在ペルー日系人との懇談における石破総理挨拶

更新日:令和6年11月17日 総理の演説・記者会見など

 ブエノスディアス。
 皆様おはようございます。第103代日本国内閣総理大臣の石破茂であります。
 103代と申しましたが、103人も総理大臣がいた訳ではありません。私で65人目であります。この10月の1日より、内閣総理大臣を務めております。国会議員になりまして、38年。国会議員の中では本当に5番目ぐらいに古くなりました。選挙区は鳥取県という日本で一番小っちゃな県が私の選挙区でございます。
 本年は日本人・ペルー移住125周年という節目の年に当たります。この記念すべき機会にペルーを訪問し、こうして皆様方にお目にかかれることは本当にうれしく思っております。
 昨年、日本とペルーは外交関係樹立150年を迎えました。我が日本国にとって、ペルーは中南米諸国で初めて外交関係を結んだ国であります。ペルーにとりましても、日本はアジア諸国で初めて外交関係を結んだ国であり、中南米で最も古い友人であります。ペルーに渡られた日本人移住者とその子孫であられる日系人の皆様方は、大変な困難とご苦労を乗り越えられて、ペルー社会の重要な一員として多大な貢献をしてこられました。今や20万人となっております日系人の皆様方は、ペルーにおいて多くの働きをなされ、それは我々日本人にとっても大きな誇りであります。日本人ペルー移住100周年記念病院が、コロナ(新型コロナウイルス感染症)の患者さん用にペルー国内最大の病床数を提供されたということを聞いております。困っている人々に手を差し伸べる、これが日本人の素晴らしいところであります。
 今から80年前、日本は戦争が終わって大変な困難な時代を迎えました。その時に、海外の日系の皆様方がララ物資ということで、我が国に多くの支援をなさっていただきました。お互いが支え合う精神というものは、今日も生きておるというふうに考えております。
 現在の世界は、分断と対立の時代を迎えております。ウクライナでも戦争は終わらない、ガザでも戦争は終わらない、大勢の人たちが命を落としております。自分の国さえよければいいと、そういうような国々が増えているのかもしれません。
 私は今回ペルーを訪れましたのは、アジア太平洋地域の経済交流を促進するAPEC(アジア太平洋経済協力)という組織がございますが、その総会がリマで開かれましたので、こうしてペルーを訪問させていただいております。アメリカのバイデン大統領、あるいは中国の習近平国家主席、あるいは韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領、多くの各国の首脳の方々と会談もいたしてまいりました。大切なことは、何が違うのかということを強調するのではなくて、何のためならば一緒に力を合わせることができるかということが大切だと私は思っております。
 皆様方は125年にわたって日本とペルーをつないでこられました。そして、ペルーの中で大きな役割を果たしてこられました。自分たちが何ができるのだろうかということを考えてこられた125年の歴史だと思っております。
 我が政府といたしましても、今年から3年間で1,000人の中南米日系社会の皆様方との交流事業を実施いたしてまいります。どうぞ日本にお出かけください。あるいは皆様方が思っている日本と違う日本がそこにはあるのかもしれません。我々日本人が失おうとしているものを、皆様方はお持ちなのかもしれません。今や日本には5万人の日系人を中心とするペルーの方々もいらっしゃいます。多くの多大な活躍をしていただいております。お越しになるとわかりますが、日本は今、ものすごい勢いで人口が減っています。あと、80年たつと日本人は半分になるとも言われています。我々日本人はもう一度自信と誇りを取り戻したいと思っています。
 苦難を乗り越え、今日の繁栄を築かれた皆様方が今後とも活躍をされ、そして懸け橋として、日本とペルーの懸け橋として世界のために祖国日本のために大きな働きをされることを願ってやみません。以上でお話を終わりますが、いいホールですね。いや、本当は皆様方のいろんな歌や踊りを見たいなと思います。橘副長官は、万葉集という日本で本当に立派な文学を全部空で言える、暗誦(しょう)できるという大変な才能の持ち主であります。私も日本の昔のアイドルの歌なら全部歌える、という機会がまたあるといいですね。
 ありがとうございました。ますますの御発展をお祈り申し上げます。

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