍総理)
本格的な検証については、これはもちろん、ある程度収束したらということを申し上げたのですが、ただ、もちろん第二波、第三波に備えて、これは医療提供体制と検査体制ということをしっかりと今、やっているところでありますが、医療提供体制については、我々は今、相当ある意味においては余裕を持つ状況になっている。ただ、ここで今後、ECMOに必要な、台数だけではなくて、人員を確保していくということ等々についてもしっかりときっちりと把握をしていきたいと思います。十分に全国において、都道府県との関係において把握できていたのかという課題もありますから、そういうこともしっかりと対応していきたい。これは終わってから検証するのではなくて、今、正にやっているところでありますし、PCRもそうであります。ただ、本格的な全体の検証というのは、これは終息した後、検証していきたいと思っています。
(尾身会長)
検証に関してですけれども、私、専門家の立場としては、これが、今、総理がおっしゃったように、最終的に終息した時点でしっかりとした検証が必要だと思います。
同時に、今日、全国の緊急事態宣言が解除されたわけですよね。この時期に、私は、最終的な評価とは別に、中間点としての評価は是非すべきだと思っています。それでも、これは専門家としての立場としては、今回の感染症対策は、どこが良かったのか、どこが改善すべきかというのは、できるだけ中間地点の、少し、今回こういうことにみんなの努力でなったので、やるべきで、それと、そういう日本の感染症全体の取組についての評価と、私ども専門家としては、我々専門家自身の在り方、どこが良かったのか、あるいはどこが改善すべきかということも含めて、近々、我々専門家としての中間的な評価は是非出してみたいと思っております。出すべきだと思っております。
(内閣広報官)
ありがとうございました。
それでは、次の方。
(安倍総理)
よろしいですか。前の方、よろしいですか。今ので。
(記者)
はい。でも、政府全体としては中間検証はやらないということですよね。
(安倍総理)
いわゆる中間検証というのは、今、考えていません。終わってからちゃんとやりますけれども。ただ、それが今、何も検証していないというのではなくて、先ほど申し上げましたように、医療提供体制においては検証しながら、また、PCRの体制についてもしっかりと検証しながら前に進んでいるということでありますし、また、給付についても、どこに課題があるかということについてはもちろん検証しながらやっておりますが、全体の政治判断も含めて検証ということについては、これは終息した段階で検証していきたいと思っています。
(内閣広報官)
それでは、次の問いに進みます。
御希望の方、では、西垣さん。
(記者)
時事通信、西垣です。
学校が再開していくに当たって、保護者の方々も先生方も9月入学がどういうふうになっていくのかというのは非常に大きな関心事だと思います。前回の会見でもお聞きさせていただきましたけれども、その後、政府の検討も進んでいると思いますが、現時点でのお気持ちがどういうことかということを教えていただきたいのと、あと、いつまでにその検討の方向性を出すお考えかというのも併せて教えてください。
あと、最後の方になってしまったので。サミットに触れられていましたけれども、入国制限、渡航制限がかかる中で、アメリカに行かれるお考えなのかということも併せて教えてください。
(安倍総理)
2問、御質問を頂いたというふうに思います。
まず、学校休業が長期化をしていく中において、子供たちの学びを保障していくことは極めて重要な課題であると考えています。その中において、政府としては、1人1台のIT端末の整備の大幅な前倒しや、感染リスクを低減しながら教育活動を継続するためのマニュアルの提示、そうしたあらゆる手段を尽くして子供たちの学びの保障に取り組んでおります。
なお、学校休業が長期化をします、その中において、9月入学の移行についても、いろいろな議論がなされておりまして、私は選択肢の一つであると考えています。私自身は有力な選択肢の一つであると考えてはおりますが、しかし、例えば与党においても、また、自民党においても、いろいろな議論が、極めて慎重な議論もあります。学校の再開の状況や、子供たちや保護者はもとより、社会全体の影響を見極めつつ、慎重に検討していきたいと思います。拙速は避けなければならないというふうに考えています。
そして、G7サミットについては、これは米国で実際に開催することも含めて、今、調整をしているというふうに承知をしております。もし調整が整えば、諸般の事情が許せば、私も参加をしたいと考えておりますが、今、現在ではまだ各国と調整中であるということでありますし、今、御質問になられた中で提示をされたような様々な課題もある中で、それを踏まえて調整をしているというふうに思います。
(内閣広報官)
それでは、次の質問を頂きます。
重田さん。
(記者)
日本経済新聞の重田です。
東京五輪についてお伺いいたします。本日、緊急事態宣言の全面解除となりましたが、世界ではなお新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。東京五輪には多くの観客が訪れるとみられますが、PCR検査などの検査体制の大幅な拡充、これは検討されますでしょうか。また、バッハ会長は来年の開催が困難なら中止との見通しを示していますが、再延期の選択肢はないという理解でよろしいのでしょうか。来年の開催の可否をいつまでに最終判断するかという点と併せて、御見解をお願いします。
(安倍総理)
現在、大会を主催するIOC(国際オリンピック委員会)、そして大会組織委員会等が来年夏の開催に向けて精力的に準備を進めているというふうに承知をしておりますが、新型コロナウイルスとの闘いは長期戦も覚悟しなければならないと思っています。政府としては、来年の夏に人類が新型コロナウイルス感染症に完全に打ち克った証として、完全な形で東京大会を開催したいと考えていますし、そういう方針であります。
しかし、そのためにも、これは日本だけでこの感染が終息すればいいということではなくて、もちろんオリンピックでありますから世界中の人々がやってきます。そして、世界中の国々の選手は、トレーニングもしなければならないでしょう。そういう意味におきましては、国内外の英知を結集して治療薬、そしてワクチンの開発を急ぎたいと、こう思っています。
