2018年「海の日」を迎えるに当たっての内閣総理大臣メッセージ
平成30年7月16日
四方を海に囲まれ、世界有数の広大な管轄海域を有する我が国は、古来より漁業や海運を通じて、多大な恩恵を海から受けて発展してきました。更に、現在、深海や北極など、海洋の新たなフロンティアが広がり、その可能性に多くの期待が寄せられています。
同時に、昨今、我が国周辺での外国公船の領海侵入をはじめ、海洋をめぐる情勢が厳しさを一層増す中で、我が国が海洋国家として、平和と安全を守り、繁栄していくため、長期的・体系的な対策が求められています。
本年5月、「新たな海洋立国への挑戦」を掲げ、「第3期海洋基本計画」を策定しました。
総合的な海洋の安全保障の実現に向けて、領海警備、治安の確保、災害対策はもとより、海洋状況把握(MDA)の能力強化、国境離島の保全・管理に政府一体となって取り組みます。外交面では、基本的価値を共有する国々と連携・協力しながら「自由で開かれたインド太平洋戦略」を着実に推進していく考えです。
海洋大国である我が国にとって、海に関するイノベーションは、未来の成長に向けた礎です。深海に眠る貴重な鉱物資源の探査・回収や、自動運航船の実用化に向けた技術開発等を進め、更なる海洋の活用を実現します。
マイクロプラスチックなどの海洋ごみや、気候変動など、世界規模の課題にも対応していかなければなりません。美しく豊かな海を次世代へ引き継ぐことは、今を生きる我々の責務であり、国際社会と連携しながらリーダーシップを発揮していきます。
我が国の未来は、海とともにあります。「海の日」が、改めて海の恵みを感じ、国民一人一人の海に対する関心がより一層深まり、そして、皆様とともに、海と日本の将来を描く機会となることを、期待しています。
平成30年7月16日
内閣総理大臣・総合海洋政策本部長 安倍晋三