硫黄島戦没者慰霊追悼顕彰式における内閣総理大臣追悼の辞
硫黄島戦没者慰霊追悼顕彰式の挙行に当たり、この地で命を落とされた方々の御霊(みたま)に対し、衷心より哀悼の誠をささげます。
先の大戦では、苛烈な戦闘の末に遠い異郷の地で、数多くの尊い命が犠牲となりました。激戦の地である、ここ、硫黄島においては、2万人を超える方々が、祖国を思い、愛する家族を案じながら戦い、亡くなられました。
最愛の肉親を失い、幾多の苦難に見舞われながら戦後を生き抜いてこられた御遺族の御労苦は、並々ならぬものであったと拝察をいたします。ここに深く、亡くなられた方々の御霊の安らかならんことをお祈りし、御遺族の皆様方に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
また、本日の式を始め、これまで長らく硫黄島戦没者の方々の慰霊に取り組まれてきた硫黄島協会の皆様に心よりの敬意を表します。
今日の我が国の平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れてはなりません。改めて、衷心より、敬意と感謝の誠をささげます。
いまだに帰還を果たされていない多くの御遺骨のことも、決して忘れません。一日も早くふるさとにお迎えできますよう、国家の責務として全力を尽くしてまいります。
戦後、我が国は一貫して、平和国家として、その歩みを進めてまいりました。戦争の惨禍を二度と繰り返さない。歳月がいかに流れても、この決然たる誓いを、世代を超えて継承し、貫いてまいります。
終わりに、今一度、硫黄島において命を落とされた方々の御霊に平安を、そして御遺族の皆様には御多幸を心よりお祈り申し上げ、私の追悼の言葉といたします。
令和7年3月29日
内閣総理大臣 石破 茂