もちろん国内においてPCRの検査体制を強化をしていく、充実をしていくということについては、抗原検査も含めて、また、先ほどPCRセンターを100近く開設していくという話もございましたが、しっかりとそういう体制も整えていくことはもちろん重要なのですが、同時に、今、申し上げましたように、オリンピックを開催する上において治療薬、ワクチンも極めて重要であるというふうに考えています。
(内閣広報官)
それでは、次の方。
(記者)
ウォール・ストリート・ジャーナルのランダースと申します。
今、アメリカと中国がウイルスなどをめぐって激しく対立しているわけですけれども、日本はどっち側につくのでしょうか。そして、先ほど特定の国に依存することなく、という表現をされたと思うのですが、これはやはり日本企業に対して、できるだけ速やかに中国による依存度を下げるべきだと、そういうお考えでしょうか。
(安倍総理)
例えば現在、中国と米国との間で新型コロナウイルス感染症の発生源をめぐって相当激しく議論が行われています。日本の立場でありますが、この新型コロナウイルスについては、中国から世界にこれは広がったというのは事実であるというふうに考えています。
そして、今後の日本の役割としては、今回のようなパンデミックが起こったときに世界がどう対応していくべきかという、その在り方について提示をしていくことなのだろうと思います。こういうときには世界中が協力をしなければいけません。その中で、WHO(世界保健機関)もしっかりとその役割を果たしていただかなければならないというふうに考えています。
ただ、日本の外交、安全保障の基本的な立場としては、米国は日本にとって唯一の同盟国でありますから、日本は同盟国として、また、自由や民主主義や基本的人権、法の支配といった基本的な価値を共有する同盟国として、米国と協力をしながら、様々な国際的な課題に取り組んでいきたいと考えています。
同時に、中国も、これは世界の中において極めて経済的にも重要な国であり、またプレーヤーでもあります。その中で、それにふさわしい責任も果たしていただきたいというふうに考えておりますし、日本と中国においても、これは共有している考えでありますが、正に国際社会が求めているのは、日本、中国、それぞれ国際社会において期待されている、それは正に地域の、また世界の中において、地域の平和と安定、繁栄に責任ある対応を採っていくということなのだろうと、中国がそういう対応を採ってくれることを期待したいと、こう思っております。
例えば、先般のWHOの総会においては、公平で独立した包括的な検証を行うべきであるという決議案をEUや豪州等と協力をして提出をしましたが、米国や、あるいは中国も賛同してコンセンサスを得ることができました。この中国や米国も賛同してコンセンサスを得る上において、日本も重要な役割、責任を果たすことができたと、こう思っています。
今後、今回のような全世界に甚大な影響を与える感染症に対しては、自由、透明、迅速な形で情報や知見が共有されることが重要であるということだと思います。
コロナの時代にあっては、日本が、最初に冒頭申し上げましたように、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的な価値を共有する国々と手を携えながら、そして、中国も含めて、国際社会がよって立つべき原則を築き上げていくことなのだろうと思います。その中で、世界の感染症対策をリードしていきたいと思っています。
(内閣広報官)
次の予定が、7時15分から新型コロナウイルス感染症対策本部ですから、最後の質問とさせてもらいます。
では、私に近い方の後藤さん。
(記者)
東京新聞、中日新聞の後藤です。
政府の緊急事態宣言が出されているさなかの賭けマージャンで辞職した黒川前東京高検検事長の問題についてお伺いします。
捜査機関や政府に対する信頼を大きく損なう重大な事案であるにもかかわらず、国民から処分が甘いという批判が相次いでおります。総理は先ほど、批判は真摯に受け止めるという発言がありましたが、そうした厳しい国民感情を踏まえても、今回の訓告の処分が適当で、満額で6,000万円とも言われる退職金がそのまま支払われることに何ら問題はないと考えているのでしょうか。
また、法務省は、国家公務員法に基づく懲戒が相当と判断していましたが、官邸が懲戒にはしないと結論づけたというような報道もありますが、処分の前にどのような協議が官邸となされていたのか、その点についても詳しくお聞かせください。
(安倍総理)
黒川氏の処分については、先週21日に法務省から検事総長に対し、調査結果に基づき訓告が相当と考える旨を伝え、検事総長においても訓告が相当であると判断をして、処分したものと承知をしています。
私自身は、森法務大臣から、事実関係の調査結果を踏まえて処分を行ったこと、その上で、黒川氏本人より辞意の表明があったので、これを認めることとしたいとの報告がありまして、法務省の対応を了承したものであります。もちろん、対応を了承しておりますので、この処分について総理大臣として、行政府の長として、責任を持っているところでございます。
国民の御批判に対しては、これも真摯に受け止めなければならないと、この上は、法務省、検察庁において信頼を回復するために全力を尽くさなければならないと、私も全力を尽くしていきたいと思っています。
(記者)
退職金については、そのまま支払われることは問題ないでしょうか。
(安倍総理)
退職金については、訓告処分に従って減額されているというふうに承知をしています。
(内閣広報官)
ありがとうございました。
それでは、7時15分から対策本部でございますので、今回の会見ですけれども。
では、手短にお願いしますね。これで最後にしますから。
(記者)
朝日新聞の星野です。
先ほど支持率の話が出ていましたが、最近の世論調査で軒並み下がっていますけれども、それについて、御自身でどう分析されているか、お聞かせください。
(安倍総理)
我々、日々の支持率に一喜一憂することなく、与えられた使命に全力を尽くしていきたいと思っています。
(内閣広報官)
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、本日の記者会見を結ばせていただきます。
皆様の御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。