東日本大震災・総理大臣官邸献花式
令和2年3月11日、安倍総理は、総理大臣官邸で東日本大震災・総理大臣官邸献花式に参列しました。
総理は、黙とうに続いて、追悼の言葉を述べました。
「本日、東日本大震災発災9年を迎えるに当たり、政府を代表して、謹んで追悼の言葉を申し上げます。
最初に、本年の政府主催東日本大震災九周年追悼式の開催中止について申し上げなければなりません。
追悼式については、規模縮小など新型コロナウイルスの感染拡大を防止する措置を講じた上で実施する方向でぎりぎりまで模索を続けてきましたが、現下の状況を踏まえ、今が国内における感染拡大を防止するためにあらゆる手を尽くすべき時期であることから、誠に遺憾ながら、開催を断念するのやむなきに至りました。御遺族を始めとした関係者の皆様にお詫(わ)び申し上げます。
かけがえのない多くの命が失われ、東北地方を中心に未曾有(みぞう)の被害をもたらした東日本大震災の発生から、9年の歳月が流れました。
最愛の御家族や御親族、御友人を失われた方々のお気持ちを思うと、今なお哀惜の念に堪えません。ここに改めて、衷心より哀悼の意を捧(ささ)げます。また、被災された全ての方々に、心からお見舞いを申し上げます。
震災から9年が経ち、被災地の復興は、着実に進展しております。地震・津波被災地域においては、住まいの再建・復興まちづくりはおおむね完了し、産業・生業(なりわい)の再生も順調に進展しているなど、復興の総仕上げの段階に入っています。
原発事故によって大きな被害を受けた福島の被災地域では、3月14日、JR常磐(じょうばん)線が全線開通の予定であり、一部地域では帰還困難区域として初めての避難指示解除が行われるなど、復興・再生は新たなステージに入ります。一方で、いまだ6千人の皆さんが仮設住宅での避難生活を強いられるなど、長期にわたって不自由な生活を送られています。
政府として、今後も、被災者の生活再建のステージに応じた切れ目のない支援を行ってまいります。中長期的な対応が必要な原子力災害被災地域においては、帰還に向けた生活環境の整備や産業・生業の再生支援などを着実に進めてまいります。来年度で終了する復興・創生期間の後も、次なるステージに向け全力で取り組みます。
震災による大きな犠牲の下に得られた貴重な教訓を決して風化させてはなりません。国民の命を守る防災・減災を不断に見直してまいります。あらゆる分野において国土強靱(きょうじん)化を進め、災害に強い故郷(ふるさと)をつくり上げていくことを、改めて、ここに固くお誓いいたします。
震災の発生以来、地元の方々や関係する全ての方々の大変な御努力に支えられながら、復興が進んでまいりました。世界各国・各地域の皆様からも、多くの、温かく心強い御支援をいただきました。心より感謝と敬意を表したいと存じます。世界の多くの方々に、復興五輪と言うべき本年のオリンピック・パラリンピックなどの機会を通じて、復興しつつある被災地の姿を実感していただきたいと思います。
震災の教訓と我が国が有する防災の知見や技術を、世界各国・各地域の防災対策に役立てていくことは、我々の責務であり、今後も防災分野における国際貢献を、一層強力に進めてまいります。
我が国は、幾度となく、国難と言えるような災害に見舞われてきましたが、その度に、勇気と希望を持って乗り越えてまいりました。今を生きる私たちも、先人たちに倣い、手を携えて、前を向いて歩んでまいります。
御霊(みたま)の永遠に安らかならんことを改めてお祈り申し上げるとともに、御遺族の皆様の御平安を心から祈念し、私からの追悼の言葉といたします。」