北方領土返還要求全国大会
平成31年2月7日、安倍総理は、都内で開催された平成31年北方領土返還要求全国大会に出席しました。
総理は、挨拶で次のように述べました。
「平成31年北方領土返還要求全国大会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
本日御列席の皆様を始め、全国各地で、北方領土問題の解決に向けて熱心に取り組んでおられる皆様の日々の御尽力に、心から敬意を表するとともに感謝申し上げたいと思います。
戦後73年が経過してもなお、北方領土問題が解決されず、日本とロシアの間に平和条約が締結されていないのは、異常な状態と言わざるを得ません。2年前の長門(ながと)での首脳会談で、私とプーチン大統領が、自らの手で平和条約を締結するとの真摯な決意を表明して以来、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、日露の間でこれまでにない交渉や協力を進めてまいりました。
長門での合意を受けて、元島民の皆様の航空機によるお墓参りが、史上初めて実現しました。先月のモスクワでの首脳会談では、こうした取組の重要性をプーチン大統領との間で確認し、その上で、本年の航空機墓参をこの夏にも実施することで合意しました。元島民の皆様が高齢となられる中で、より負担の少ない往来を可能にするため、これからも尽力してまいります。
北方四島における共同経済活動については、2度の現地調査と民間中心のビジネス・ミッションの派遣、そしてプロジェクト候補のロードマップにより、具体的道筋が明確になってきました。今後とも、地元の皆様の利益になるとの観点や皆様の御意見を踏まえつつ、双方の法的立場を害さない形でプロジェクトを早期に実施すべく、精力的に取り組んでまいります。
こうした協力の積み重ねにより培われた信頼の上に、昨年11月、シンガポールでの日露首脳会談で、私とプーチン大統領は、1956年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることで合意しました。
先月の首脳会談では、平和条約の問題について、プーチン大統領と2人だけで、じっくりと時間をかけて、胸襟を開いて話し合いました。その上で、2月中に次回の外相間の交渉を行うとともに、首脳特別代表間の交渉も行い、平和条約交渉を更に前進させるように指示をしました。
戦後73年以上残された課題の解決は容易ではありません。しかし、私たちはこれをやり遂げなければなりません。皆様の北方領土への切実な思いをしっかりと胸に刻み、一歩一歩、着実に、領土問題の解決に取り組んでいく所存でございます。
6月の大阪G20サミットにプーチン大統領をお招きし、併せて首脳会談を行います。日本国民とロシア国民が、互いの信頼関係、友人としての関係を更に増進し、相互に受け入れ可能な解決策を見いだすための共同作業を力強く進め、領土問題を解決して、平和条約を締結するとの基本方針の下、交渉を進めてまいります。
交渉を進展させるためには、国民一人一人が、この問題への関心と理解を深め、政府と国民が一丸となって取り組むことが重要であります。引き続き、力強い御支援と御協力を賜りますよう、改めてお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。」