石破総理によるビエンチャン・タイムズ紙(ラオス)への寄稿

更新日:令和6年10月10日 総理の指示・談話など

「日本は信頼のパートナーとしてASEAN(東南アジア諸国連合)と共に未来を切り拓(ひら)く」

 今般のラオスにおけるASEAN関連首脳会議の開催を心よりお祝い申し上げます。日本の総理大臣に就任して以降、最初の外国訪問としてラオスを訪問することができ、大変嬉(うれ)しく思います。私自身、初めてのラオス訪問に心を躍らせています。
 日本とラオスを含むASEAN諸国は、長年にわたる幅広い分野での協力と交流を通して、「信頼のパートナー」として、関係を構築してきました。
 昨年、日本は、ASEANとの友好協力50周年を記念し、ASEAN諸国首脳を東京にお迎えして特別首脳会議を開催しました。今回の日ASEAN首脳会議では、その際に打ち出した共同ビジョンに基づき、幅広い分野で着実に協力が進展し、ASEAN議長国のラオスがテーマとして掲げる「連結性と強靭(きょうじん)性の強化」にも取り組んでいることを示したいと思います。
 更に、私は、日本とASEANが共にこの地域の未来を創り、未来を守っていくための協力を強化していきます。
 日本は、ASEANが重視するグリーン・トランスフォーメーション、デジタル・トランスフォーメーションをはじめ、新たな課題の解決のための地域協力を主導し、共に未来を創っていきます。
 グリーン・トランスフォーメーションについては、今般、ASEAN首脳会議に合わせて、ラオスでアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合が開催されます。この地域で経済発展と整合的な形で脱炭素化の取り組みをさらに推進する機会としたいと思います。デジタル・トランスフォーメーションについては、AI(人工知能)人材育成など具体的協力に関するロードマップを策定し、ASEAN諸国のデジタル分野での発展に取り組んでいく考えです。
 また、日本は「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」をいち早く支持し、一貫してその実施を後押ししています。海洋安保、経済安保、サイバーセキュリティに関する協力を強化し、日本とASEANで共に未来を守っていきたいと思います。
 日本とラオスの関係も、着実に発展を遂げています。両国は、長年にわたる信頼と友好の絆(きずな)で結ばれてきました。1965年、日本が初めて青年海外協力隊を派遣した国がラオスでした。本年、多くの要人がラオスと日本をお互いに訪問し、様々な分野における協力関係の継続を確認しました。
 来年、両国は外交関係樹立70周年という記念すべき節目を迎えます。これまでの歴史を踏まえ、ラオスの明るい未来のために、2026年の後発開発途上国(LDC)卒業や2030年の中高所得国入りといったラオスの目標達成を日本は全力で支援していきます。
 ラオスの持続可能な発展には、平和で安全な社会基盤の構築が不可欠です。先月発生した台風「ヤギ」によるメコン地域の甚大な被害は、防災の重要性を再確認する契機となりました。被災者の皆様には心からのお見舞いを申し上げます。我が国も、東日本大震災をはじめとする過去の災害を教訓としながら、災害に対する強靱な社会の構築に努めてきました。我が国は、防災に関する知見を活(い)かした緊急援助や災害対応能力強化を通じ、ラオスの社会経済の強靱性向上に努めていきます。また不発弾対策支援も実施していきます。
 来年、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに日本において大阪・関西万博を開催する予定であり、ラオスの参加を心より歓迎いたします。未来を見据え、ラオスの域内の連結性の向上と併せ、万博の機会を通じ、日本企業とラオスのビジネス関係者のマッチングが進むことを期待します。これまで、ラオスにおける日本企業は、現地での雇用を創出し、生産技術や経営ノウハウ等の技術を移転しながら人材育成を行っており、ラオス経済の持続的な発展を後押ししてきました。今後とも、日本企業の対ラオス投資が一層拡大するよう努力します。
 日ラオス外交関係樹立70周年を迎えるにあたり、両国関係を現在の「戦略的パートナーシップ」からさらなる高みへと押し上げ、新たな時代における協力関係の更なる深化を実現するため、ラオスの国民の皆様と手を携えていきたいと考えています。
 最後に、ラオス国民の皆様のご多幸と、相互理解と相互尊重に基づく友好関係が末永く続くことを心より願っています。