令和6年度防衛医科大学校卒業式 石破内閣総理大臣ビデオメッセージ

更新日:令和7年3月8日 総理の指示・談話など

 本日、防衛医科大学校医学科第46期及び看護学科第8期学生諸君の卒業式が行われるに当たり、内閣総理大臣として、心からお祝いを申し上げます。
 皆さん、卒業おめでとうございます。
 諸君は、これから、服務の宣誓、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる」、そのような内容の服務の宣誓を行い、自衛隊医官、看護官、そして防衛医科大学校病院看護師として、新たな一歩を踏み出すことになります。
 先ほど申し上げましたような服務の宣誓、これがいかに重いものなのか。私はもう今から25年くらい前になるでしょうか、防衛庁副長官、そして22年前に防衛庁長官、その後防衛大臣、防衛の仕事をいくつかやってきましたけれど、この服務の宣誓ということを常に常にかみしめてまいりました。もちろん消防官も警察官もみんな宣誓をします。みんな立派な仕事を全身全霊でこなしてくれているのだけれども、あえて申し上げれば、「危険を顧みず」という文言はこの自衛隊員の服務の宣誓にしかない、そういうフレーズなのですね。いろんな危険というものは当然ある。日本国の独立を守るという、そして対外的に日本の防衛力をきちんと抑止力として行使するという意味において、そこはほかの組織とは違う面が間違いなく、我々自衛隊にはあるのであります。
 この誓いに今日一日、自らが忠実であったかどうか、そのことを認識し日々確認する、私はそれは非常に大事なことなのだと思っております。そうであらばこそ、そういうような人たちの集団である自衛隊というもの、それが日本国において、本当に最後の拠り所であり、そういうような人たちを国民が心から尊敬をする、それがあるべき国家であるし、日本はそうありたいと思っております。
 いつも申し上げることですが、我が国は今、戦後最も厳しい安全保障環境の中にあります。我が国自身の防衛力、これを抜本的に強化していかねばならない、それはもう議論の余地がないことでございます。それは陸海空、車両であり、あるいは艦船であり、航空機であり、そういうようなハードの面も大事なのですけれども、それだけで防衛力は強化できるわけではない。
 防衛力を抜本的に強化するに当たって、これも私は防衛庁副長官の時代からずっと思っていることですが、自衛隊衛生というのは最も大きな役割を果たしていくのであります。任務を遂行する自衛隊員の生命・身体を救う、それが自衛隊衛生の崇高な役割であり、さらばこそ最も大事なのであります。
 トリアージという言葉を皆様方は何度も聞かれたのだろうと思っております。戦場において、戦場なんてあるはずない、そのような思いで防衛力は機能するはずはないのであって、戦場においていかにしてトリアージを行うか、どのようにして冷徹な判断が行えるか、そういうことは自衛隊医官、または看護官に求められることなのであります。
 このような役割を、いかなるときも果たせる、そういうような組織へ、部隊へ変わっていかねばならないと思っておりますし、皆様方にはそれを中核を担っていただくことになります。
 医師及び看護師たる幹部自衛官となる皆さんは、国防の最前線に立つ自衛隊員にとって、最後の拠り所であります。日本国の独立、そして国民の生命を守る自衛隊にあって、自衛隊員の命、健康、それを守るのが諸君であります。
 看護師たる技官となる皆さんは、自衛隊の医学及び研究を支える防衛医科大学校病院において、地域医療の中核も担っていただくことになります。自衛隊の活動は国民からの理解と信頼がなければ決して成り立つものではありません。皆さんは、防衛医科大学校病院の力を底上げするだけではなくて、住民の皆さん、国民の皆さんとのすばらしい懸け橋となっていただきたいと思っております。
 卒業生諸君が、この自衛隊衛生の大きな変革期にあって、新しい時代を切り拓き、強い覚悟と責任感を持ち、大きく羽ばたいてくれることを切に願っております。
 御家族の皆様、御子息・御令嬢の大きな決断を後押ししていただき、これまで支えていただきました。心から感謝を申し上げます。
 自衛隊の医療現場において、皆がそれぞれの職責を立派に果たしていくと、このように確信をいたしております。凛々(りり)しく、頼もしい彼ら彼女らの姿を、どうぞ御覧になっていただきたいと思います。
 福島学校長を始め、熱意、愛情を持って学生の指導にあたってこられた教職員の皆様にも心から敬意と感謝の誠をささげる次第であります。平素から防衛医科大学校に多大な御理解・御支援を賜っている御来賓の皆様方、皆様にも心より御礼を申し上げます。
 卒業生諸君の今後ますますの活躍、そして防衛医大の一層の発展、お祈りをして、私のメッセージといたします。以上であります。