マレーシア及びインドネシア訪問等についての会見
(マレーシア及びインドネシア訪問を終えての所感及び対中国という観点で今回得られた成果と今後の課題について。また、対米外交について、トランプ次期大統領は、東南アジアへの関心が薄いという指摘もあり、地域の安全保障に不透明感が出ている中で、アメリカとこの地域との関係及びトランプ氏との会談の調整状況について)
我が国の外交にとって、ASEAN(東南アジア諸国連合)との関係というのは極めて重要なものであります。不透明さを増している国際情勢の中にあって、我が国が今後外交を展開するにおきまして、東南アジアとの関係を強化をする、信頼関係を強化をする、これは極めて重要なことであるというふうに私は認識をいたしておるところであります。このような問題意識から、ASEANあるいはAPEC(アジア太平洋経済協力)等々国際会議を除きまして、それぞれの国を個別に訪問するということで、相手国を選定するに当たりまして、この発展著しいマレーシア、そしてまた、発展著しく、なお人口におきましても、経済規模におきましても、世界有数であるインドネシア、この2か国を訪問するということにいたしました。共に経済が著しく成長しているということ、そして、両方ともイスラム(教)国であるということ、これ非常に重要なことだというふうに思っております。マレーシアにおきましてアンワル首相、インドネシアにおきましてはプラボウォ大統領と、かなり長時間、一対一、あるいは少人数、あるいは拡大会合というところで、各般にわたりまして意見交換をいたしたところであります。
まず、安全保障の分野でありますが、OSA(政府安全保障能力強化支援)あるいは海洋安全保障協力、そういうようなことで具体的な協力を進めていくということで一致をみたところであります。このインドネシアあるいはマレーシアとの協力ということは、すなわちこの地域の平和と安定をもたらすものであり、そのことは畢竟(ひっきょう)、我が国の平和と安全にも大きく資するものであるという、いわゆる安全保障、防衛面におきましての安全保障ということが第1。第2は、我が国にとって極めて重要でありますエネルギーの安全保障ということであります。両国とは長い間LNG(液化天然ガス)を始めとして、エネルギーの供給ということで互恵的な関係を築いてきたものであります。これからも、こういうことを続けていくということで合意を得たところであります。あるいは今回の訪問を契機といたしまして、AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)を軸として、水素、アンモニア、CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)、地熱、鉱物資源などの利活用により、脱炭素化というものを、いろんなやり方によって図ってまいりたいということにつきましても確認をいたしたところであります。あるいは食料安全保障、農林水産分野における協力、これについても相当に意見交換を行ったところであります。
両首脳とは、アメリカとの関係、中国との関係、あるいは現状の評価など懸念事項、東シナ海、南シナ海の情勢などにつきましてもやりとりを行いました。両国と緊密な意思疎通ということを継続しなければいけないということで一致をみたところであります。自由で開かれた国際秩序を維持するために協力を図ってまいりたいと存じます。これ、私も両国を訪問するのは、34年ぶりということでありまして、当選2回の時に、自由民主党青年局の海外視察ということで、当時同じく当選2回でありました渡海紀三朗・(自由民主党)政治改革本部長、あるいは当選1回でありました鈴木俊一・現(自由民主党)総務会長、青年局の仲間と、34年前に訪問をいたしましたが、それ以来であります。両国の著しい発展ぶりというものには、驚愕、そして感動を覚えたところであります。これから先、我が国が両国との関係強化ということを一層図っていかねばなりませんし、それはエネルギーであり、あるいは防衛面での安全保障であり、食料の安全保障であり、ということであります。我が国が両国に対してできること、これはたくさんあります。両国からいろんな支援を受けたい分野、たくさんございます。単に経済的な問題だけではなく、信頼関係というのは非常に重要でありますし、皆様方もお感じになったことかもしれませんが、両国が日本を思ってくれるほど、日本は両国を思っているだろうかということであります。本当に、日本に対する期待、そういうものは非常に強い。経済発展も著しいものがありますが、我が日本国に対する期待、そういうものは非常に強い。で、私どもは、どれほど両国のことを認識をし、大切に思っているかということは、改めて考えるべき点が多々あるなというふうに痛感をいたしたところであります。
合衆国との関係についての御質問であります。間もなく、次期大統領、トランプ氏が就任をするわけであります。アメリカとの関係は我が国にとって非常に重要でありますので、双方の日程を踏まえまして、できるだけ早期に会談を実現したいというふうに思っております。トランプ氏が、この地域に対する関心をどれぐらい持っているかということは、実際に会談をしてみなければわかりません。しかしながら今回、本当に両国の著しい発展ぶりというものを見るにつけですね、この地域において、外交的関与をしていくのは日本とって極めて重要であると同時に、アメリカにとっても非常に重要であるというふうに考えておるところでございます。日米両国がこの地域の平和と安定のために、共に手を携えて努力をしていくということが、インド太平洋地域の平和と安定、あるいは全世界の平和と安定にも大きく寄与するものであるということについて、トランプ氏と認識の一致をみたいと、このように考えておるところでございます。以上です。
(通常国会が始まるに当たり、責任与党として野党にどのように向き合い、今国会に臨むか。また、選挙制度、選択的夫婦別姓制度、企業・団体献金などの課題に、通常国会でどのように臨むか。また、衆参同日選や野党との大連立について)
通常国会に臨む姿勢は、臨時国会において、私どもがとってまいりました姿勢と何ら変わるものではございません。少数与党でございますので、野党の皆様方の賛成を得なければ、法律案も予算案も通すことができないという状況は何ら変わるものではございません。多くの野党の皆様方に賛成をしていただきたいと思っておるのでございますが、そのためには、野党の皆様方を支持された方々が、「政府の言うことも、もっともであるな」というふうに思っていただかなければ、野党の方々に賛成していただくということはできないわけでございますから、何でも丸呑みするということを申し上げているわけではございませんが、野党支持者の方々、あるいは無党派の方々、そういう方々が「政府の言ってることは、もっともであるな」というふうに思っていただくべく、誠心誠意、御説明をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
選挙制度、選択的夫婦の別姓・別氏、企業・団体献金につきましては、まず各党各会派で真摯に御議論を賜るということが重要でございまして、政府として、今、予断を持って申し上げることはいたしません。真摯な議論が行われ、結論が得られると、政府としても、必要な対応はとってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
同日選挙、ダブル選挙と申しますね、あるいは大連立。皆様の方も全部会見録を御覧になれば、あるいは発言録を御覧になれば、私が大連立の「だ」の字でも1回でも言ったことありますか、ダブル選挙の「だ」の字でも1回でも言ったことがありますかということであります。どちらも私は申し上げたことはございません。ただ、少数与党でございますので、多くの御賛成を得なければいけないということを申し上げたまでのことでございます。あるいは衆議院の解散につきましては、憲法の規定につきましての確認をいたしたまでのものでございまして、どちらの「だ」の字も言ったことはございません。誠心誠意、その場その場におきまして、国会対応、一生懸命努めてまいりたいということに尽きるものと考えておる次第でございます。以上であります。