日中韓ビジネスサミット 岸田総理スピーチ

更新日:令和6年5月27日 総理の演説・記者会見など

 本日はお招きにあずかりまして、誠にありがとうございます。この第8回日中韓ビジネスサミットに出席できますことを大変うれしく思っております。本日3か国の経済団体が地域経済の将来のために熱心に議論されたとの話を伺い、大変心強く思いました。
 つい先ほど約4年半ぶりの開催となった第9回日中韓サミットにおいて、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領、李強国務院総理との間で未来志向の幅広い日中韓協力について議論し、経済分野を含め3か国間の協力を一層推進していくことの重要性を確認いたしました。
 アジアは、今や世界のGDP(国内総生産)の35パーセント近くを占めるグローバルな成長センターです。その中でも、世界のGDPの2割超を占める日中韓3か国は、アジアの成長を牽引(けんいん)する存在です。このような我々3か国が日中韓を超えたパートナーに対して目に見える利益を提供できるよう取り組むことは、アジアと世界の平和と繁栄の実現に欠かせません。
 少子高齢化や環境問題など、日中韓3か国が互いの優位性を補いつつ対応していくべき共通の課題もあります。政府間、企業間、そして政府企業間の連携を強化して、日中韓での取組を一層強化していく所存です。
 さて、今回の日中韓サミットで議論になった重要な柱の一つが「人的交流」です。将来を担う若者を中心とした重層的な交流こそが、日中韓の未来に向けた相互理解と信頼を育む礎(いしずえ)と考えます。2025年からの二年間を日中韓文化交流年とすることで一致しましたので、文化交流をしっかりと進めていきます。
 2025年4月には大阪・関西万博が開幕します。その成功のために、我が国、国内において政府、地元自治体及び経済界が一体となって取り組んでいます。是非皆様にも大阪に足を運んでいただきたいと思います。
 そして、文化コンテンツ、中でもデジタルコンテンツは、成長を牽引する大きな可能性があります。政府間のみならず、関係機関や産業間の積極的な協力を通して、関連産業の共同発展を目指したいと思います。アニメ、漫画、ゲーム、音楽など、王道のものからとがったものまで、今日ほど3か国の広い世代において、共通の「推し」を盛り上げる体験が共有されたことはありません。
 また、日中韓サミットでは、自由で公正な国際経済秩序の維持、強化の重要性についても議論をしました。その観点から貿易、投資双方で深いつながりのある日中韓3か国の間でRCEP(東アジア地域包括的経済連携)協定プラスを目指し、ハイレベルな規律を含め、未来志向の日中韓FTA(自由貿易協定)の在り方について率直な意見交換を行っていきます。3か国の企業がその能力を最大限にいかせるよう、我々3か国の政府の自由で公正なビジネス基盤の確保に努めてまいります。
 そして、AI(人工知能)など新たなフロンティアにおけるビジネス機会を拡大するための3か国協力も重要です。新たな分野での協力について、G20(金融・世界経済に関する首脳会合)等のフォーラムを通じて中韓両国と意思疎通をしていきます。
 日中韓3か国、そして地域の平和と繁栄のため、日本政府としては引き続き経済界の皆様の意見にしっかりと耳を傾け、日中韓関係の更なる発展に取り組んでまいります。
 ビジネスリーダーの皆様の一層の御活躍と御発展をお祈りするとともに、韓国側のアレンジに感謝し、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

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