GEA国際会議2024開会式
令和6年10月23日、天皇皇后両陛下御臨席の下、石破総理は、都内で開催されたGEA(地球環境行動会議)国際会議2024開会式に出席しました。
開会式では、GEA会長による主催者挨拶の後、天皇陛下がおことばを述べられ、続いて、総理が挨拶を行いました。
総理は、挨拶で次のように述べました。
「天皇皇后両陛下の御臨席を賜り、GEA(地球環境行動会議)国際会議2024が開会されるに当たり、一言御挨拶申し上げます。
今、私たち人類は、深刻な環境危機に直面しております。我が国が議長を務めた昨年のG7広島サミットにおいても、各国首脳と、我々の地球は、気候変動、生物多様性の損失及び汚染という3つの世界的危機に直面しているという認識を共有いたしました。我が国は、この世界共通の課題に先進的に取り組み、けん引してまいります。
第1に、気候変動分野では、2050年ネット・ゼロの実現に向け、経済社会の大変革を進めていく必要があります。グリーン・トランスフォーメーション(GX)実現のための『GX2040ビジョン』を取りまとめるとともに、エネルギー基本計画及び地球温暖化対策計画を改定し、我が国のネット・ゼロへの道筋を示したいと考えております。
国際的には、今月11日、ラオスにおいて私が議長を務め、『アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合』を開催いたしました。アジアの脱炭素化・経済成長・エネルギー安全保障を同時に実現すべく、産業構造やエネルギー構成等の各国の事情を踏まえた多様な道筋の下でネット・ゼロを達成するため、今後10年のためのアクションプランを含む共同声明に合意いたしました。引き続き、パートナー国と手を携えながら、アジアの脱炭素化を推進していきたいと思います。
第2に、生物多様性に関しては、2022年12月に採択された『昆明(こんめい)・モントリオール生物多様性枠組』を受けて、生物多様性の損失を止め、反転させる、ネイチャーポジティブ(自然再興)の実現がますます重要になっております。これを受け、国内では、今年成立した、『地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律』を活用し、民間等による生物多様性の保全区域である自然共生サイトの認定・支援を進め、国土の30パーセント以上を保全する『30by30(サーティーバイサーティ)目標』の達成に向けた取組を加速いたします。
第3に、プラスチック汚染は、生態系などへの悪影響が懸念されている地球規模の課題であり、世界レベルでの対応が必要とされています。大詰めを迎えているプラスチック汚染の条約策定の議論を我が国がけん引してまいります。国内においては、環境汚染への対応だけでなく、日本の新たな成長と地方創生の起爆剤となる可能性を秘めている循環経済への移行を進めてまいります。具体的には、循環経済の閣僚会議において、地域の先進モデルへの支援を通じた令和の地産地消モデルの推進や太陽光パネルのリサイクル促進のための制度整備など、循環経済への移行に向けた具体的な政策パッケージを取りまとめてまいります。
今年の3月、我が国は国連環境総会において、シナジーの促進に関する決議を提案し、採択されました。今後日本は、複雑に絡み合う地球規模の諸課題に立ち向かい、地球の未来を切りひらくために、この決議の実施を国際社会とともに国の内外で推進することにより、3つの世界的危機の統合的な解決に向けた取組をリードいたしてまいります。
最後になりますが、本日御出席の皆様の御健康とますますの御活躍を祈念し、私の御挨拶とさせていただきます。」