就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム
令和元年11月26日、安倍総理は、総理大臣官邸で第1回就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォームに出席しました。
会議では、就職氷河期世代支援に向けた取組について議論が行われました。
総理は、前半の挨拶で次のように述べました。
「伊藤さん、林さん、そして工藤さん、ありがとうございました。最初に西村大臣からお話しさせていただきましたように、たまたま経済状況が非常に厳しい状況となり、就職氷河期に就業年齢を迎えた方々、大変困難な状況だと。
その中で、伊藤さん、林さんからは、その結果引きこもりとなっている方々の状況、短い時間でございましたが、お話を頂きました。言わば、政府として、産業政策や雇用政策という側面ではなく、一人一人に着目せよというお話だったんだろうと、このように思います。
その意味においては、例えばもうすぐに就業、会社に行ってきて、ということではなくて、いかに社会へのつながりを取り戻し、社会とのつながりの中で、新しい人生に向かって一歩踏み出せるような、そういう状況をつくっていくということの重要性についてお話を頂いたと思います。
その中でまた、工藤さんからは、就業ということについても、普通の就業年齢を迎えた方、あるいは再就職の方とは違い、様々な困難もあるというお話も伺いました。
一人一人に着目しながら、柔軟な対応が必要であろうと思いますし、在宅での仕事も含めて、柔軟な働き方をしっかりとメニューとしてたくさんつくっていくということも大切なのでしょうし、受け入れる社会側も、そういう対応ができるようにしていかなくてはいけないという認識を持ったところでございまして。また、そういう皆さんの声をこれからもこのプラットフォームに、現場の声を伝えていただきたいと思うところでございまして。我々もこのアウトリーチという考え方の下に、一人一人にこちら側からお話を聞きに行く、あるいは、これは厚生労働省、例えば、旧労働省だけではなくて、旧厚生省の管轄も併せて対応していく、必要もある。
相談支援機関の機能強化、居場所づくりの重要性ということについても、我々認識させていただいたところでございます。たまたま、経済状況がそういう状況となったがために、そういう厳しい状況にある方々に、しっかりと何よりも寄り添いながら政策を続けて行きたい。よろしくお願いいたします。」
また、総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「皆様、改めまして今日は大変お忙しい中、お集まりいただき、貴重な御意見を頂いたこと御礼を申し上げたいと思います。
もっと早く、この就職氷河期の方々に対する政策を実行するべきだったと、こう思っているところでありますが、同時に、我々はこの7年間の間に、働き方改革を進め、同時に、就業状況を改善してきたわけでございます。こうした政策を、今回のこの政策を取り組みやすい状況が整っているのも事実でございますので、これを機会に、こうしたプラットフォームをつくって、政府一丸となって取り組んでいきたいと思っております。
最初に3人の方々から、言わば、雇用政策に偏ることがないように、一人一人よく見るというお話も頂きました。
特に、『ひきこもり』の方々を始め、それぞれの方々の事情に応じた居場所づくりの重要性や、丁寧な寄り添い支援の必要性について、改めて認識を強くしたところでございました。
そしてまた、再チャレンジしていく上において、リカレント教育の重要性についても、またキャリアアップの機会をしっかりと提供していくという意味においても、重要度が大きいと再認識したところでございます。政府としては、頂いた御意見を踏まえつつ、就職氷河期世代の皆様の活躍の機会が広がるように、今回の経済対策も含めて、あらゆる手段を尽くして政策対応を行っていく考えであります。
特に、昨今、地方自治体における、この世代の中途採用を進める動きが見られています。国自らも積極的に動くという観点から、国家公務員の中途採用について、今年度から具体的に取り組んでまいります。
今後、西村大臣を中心に、関係大臣の協力も得ながら、制度の改善も含め、具体的な行動計画を取りまとめていただきますようにお願いいたしたいと思います。
本日の会議におきましては、企業や地方自治体の先進的な取組の御紹介もいただいたところでございますが、今後の支援に当たっては、官民一体となって取り組んでいくことが重要と考えております。
先ほど、玄田先生からお話があったように、正にこの政策、取組は再チャレンジ政策のシンボルと言えるものでございまして、今回は就職氷河期の方々にフォーカスを当てているところでございますが、同時に今回の議論は、今後様々な困難な状況にある方々に対する対応において、基礎となるものとなるのではないかと、こう期待もしているところでございます。また、今後こうした就職氷河期をつくらないということも、我々行政の大きな責任ではないか、こう思うところでございます。
今後とも、皆様方の御意見を賜りたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。」