福島県訪問等についての会見
(東日本大震災発生から14年が経つが復興の現状と課題について、また、来年3月で終了する「第2期復興・創生期間」の後の復興事業について、今の規模を上回る財源を確保するとしているが、どのような復興施策に重点的に取り組んでいくのかについて、また、ロボット研究施設の視察、関係者との車座の所感と今後の施策にどのように反映していくか、今後、同様に地方視察を重ねていくのかについて)
東日本大震災、大津波、原発事故から14年が経過する中、本日、改めて、被災者そして御家族の皆様方に、哀悼の誠を捧(ささ)げたいと存じます。
この間、被災地の方々の絶え間ない御努力により、復興は着実に前進をしてまいりました。
地震・津波被災地域では、ハード整備は進んでおりますが、心のケアなど中長期的な対応が必要な課題もありまして、なお必要な支援が行えるよう取り組んでまいります。
原子力災害被災地域では、市町村によってはでありますが、未だ帰還困難地域を抱えております。復興の現状は地域によって様々でございまして、きめ細かく対応いたしていく所存でございます。
「第2期復興・創生期間」の次の5年間でありますが、帰還・移住の促進、産業・生業(なりわい)の再生などを一層進め、廃炉や除去土壌などの最終処分の実現に向けた道筋をつけるために、極めて重要な期間であると認識をいたしております。
これまで以上に力強く復興施策は推進してまいります。本年夏までに「復興の基本方針」の見直しを行います。
福島につきましては、未だ厳しい地域の実態、乗り越えねばならない課題がございます。これらを我が事として熟知する福島県あるいは市町村が進める復興の事業につきまして、十分に財源を確保いたしました上で、次の5年間の全体の事業規模は今の5年間を十分に超えるものといたしたいと、このように考えております。
今後5年間における福島国際研究教育機構の本格稼働、特定帰還居住区域における除染の進展など、復興事業に支障が生ずることのないよう、必要な財源について確実に確保したいと思っております。本年夏の「復興の基本方針」の見直しの際に、必要な事業規模及び財源を明示をいたします。
福島復興と「地方創生2.0」を掛け合わせました全国の参考となりますところの「福島イノベーション・コースト構想の青写真」を各省庁の知見を結集し、夏までに策定をして、次の5年間に強力に推進をいたしてまいります。
この震災を風化させてはならないのでありまして、復興庁が司令塔となり、内閣の最重要課題である福島の復興について、それぞれの閣僚、それぞれの思いを下に責任を貫徹をいたしてまいります。
午前には、福島市内のロボット製造企業の研究開発拠点を視察をいたしました。もう午後に入っていましたかね。イノベーション創出に取り組む経営者の方々との車座対話も行ったところであります。
「地方創生2.0」・「令和の日本列島改造」を推し進めるため、「地方イノベーション創生構想」を具体化をいたしてまいります。
第1に、各地に「イノベーション拠点」を整備することで、スタートアップや成長企業の集結を促し、新たな産業創生につなげたいと思っております。
第2に、全国の様々な地方でそれぞれの社会課題から新たな製品・サービスを生み出していくため、特区などの規制・制度改革や、新地方創生交付金の活用、新技術の社会実装に向けたマッチング支援を強化いたします。
第3に、それぞれの地域資源を最大限活用した高付加価値型の産業・事業を創出するため、農林水産業も含めまして、デジタルなどの新技術を活用した経営や産業の高度化を強力に支援をいたします。
第4に、若者や女性を始めとした人材の確保・定着が重要でありまして、これを副業などを含め支援をいたしてまいります。
地方でも安心して、創造的・文化的に暮らせるように、まちづくりを民の力で推進していくため、地域の課題解決にも取り組む民間事業者に対する支援策を拡充をいたします。
福島で得られました示唆あるいは好事例、これを全国で普遍化をいたしますため、「地方創生イノベーション構想」の関係省庁会議を立ち上げることといたします。
福島を出発点として、今後もできるだけ全国各地にまいりまして、産官学金労言、そういう方々との対話を深めたいと存じております。以上です。
(東京電力福島第一原発2号機で、燃料デブリの試験的取り出しに着手し、中長期ロードマップの「第3期」に移行したが、デブリが880トンとされる中、取り出せたのはわずか0.7グラムであり、2051年までに廃炉を完遂する工程目標を見直す考えはないのか)
試験的取り出しが成功したということは、極めて重要な意味を持つものだと思っております。今後、2回目の試験的取り出しに向けました準備が進められると承知をいたしております。
こういう取組で得られました新たな知見、これは、燃料デブリの段階的な取り出しの規模拡大、廃炉作業全体にいかされるものでありまして、この廃炉作業は、世界に前例のない、技術的にも極めて難易度の高い作業でありますが、今後、より本格的な廃炉作業を迎える中で、様々な困難にも直面するというふうに考えております。
現時点では一部に遅れがございますが、全体の工程に大きな支障は生じていないというふうに認識をしておるところでございまして、引き続き、技術開発支援を行うなど、国が前面に立って、安全確保を最優先に、中長期的ロードマップに基づき、着実に取組を進めたいと考えておる次第でございます。以上です。