全国都道府県知事会議

更新日:令和6年11月25日 総理の一日

 令和6年11月25日、石破総理は、総理大臣官邸で全国都道府県知事会議に出席しました。

 総理は、挨拶で次のように述べました。

「いつもお世話になります。ありがとうございます。今年もあと一月と少しということになりました。今年もお後わずかという中、御多忙のところ皆様お出かけいただきましてありがとうございます。こういう機会を頂きましたこと、厚く御礼を申し上げます。
 この政権は、いろんなことをお約束しておるのでありますが、『国民を守る』、そしてまた、『地方を守る』ということを掲げておるところであります。馳(はせ)知事お出ましでありますが、とにかくお正月のあの地震、本当にコロナ(新型コロナウイルス感染症)が収束に向かい、本当に何年ぶりかで家族、親戚、みんな集まったね、本当に幸せだねということをしみじみ思っているときに、あの地震が襲ったということは本当にものすごい衝撃でありました。
 私も当時、自民党の水産総合調査会長をいたしておりまして、現地をずっと回らせていただきました。私は地理的に条件が良くないとか、財政が厳しいとか、そういう所だからああいうような状況になるのだということがあってよいとは、全く思っておりません。地理的に不利であろうと財政的に厳しかろうと、そこにおいて国民一人一人が幸せに生きていく権利が必ず守られねばならないものだと思っております。それが国家の役割であるというふうに固く私は信ずるものであります。
 また、あのときに、今もそういう状況は全部改善されたとは申しませんが、避難所の在り方って何なんだろうかということを随分と私自身考えました。
 いくつかの報道を見たのでありますが、じゃあ同じように災害が多発をするイタリアにおいてはどうだろうか、台湾においてはどうだろうかということであります。知事各位もそういうような報道を御覧になり、あるいは現場を御視察になった方もあられるかもしれません。
 TKB48という言葉があるのですが、Tというのはトイレ、Kはキッチン、Bはベッドなんでしょうか、48というのは48時間以内という意味がございますね。新潟大学医学部(注)で榛沢(はんざわ)先生という先生がおられて、榛沢先生のレポートは私随分読んでみたんですけれども、イタリアにおいては人口の何パーセント分のTKBというのをきちんと確保するということが法律で義務付けられているということ。そして台湾においては、どこでどのような災害があれば、どこのボランティアが、どこの行政がそこへ行くのかということは、あらかじめ全部決まっているということなんだそうです。
 イタリア、台湾にできることは日本にもできないはずはないと私は思っておりまして、知事会の皆様方と共に防災庁というのを実現したいというふうに思っておりますのは、本当にどこで何が起ころうとも国民一人一人の権利はきちんと守られねばならないということを実現するのは、国家として当然のことだというふうに思っておる次第でございます。
 もう一つは、私10年前に安倍内閣において初代の地方創生大臣というものを2年間務めました。随分といろいろなことをやってみたつもりでございます。しかしながら、人口の減少が全く止まらない、一極集中の状況が変わらないということは、もちろん47都道府県1718市町村、そういう皆様と共に一生懸命やったのだけれども、やはりどこか改めねばならないというのはたくさんあったのだろうというふうに思わざるを得ません。
 私はこうして総理大臣というものを拝命しておりますけれども、『地方こそ成長の主役』だというのは、何もその東京対地方という話をしておるのではございませんで、地方の持っている第一次産業をやります、サービス業をやりますとか、そういう伸びしろがたくさんあるところがありますね。その分の伸びしろを伸ばすには、霞が関で考えていたらできるのか、永田町で考えていたらできるのか、決して私はそうではないと思っておるのです。
 47都道府県は47都道府県、1718市町村は1718市町村。よくこういう話をしますと時間がないとか、お金がないとか、データがないとか、人がないとか、これができません理由でございますみたいなのがずらっと並ぶんですけれども、じゃあどうしますかということなんだと思っております。
 10年前に例えば、人口5万人以下の自治体がございます。そこに中央の官僚が行っている例があるのかというと一例もなかった。中央の官僚は優れていて、地方はそうじゃないということを申し上げているのではありません。ですけれども、人がいないとなればじゃあどうするの、データがないとすればどうするの、時間がないとすればどうするの、そういうようなことを一つ一つ解決できませんと、この国は決してサステナブルなものにならないと私自身思っておるところでございます。
 国の一律の主導ではなくて、御愛想で言うわけではない、地方が主役となってそれぞれの地域の『産官学金労言』だと私よく言うのですけれども、そういう言うなればステークホルダーの皆様方がいったいどうすれば、我が町は良くなるかということ、それの集積が新しい国を作ることになるんだというふうに、私は思っておるわけでございます。
 この度、経済対策を決定をいたしました。そこにおきましては、新たな地方創生施策の展開、賃上げ環境の整備、潜在成長率を高める国内投資の拡大、防災・減災及び国土強靱(きょうじん)化の推進、そのような取組を盛り込んだところでございます。
 そしてまた、来年度の当初予算ベースにおきましても地方創生の交付金を倍増するということで、今取り組んでおるところでございます。
 長々申し上げましたが、皆様方と議論を行いまして、本当に地域から国を変える。それは東京対地方ということを私は申し上げているのではありません。それぞれの地域の持てる潜在力を最大限に伸ばしていくことによって、なんとかこの国をサステナブルなものにしていきたいというふうに思っておるところでございます。
 闊達(かったつ)な御議論を賜りますよう、よろしくお願いして御挨拶を終わります。ありがとうございました。」

(注)現在の所属は「新潟大学医歯学総合研究科」です。

 

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