日中両首脳による北海道訪問
平成30年5月10日、安倍総理は、中華人民共和国の李克強(り・こくきょう)国務院総理と北海道を訪問しました。
翌11日、両首脳は、札幌市で第3回日中知事省長フォーラムに出席しました。その後、苫小牧市の自動車製造企業の工場を視察し、続いて、恵庭市を訪問しました。最後に、総理は、新千歳空港で李国務院総理を見送りました。
総理は、第3回日中知事省長フォーラムの挨拶で次のように述べました。
「本日は第3回日中知事省長フォーラムにお招きいただきまして、誠にありがとうございます。
まず今回のフォーラムが、李克強国務院総理の御出席を得て盛大に開催されることを心からお祝い申し上げます。全国知事会会長を務める上田清司埼玉県知事及び李小林(り・しょうりん)中国人民対外友好協会会長の開催に向けた御尽力に敬意を表します。
また、本日のフォーラムには、中国の四川省、河北省、遼寧(りょうねい)省、黒竜江省、江西省から、省長や副省長の方々が参加されていると承知しております。皆様の御来日を心から歓迎いたします。
日本から出席する、北海道、岩手県、山形県、埼玉県、静岡県、富山県、鳥取県の知事の皆様と共に行われる本日の意見交換が実りあるものとなることを期待しております。
そして李総理の北海道訪問に対し大変すばらしいおもてなしをされている高橋はるみ知事にも、私から心から感謝申し上げたいと思います。
私も北海道に来るのをいつも楽しみにしておりますが、昨年、736万人の方々が訪日した中国の方々にも、ここ北海道は特に人気の高い目的地となっています。2008年に北海道を舞台として大ヒットした中国映画『狙った恋の落とし方。』、大変題名もいいと思います。少し若い時代のことも思い出すわけでありますが、この映画は、中国の若者の北海道ブームの火つけ役になったと伺っております。このことは地方交流を活性化していく上で大きなヒントを与えてくれています。
日中両国の友好都市交流は、国交正常化直後の1973年の神戸市と天津市の友好都市連携に始まり、現在ではその数は360組を超えています。
地方交流は、日中関係がどのような状況にあるときでも、常に友好の源として両国の絆を途切れることなくしっかりとつなぎとめ、一つの世代から次の世代へと受け継がれてきました。
本日のフォーラムでは、両国を取り巻く新たな情勢の下で、今後の地方交流の在り方について議論されると伺っております。特に、両国が共に直面している深刻な課題である少子高齢化を克服するためには、地方の活性化が不可欠です。私も地方創生を最重要政策として掲げ、地方の雇用創出、出生率の向上等に努めてまいりました。李総理も河南省、遼寧省での経験もいかされ、貧困脱却を始め、中国全土の均衡のとれた発展に御尽力されていると伺っております。
日中両国がお互いの経験を参考にしながら、地方の経済振興、観光振興、あるいは強靭な社会づくりのため、共に知恵を出し合い、有効な対策を講じていく。大切なことは、両国の戦略的互恵関係を目に見える形で実行に移すことであると思います。
例えば、日本の医療介護に関するノウハウと中国のドローン技術をマッチングすることで、過疎地の医療介護サービスの向上や人手不足の解消を実現できないか。両国の協力の可能性は大きく広がっていると言えます。本日は、是非皆様の叡知(えいち)を結集して、日中両国の地方交流、地方協力の新たな形について活発な議論を行っていただきたいと思います。
最後に、常日頃から両国の地方交流の第一線で御尽力いただいている御臨席の皆様に深い敬意と感謝を申し上げますとともに、本日のフォーラムの御成功を心からお祈り申し上げます。」