福島県訪問
令和2年3月7日、安倍総理は、福島県を訪問しました。
総理は、富岡町の宿泊施設で懇談を行った後、双葉町の双葉駅を視察しました。その後、常磐(じょうばん)自動車道の常磐双葉インターチェンジ開通式に出席しました。
開通式の挨拶で、次のように述べました。
「本日は、常磐自動車道常磐双葉インターチェンジ開通、誠におめでとうございます。
東日本大震災から、まもなく丸9年になります。安倍政権では、福島の復興なくして、日本の再生なし、この一心で、被災された方々の声に耳を傾けながら、現場主義の復興に取り組んでまいりました。今般、避難指示の解除によって、双葉町でも復興・創生が目に見えるかたちで、大きく動き始めました。
本日、ここに開通する常磐双葉インターチェンジは、浜通りの皆さんの暮らしを支えるとともに、働く場、元気な経済をつくる基盤となります。
ここから県道で直結する中野地区の産業拠点では、全国的に有名なタオルメーカーなど、12の企業が既に立地を決定しています。双葉ブランドのタオルが、これでございますが、これは体を拭いても汗を拭っても、首に巻いても大変快適でございます。是非こうしたブランドが、ここを通って、全国各地に運ばれていくことを期待しています。さらには、浜通りと各地とをつなぐ、人、ものの流れは大きく、多様なものとなっていくに、そして育っていくことに間違いありません。そして、そのことが、福島の復興・創生を支える大きな力となっていく。そう確信しております。
最後になりますが、本日の開通に至るまで、関係者の皆様の大変な御努力に対しまして、心から敬意を表したいと思います。引き続き政府として、復興に前面に立って全力で取り組んでまいりますことをお誓い申し上げまして、本日の開通に当たりの御挨拶とさせていただきたいと思います。本日は皆様、誠におめでとうございました。」
続いて浪江町の東日本大震災慰霊碑で献花及び黙礼をしました。最後に、福島水素エネルギー研究フィールドを視察し、開所式に出席しました。
開所式の挨拶で、次のように述べました。
「福島水素エネルギー研究フィールドの竣工に当たり、心からお喜び申し上げます。
再生可能エネルギーから水素を生み出す、世界最大の施設がいよいよ稼働します。ここで製造されるCO2を全く排出しないクリーンな水素は、年間200トン。現在国内で走っている、全ての燃料電池自動車が一年間に使う水素の半分以上を、ここだけで賄うことが可能となります。原発事故で大きな被害を受けた福島から、未来の水素社会に向けた新しいページが、今、正に開かれようとしています。福島新エネ社会構想が大きく動き出します。
今月26日には、ここ福島から、2020年聖火リレーがスタートします。その火を灯すのは、この場所で生まれた水素です。さらに、オリンピック・パラリンピックの大会期間中、街の中でも、自動車やバスが水素で走り、選手村では、水素を活用した電気が利用されます。
2020年、更にはその先の未来に向かって、水素社会を一気に実現していく。福島水素エネルギー研究フィールドは、その世界最大のイノベーションの拠点となるはずです。
私は昨年、スイスで行われたダボス会議で、水素の製造コストを2050年までに、今の10分の1以下に引き下げ、天然ガスよりも割安にすることを目指すとの、野心的な目標を世界に向かって掲げました。その壮大なチャレンジの舞台は、この福島です。ここから、皆さんと共に、世界のエネルギーのありようを大きく変革していく。その決意であります。福島産のクリーンな水素が、工場の生産現場を動かすエネルギーとなり、バスやトラック、あらゆる自動車の燃料となる。浜通りに生まれるロボットテストフィールドでは、水素ドローンも飛び回ることとなるはずです。そのような水素の新しい時代を、共に築き上げてまいりましょう。
最後になりますが、この世界最大の研究フィールドの開設に向けて、御尽力された関係者の皆様に心から敬意を表するとともに、今後ますますの御活躍を祈念いたしまして、私の御挨拶とさせていただきたいと思います。本日は誠におめでとうございました。」
視察後、総理は次のように述べました。
「まもなく、東日本大震災から9年を迎えます。昨夜は、地元の皆様が新たに富岡駅前につくられたホテルに宿泊いたしました。被災地の皆様の故郷(ふるさと)への思いが大きな力となり、復興は、確実に前進しています。
来週いよいよ、JR常磐線、全線開通いたします。それを控えて、発災以来、町全体で避難が続いていた双葉町では、一部で避難指示が解除され、本格的な復興に向けて、大きな一歩が踏み出されました。
そして本日、常磐自動車道・常磐双葉インターチェンジが開通いたしましたが、 政府は、これまで、復興の基盤インフラの整備に力を尽くしてまいりました。今後、特定復興再生拠点の整備を進め、避難生活を送っておられる方々が、浜通りに戻ってきていただけるように、努力を重ねてまいります。
同時に、復興が単なる復旧に終わってはなりません。この研究フィールドは、再エネ100パーセントの水素製造拠点としては、世界最大であります。加えて、ロボットテストフィールドなど、国として、浜通りを、世界最先端のイノベーション・コーストとすべく、全力を挙げてきたところであります。
未来を見据えて、皆で新しい福島をつくっていく。その中で、避難しておられる方々に留まらず、日本中の多くの方々に、この浜通りに移住していただきたいと考えています。そうした考え方の下、従来の交付金を拡充いたしまして、魅力的ある働く場づくり、そして移住の推進に重点を大きく振り向けてまいります。
福島の復興なくして、日本の再生なし。この考え方の下に、福島が復興する、その日が来るまで、国が前面に立って、全力を挙げてまいります。
そして、新型コロナウイルス感染症の影響についてでありますが、3月11日は被災地の皆さんにとって、また日本にとって忘れ得ぬ日でありますし、忘れてはならない日であります。それは何年経っても変わりありません。その中において、こうしたウイルス対策をどのようにしていくか、国においても様々な対応を考えましたし、また、地域においても様々な対応を考えていただいております。本日の式典におきましては、地域の皆様への御招待は取り止めさせていただきました。同時に、ネットで配信をさせていただいたところで、こうしたかたちを取らさせていただいたところであります。この1、2週間が山場である、との提言を受けまして、国民の皆様に御協力いただいております。
来週中に、緊急対応策第二弾を取りまとめます。そして、国民生活、また国民経済への影響を、最大限緩和するために、あらゆる対策を講じていく考えであります。」
また、東京オリンピックの招致の際の情報発信について、次のように述べました。
「正に、そうした発信をさせていただきました。いろんな報道がございました。間違った報道もあった。その中で正確な発信をいたしました。そしてその上において、オリンピックの誘致が決まったものと思います。」