「東日本大震災七周年追悼式」における内閣総理大臣式辞
本日ここに、秋篠宮同妃両殿下の御臨席を仰ぎ、「東日本大震災 七周年追悼式」を挙行するに当たり、政府を代表して、謹んで追悼の言葉を申し上げます。
かけがえのない多くの命が失われ、東北地方を中心に未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から、七年の歳月が流れました。
最愛の御家族や御親族、御友人を失われた方々のお気持ちを思うと、今なお哀惜の念に堪えません。ここに改めて、衷心より哀悼の誠を捧げます。また、被災された全ての方々に、心からお見舞いを申し上げます。
七年の歳月が流れ、被災地では復興が一歩ずつ着実に進展しております。地震・津波被災地域では、生活に密着したインフラの復旧はほぼ終了し、住まいの再建も今春までに9割が完成する見通しであります。
原発事故によって大きな被害を受けた福島の被災地域では、避難指示が順次解除され、また、帰還困難区域においても特定復興再生拠点の整備が動き出しました。
しかしながら、今なお7万人を超える方々が避難され、七年間にも及ぶ長期にわたって不自由な生活を送られている方もいらっしゃいます。ふるさとに戻る見通しが立っていない方々も数多くおられます。
被災者お一人お一人が置かれた状況に寄り添いながら、今後とも、避難生活の長期化に伴う心の復興や心身のケア、生活再建のための相談に加え、新しいコミュニティ形成の取組など、生活再建のステージに応じた切れ目のない支援に力を注ぐとともに、原子力災害被災地域における帰還に向けた生活環境の整備、産業・生業の再生支援など、復興を加速してまいります。
同時に、震災による大きな犠牲の下に得られた貴重な教訓を、胸に刻みながら、英知を結集して、防災対策を不断に見直してまいります。政府一丸となって、災害に強い、強靭な国づくりを進めていくことを、改めて、ここに固くお誓いいたします。
震災の発生以来、地元の方々の御努力をはじめ関係する全ての方々の大変な御尽力、全国各地からの御支援に支えられながら、復興が進んでまいりました。本日ここに御列席の、世界各国・各地域の皆様からも、多くの、温かく心強い御支援をいただいています。心より感謝と敬意を表したいと存じます。
災害との戦いは、世界共通の課題です。東日本大震災の教訓と我が国が有する防災の知見や技術を皆様の国・地域の災害被害の軽減に役立てていくこともまた、我々の責務です。今後とも、防災分野における国際貢献を、一層強力に進めてまいります。
我が国は、幾度となく、国難と言えるような災害に見舞われてきましたが、その度に、勇気と希望をもって乗り越えてまいりました。今を生きる私たちも、先人たちに倣い、手を携えて、前を向いて歩んでまいります。
御霊の永遠に安らかならんことを改めてお祈り申し上げるとともに、御遺族の皆様の御平安を心から祈念し、私の式辞といたします。
平成30年3月11日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三