障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部
令和6年12月27日、石破総理は、総理大臣官邸で第3回障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部を開催しました。
会議では、旧優生保護法に係る対応状況及び障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画(案)について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「ただいま、『障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画』を決定いたしました。
この計画は、政府が、憲法違反とされた旧優生保護法を長年にわたって執行し、優生上の見地からの誤った目的に係る施策を推進してきたことについて、重く受け止め、真摯に反省・謝罪し、誠実に対応しなければならないとの認識の下、障害のある方に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた取組を改めて強化するため、策定したものであります。
三原大臣からも報告がありましたとおり、計画の策定に当たりましては、旧優生保護法の被害者の方々や障害当事者の方々から、御経験や御意見を伺ってまいりました。
この中では、『優生手術等に係る歴史的事実やその背景を後世に伝えるべき』との御意見や、『障害の有無に関わらず、やりたいことを自由にできる社会になってほしい』との御希望、『差別の解消に向けては、障害のある人も、ない人も、共に学び、育つ経験ができる環境が必要である』との強い思いなど、様々なお声を頂きました。
過去において障害のある方々が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視といったものはあってはならないものであります。同時に、障害がある人はかわいそうであり、一方的に助けられるべき存在であるといった考えも誤りであります。
『障害の社会モデル』という言葉にあるように、障害は、心身機能に障害がある方々の社会参加を困難にしている事物、制度、慣行、観念など、様々な社会的障壁によって生み出されるものであり、こうした障壁を取り除くのは、社会全体の責務であります。
真の共生社会を実現するためには、社会全体における意識改革を行い、社会全体が変わらなければなりません。
各大臣におかれましては、旧優生保護法に基づく施策が数多くの障害者の個人の尊厳を蹂躙(じゅうりん)し、数多くの苦痛を強いてきたという事実を重く受け止め、本計画の背景にある考え方や、この推進本部で全大臣を構成員としている趣旨をよく御理解いただきました上で、各所管分野を通じて、国民全体に障害についての正しい理解が行きわたるよう、地方公共団体や関係者とも連携し、行動計画を着実に実施するとともに、その進捗を継続的にフォローアップするようにしてください。
また、これらの施策を進めていくに当たり、それを担う公務員の意識改革は不可欠であります。各府省において障害当事者が参画した研修の実施など、これまで以上に取組を強化するとともに、各大臣自ら、職員に向けて、障害のある人への偏見や差別の根絶に向けたメッセージを発信してください。
旧優生保護法による被害者に対する補償について定めた、旧優生保護法補償金等支給法の施行も、来年1月17日に控えております。三原大臣においては、これまでの経緯や法律の趣旨を十分に踏まえて、新たな補償の仕組みの周知・広報を行うなど、被害者の方々に一刻も早く補償が届きますよう、準備に万全を期すようお願いをいたします。
全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、政府一丸となって取り組んでまいります。大臣各位の一層の御協力をお願いいたします。」