政労使の意見交換
令和6年11月26日、石破総理は、総理大臣官邸で政労使の意見交換に出席しました。
会議では、2025年春季労使交渉と最低賃金の今後の中期的引上げ方針について、労使の方々との意見交換が行われました。
総理は、本日の意見交換を踏まえ、次のように述べました。
「本日は、2025年春季労使交渉及び最低賃金の今後の中期的引上げ方針について、労使の皆さんと意見交換を行わせていただきました。
政権といたしましては、デフレ脱却と成長型経済の実現を確実なものとし、地方経済と日本経済をともに成長させ、生活が豊かになったことを一人一人の国民に実感していただきますよう、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現することを目指します。
これを、物価が持続的・安定的に上昇する新たな経済ステージにおいて実現するため、来年の春季労使交渉におきましては、労働者の賃金水準を引き上げるベースアップを念頭に、33年ぶりの高水準の賃上げとなった今年の勢いで、大幅な賃上げへの御協力をお願いいたします。
この賃上げの流れが、雇用の7割を占めます中小企業、地方で働く皆様方にも行き渡ることが重要であります。
政府として、賃上げ環境の整備のための具体策を盛り込んだ総合経済対策を決定いたしました。これに基づき、価格転嫁等の取引適正化の推進、省力化・デジタル化投資の推進、人への投資の促進及び多様な人材が安心して働ける環境の整備、中堅・中小企業の経営基盤の強化・成長の支援などに取り組んでまいります。その裏付けとなります補正予算の早期成立を図ってまいります。
本日の御議論も踏まえ、地方における官公需や中小企業と中小・小規模間の転嫁も含めまして、労務費の価格転嫁の徹底に一層全力で取り組んでまいります。また、厚労大臣(厚生労働大臣)におかれましては、賃上げの流れが地方にも波及するよう、全国47都道府県におきまして、地方版政労使会議の開催をお願いいたします。
最低賃金につきましては、政権として、『2020年代に全国平均1500円』という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けます。
その一歩として、本日、政労使の意見交換で、使用者・労働者それぞれの立場から、最低賃金の中期的引上げ方針について、率直な御意見を伺いました。
今後も、政労使の意見交換を開催し、本日の御意見を踏まえ、官民挙げて、問題の深堀りや環境の整備を図っていきたいと存じます。
政府といたしましては、赤澤大臣を中心に、本日出席の閣僚を始め、関係閣僚と協力して、最低賃金を引き上げていくための対応策を来春までに取りまとめてくださいますようお願い申し上げます。
賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現に向けて、労使の皆様の御協力をお願い申し上げます。ということですが、今日の御発言の中でそうだよなと思ったのが、『勇気を持って値上げ』(注)というところがありました。
値上げには勇気がいる。勇気を持って値上げすると、『取引業者、お宅だけじゃありませんよ』みたいなこと言われてですね、これ勇気を持って値上げしても、それがちっとも実現に向けて意味がなかったみたいなことになると、結局皆やらないみたいなことになってしまう。賃上げできる環境を作るっていうのは、そういうのをどうして排除していくかということなんだろうと思っております。
で、私どものちょっと前の時代に三波春夫先生という国民的歌手がおりまして、『お客様は神様です』と、こうおっしゃったんでありますが、それはいったいどういうことなんだろうかねということで、私、後で本を読んでみると、三波春夫先生というか三波春夫さんが『お客様は神様です』と言ったのは、ステージで歌う時にお客様がいらっしゃると、『それは神様の前で歌うように、心を静かにして歌わなければだめですよ』ということを言ったのであって、何でも言うことを聞きましょうということを言ったわけではない、というようなことを後から聞いたことがあります。私直接聞いたわけではないので本当かどうかわかりませんが。
本当にその賃上げをしていくことが、皆が幸せになることなのですよ、というような環境を作っていくことが大事なんだろうというふうに思っております。
政府として、そういうことができる環境を整えるべく、今日の御意見を踏まえまして、赤澤大臣を中心にそういう環境を作るように努力をいたしてまいりますし、これはどうしても実現をさせねばならないことだというふうに思っております。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。」
(注)「賃上げ」と発言しましたが、正しくは「値上げ」です(以下同じ)。