防災立国推進閣僚会議
令和6年12月20日、石破総理は、総理大臣官邸で第1回防災立国推進閣僚会議を開催しました。会議では、令和7年度の防災対策強化の取り組みについて議論が行われました。
総理は、冒頭の挨拶で次のように述べました。
「防災立国推進閣僚会議の開催に当たり一言御挨拶を申し上げます。
世界有数の災害発生国である我が国において、頻発する災害から国民の生命、身体、財産を守り抜くのは、国家の使命であります。被災して、絶望の淵(ふち)にある方々に、暖かい手を差し伸べることができなければ、国家として責務を果たしているとは言えません。
いかなる地域で災害が発生したとしても、被災者の方々を苦難の中に置き続けることなく、尊厳ある生活を送っていただけるようにしなければならない、これは繰り返して申し上げてきたことでございます。
災害時に国家が為すべきことは多岐にわたっております。事前防災から、初動対応、復旧復興に至るまで、各部門の知恵を結集し、それぞれの取組が連動して相乗効果を生むようにしなければなりません。そのためには、災害対策の目指すべき姿を政府全体で共有した上で、計画的かつ戦略的に、防災・減災、国土強靱(きょうじん)化の取組を進めていくことが重要であります。
このような思いから、政府一体となった災害対策を推進するため、この「防災立国推進閣僚会議」を立ち上げることといたしたものであります。
「災害を防ぐことはできないが、その後に起こることは全て人災である」というのは、阪神淡路大震災の際に後藤田正晴先生がおっしゃったことであります。災害による被害の極小化、国、自治体、民間企業、災害ボランティアなどのネットワークをフル活用した効果的な被災地支援、被災者の方々が発災直後から尊厳ある生活を営めるような避難所環境の整備、これらの実現のため、政府一体として本気の事前防災、これを進めてまいりたいと存じます。
海外の好事例も踏まえつつ、我が国を世界に冠たる、成ろうことなら世界一の防災大国にする。そして、我が国の防災の知恵や技術を海外に向けて発信したいと思っております。
人命、人権最優先の「防災立国」を確立するため、各大臣が一致され、御尽力を賜ることを心からお願い申し上げ、冒頭の御挨拶といたします。よろしくお願い申し上げます。」
また、総理は、議論を踏まえて次のように述べました。
「本日は、今後の災害対策の基本方針などについて、各大臣から御報告をいただきました。ありがとうございました。
災害は、いつ何時起こるか分からないものでございます。取り組むべき事項は今お話しありましたように多岐にわたりますが、本日御報告いただきました方針に基づき、軌を一(いつ)にして、できるものから早急に実現をしていただきたいと思います。いつ何時起こるか分からないので、今日からでも出来るものに取り組んでいただきたいと思っております。
坂井防災担当大臣におかれては、国による災害対応の強化、被災地における福祉支援の充実、ボランティアの皆様方との連携促進等のため、災害対策基本法や災害救助法の改正案を次期通常国会に提出するべく、作業に万全を期していただきたいと存じます。
本気の事前防災を推進するため、赤澤大臣の下、防災庁の在り方に関する有識者会議を新たに開催し、専門家の御意見を伺いながら、令和8年度中の防災庁設置に向けた準備を着実に進めてください。
防災庁の設置も見据えつつ、令和7年度から、内閣府防災の体制を予算・人員の両面において大幅に拡充することといたしております。各大臣におかれましても、体制確保に御協力をいただきますようお願いを申し上げます。
本日は、南海トラフ地震臨時情報の周知広報等につきましても御報告をいただきました。災害が頻発する我が国において、被害の最小化を図るためには、国民の皆様お一人お一人の防災意識の向上が必要不可欠であります。ハザードマップを見る、避難場所に足を運ぶ、実際に防災グッズを使ってみるなどということを含めまして、防災教育の一層の充実にも取り組んでいただきたいと存じます。
寒波も襲来をいたしております。能登の被災地には、本格的な冬が訪れております。坂井防災担当大臣におかれては、関係省庁と連携して職員を能登の各避難所に派遣をし、運営状況の確認と被災者の皆様方が今お困りの事、そのようなことの把握に当たっていただき、必要に応じて、環境改善の措置を講じてください。
災害対応の在り方を新たなステージに引き上げ、人命、人権最優先の「防災立国」を確立するべく、大臣各位の一層の御尽力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。」