第64回商工会全国大会 石破総理ビデオメッセージ
第64回商工会全国大会が盛大に開催されますことを心よりお祝いを申し上げます。ただいま、海外出張いたしております。そのようなことで直接お伺いできないことが大変に残念です。このような形で一言御挨拶を申し上げますが、どうぞ御容赦ください。
元旦に能登半島地震が発生をいたしました。あるいは同じ地域において、9月に豪雨災害が発生をいたしました。お亡くなりになられた皆様方に哀悼の誠を捧(ささ)げます。そして被災をされておられる方々、心よりお見舞いを申し上げます。震災直後に加えまして、総理大臣になりまして、直ちに被災地にお伺いをいたしました。地震のみならず、豪雨による被害の甚大さを痛感をいたしております。なんで自分たちだけがこんな目に遭わねばならぬのだと、そういうふうにおっしゃった皆様方の声が今も耳から離れることはございません。総理になりました直後から、9月の豪雨、これを激甚災害に指定をいたしました。それとともに、輪島塗仮設工房の床上浸水などの被害にも全力で対応しているところであります。「なりわい補助金」、「農地利用効率化等支援交付金」、要はですね、色々と面倒くさい話なのですけど、困っておられる方々に本当にこれがあってよかったなと、そう思っていただけるような対応を全力でしておるところであります。どうぞ御理解をいただき、引き続き御要望があればおっしゃっていただきたいというふうに思っているところでございます。今申し上げましたように引き続き事業者の皆様方に寄り添った対応を進めてまいります。
日本経済は大きく変化するチャンスとなっております。コストカット型の対応を続けてきて、「失われた30年」ということになりました。なかなか給料が上がらない、あるいは下請けの方々に、孫請けの方々に、この分で我慢をしていただこう、あるいは新しい商品、新しいサービス、そういうものを作り上げる、そういうのはコストを抑える。そういうものをコストカット型経済というのでありますが、それに加えまして、コロナ禍でありました。苦難の3年間でした。しかし、それを乗り越えて設備投資、賃上げ、30年ぶりの高い伸びを達成するなど、日本経済にとっては今が潮目の変化の時期ということに相成っております。しかし一方におきまして、中小・小規模事業者の皆様方におかれましては、物の値段が上がったね、物価高騰だね、色々仕事はあるんだけど人がいないよね。そういうような難しい経営環境におかれておられるということは、今日も来ておられると思いますが、私の選挙区もそうであります。日本国中、そういう状況になっております。
長年続いてまいりましたデフレからの脱却、これを私ども政府といたしまして、中小・小規模事業者の皆様と共に果たしていき、成長と分配の好循環が力強く回っていく経済を実現する、その思いで先月、「物価高の克服」、「日本経済・地方経済の成長」、「国民の皆様方の安心・安全の確保」、この三つの柱を盛り込んだ総合経済対策の策定を指示をいたしたところでございます。自民党、公明党の連立政権を基盤に、他の党の皆様方の御協力もいただいて、臨時国会で補正予算を成立させたい、このように願っております。
日本の社会経済の停滞を打ち破る起爆剤は、その持てる潜在力、横文字でいえばポテンシャルということなんですけれども、これを眠ったままにしてきた地方の農林水産業であるとか、製造業であるとか、サービス産業、そういうものが日本の経済を変えていく、日本の国の形を変えていく、そういう起爆剤になるものだと思っております。これは私が10年前に初めて地方創生担当大臣というものになりました時から、ずっと申し上げていることでございますが、今月の8日に新しい地方創生本部の第一回となる会合を開催いたしました。これもずっと申し上げてきております、「産官学金労言」、なんだそれと思われるかもしれませんが、「産」というのは正しく商工会の皆様方であり、商工会議所の皆様方であります。「官」というのは町役場であり、市役所であり、そういうお役所ですね。「学」というのは何も大学だけではありません。中学生、高校生、その子たち。そういう子たちがこれに参加をしてもらいたいと思っております。「金」というのは金融機関であって、地方銀行あるいは信用金庫、そういうような金融機関の皆様方。「労」は労働者の皆様方です。「言」というのは地方の言論機関。新聞であったり、テレビであったり、ラジオであったり。つまり、この地域をどうしようかというのはお役所だけがやるものではございません。むしろ、実際に現場を知っておられる商工会の皆さん、そして学生さん、こんな地方になったらいいな、こんな地方のままじゃここにいたくないな。そういう学生さん。そして私も昔、銀行員でしたが、むしろ金融機関の方がその地域の経済どうなってるんだろうかということを知っている場合が多いのだと思っております。働き方を変えるという意味では、労働者の皆様方の意見も重要です。そして、その地域で何が起こっているの、ということは、それは地方新聞を開けばわかりますよね。地元の新聞、いろんな話題が載ってますよね。そういうような地方の言論機関、そういうような皆様方に御参加いただいて、この年の暮れには、あまり間が無いのですけれど、「地方創生2.0」に向けた基本的な考え方を決定してまいります。
この地方創生を実現するとともに、補正予算などの効果を地域の隅々まで行き渡らせるためには、正しく地域に密着しておられる商工会の皆様方のお力が不可欠なのです。どうか、今後ともお力を貸してください。よろしくお願いを申し上げます。
皆様方とのお付き合いも随分と長くなりました。森会長、あるいは石澤前会長を始め、本当に皆様方には長くお世話になってまいりました。改めて心から厚く御礼を申し上げます。皆様方の知恵、そして御意見。それが新しい日本を作ります。新しい地域を作ります。我々にできますお手伝いはなんでもやらせていただきます。商工会の更なる御発展、そしてそれぞれの会社の御発展、それぞれの事業の御発展、そして本日お集まりの皆様方のますますの御健勝をお祈りして私の挨拶とさせていただきます。どうぞ盛大な大会となりますように。そして豊かな実りがもたらされますよう、心よりお祈りして私の挨拶を終わります。ありがとうございました。