福島県訪問等についての会見
(東北の復興の現状の認識と最も重要な課題について、福島第一原子力発電所の廃炉に係る住民の不安軽減への取組について。また、中国による日本水産物の輸入停止措置撤廃に向けての今後の取組について)
まず、現状認識と課題についてですが、発災から13年経過する中にあって、まず被災地の皆様方の絶え間ない努力によって、復興は着実に進捗していると認識しています。
その中で、地震、そして津波被災地域においては、ハード面において、おおむね復興を遂げている一方で、依然として、心のケアを始めとするソフト面においては課題が残されています。
被災地の方々に必要な支援が届くよう、引き続き対応が必要であると認識しています。
そして原子力災害被災地域については、避難指示が解除できた時期等の違いによって、復興の状況、異なっていると認識しています。
避難指示の解除、また生活環境の整備、こういったことを地域の状況に応じて、復興・再生に向けた取組、これを行っていく必要があると考えています。
そして、トラブルを受けて住民の不安軽減にどう取り組むかという御質問ですが、まず廃炉作業、これは世界にも前例のない、長期にわたる取組です。東京電力には、その完遂に向けて、トラブルの再発防止策の徹底、また、更なる安全性向上対策に緊張感を持って取り組んでもらう必要があります。
その点、先月21日ですが、齋藤経済産業大臣から小早川社長に対して、対応の徹底を改めて指示いたしました。そのことについて、私も報告を受けました。
これに対して、政府としましても一丸となって、国も前面に立って、安全かつ着実に、こうした再発防止策の徹底や安全性向上対策に取り組んでいかなければならない、このように考えています。
そして、地元の皆様方の不安払拭ということにおいて、廃炉作業の準備や作業状況、リスク低減に向けた安全対策の取組、放射線データ等について、国の内外に情報提供を行っていくこと、さらには地元の皆様を始めとした、様々な立場の方々との双方向のコミュニケーション、この充実を図っていくことも重要であると考えています。
そして、3点目、ALPS(多核種除去設備)処理水放出に伴う輸入規制の撤廃についてですが、この輸入規制については、既に48の国・地域が撤廃しましたが、いまだ7の国・地域において維持されています。
このうち中国やロシア等は、ALPS処理水の海洋放出に伴い、更に日本産水産物の輸入の停止を行いました。これら科学的根拠に基づかない規制は、決して認めることはできないと考えていますし、政府一丸となって、こうした科学的根拠のない規制の即時撤廃、これを働きかけてまいります。
そして、それと同時に、昨年秋、取りまとめた「水産業を守る」政策パッケージ、これを着実に進めていくことも重要です。
輸出先の多角化、更なる国内消費の拡大、こういった取組を進めて、全国の水産業支援、これにも万全を期していかなければならないと考えています。
以上3点、お答えいたしました。
(原発事故による避難者について、政府は2020年代中に希望する全住民の帰還を目指しているところ、住民が戻るためには、山林を含めた除染が必要との訴えがあるがどのように応えるか、及び、第2期復興・創生期間後の財源について。令和6年能登半島地震の復旧・復興に東日本大震災の経験をどのようにいかしていくかについて)
まず、最初の除染についてですが、おっしゃるように、2020年代をかけて帰還意向のある住民の方々が帰還し、安全・安心に生活を送れるよう、取組を進めてまいります。
そのために、特定帰還居住区域における生活環境の放射線量の低減のために、住宅付近の山林などを含む必要な範囲の除染、インフラ整備、こうしたことを避難指示解除に向けた取組としてしっかり進めてまいります。
将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興・再生に責任を持って取り組むとの決意、これには揺らぎはありません。引き続き復興・再生を進めてまいります。
そして、財源について御質問がありましたが、復興の基本方針において、原子力災害被災地域においては、令和3年度から当面10年間、本格的な復興・再生に向けた取組を行い、復興施策の進捗状況や効果検証等を踏まえて、第2期復興再生期間の5年目に当たる令和7年度に、復興事業全体の在り方について見直しを行う、このようにされています。
したがって、今後、復興の状況を踏まえて必要な事業を検討し、令和7年度中には、事業規模をお示ししていくことになります。
その上で、必要な復興事業の実施に支障を来さぬよう、財源確保に取り組んでいく、こうした考えであります。
そして、知見を活用する、こういった部分についてですが、1月1日に発生した令和6年能登半島地震については、東北からも温かく、心強い支援を頂戴していたこと、そして御支援を頂いていること、御礼申し上げる次第ですが、能登半島地震の対応に当たっては、この東日本大震災の経験に学ぶ、これは大変重要な取組であると思います。
例えば、物資のプッシュ型支援においても、大規模な物資集積場に物資と人員を集積し、管理を一元化することで、関係者間の連携を円滑化する、こうしたいわゆる岩手方式、能登半島においても、これは採用しています。
さらに、こうしたニーズにきめ細かく対応するために、自衛隊が避難所において御用聞き等を行い、プッシュ型の支援をバックアップする、これも東日本大震災の際に取り組まれて、そして、それを能登半島地震においてもいかしている、こういった事例であると認識しています。
復興庁では、東日本大震災に長く寄り添う中で得られた教訓、あるいは知見、これを蓄積しています。今後もこうした知見をいかしながら、復興・復旧に取り組んでいかなければならないと思います。
例えば人口減少など、東日本大震災の被災地と共通する課題への対応、これを参考事例として提供するなど、能登半島地震からの復興・復旧にもいかしていく、こうした取組も考えていきたいと思っています。
以上3点、お答えいたしました。
(春闘の集中回答日に合わせて政労使会議を開催するか、また、開催する場合はどういった内容を期待するかについて)
まず賃上げと成長の好循環、これを作っていくために、今年の春闘、これは大変重要であると認識しています。日本経済の今後を左右するものであると考えています。
こうした観点から、11月、そして1月に引き続いて、明後日13日、政労使の意見交換の場、これを開催いたします。
改めて賃上げの実現に向けて、官民の機運・連携、これを高めていきたいと思っています。そしてその際に、今後大事なのは、中小企業における賃上げであると考えています。
よって、労務費の転嫁がしっかり行われるように、公正取引委員会において強力な指針を策定する、あるいは医療・介護・建設・物流現場において確実に賃上げが行われるように、診療報酬の改定ですとか、新たな法律も用意いたしました。
そして、この税法が成立すれば、一人4万円の所得税・住民税減税による下支えも行うことになります。こうした取組を進めることによって、官民で一層連携して、物価高を上回る可処分所得、こういった状況を確実に作っていきたいと思います。
こうした取組を進めていく上でも、この機運を高める場として、この政労使の意見交換の場、これを活用していきたい、このように思っています。以上です。