ALPS処理水の海洋放出及びマイナンバー総点検等についての会見
【岸田総理冒頭発言】
今日はALPS(多核種除去設備)処理水の海洋放出及びマイナンバーの総点検等について申し上げます。まずALPS処理水についてですが、22日の関係閣僚会議の判断を受け、本日13時過ぎに東京電力がALPS処理水の海洋放出を開始いたしました。その関連で、私から2点申し上げます。
まず第1に、原子力分野における国際的な専門機関であるIAEA(国際原子力機関)が、本日ステートメントを発出し、IAEAとして独立した立場から、放出される水の分析を行った結果、トリチウム濃度は規制基準をはるかに下回っている旨、発表いたしました。またIAEAとしても、連日高い頻度での東電福島第一原子力発電所からのモニタリングデータのライブ発信を始め、国際社会が利用できる様々なデータの公表など、透明性の向上に資する取組を実施していく予定であると承知しています。またIAEAは韓国政府との間で、IAEAから最新の情報提供を行うなど、情報共有のメカニズムを開始したという報告も受けました。このように、ALPS処理水の海洋放出が、より一層透明性の高い形で行われると期待いたします。先日、福島第一原発を訪問した際には、私自身、IAEAが常駐する予定のスペースも確認いたしました。日本政府として、緊張感を持って、全力で取り組んでまいります。
そして第2は、本日発表された、中国における日本からの水産物の輸入停止についてです。先ほど中国政府が、日本産水産物の輸入を全面的に一時停止する旨を発表したと承知しています。外交ルートで先ほど中国側に対して即時撤廃を求める申入れを行いました。海洋放出の影響について、科学的根拠に基づいて、専門家同士がしっかりと議論を行っていくよう、中国政府に強く働きかけてまいります。日本政府としては、風評被害を始め、水産事業者がALPS処理水の海洋放出によって損害を受けることがないよう、基金の活用や東京電力による賠償等も含め、万全の体制を採ってまいります。
そして本日、加藤厚生労働大臣、河野デジタル大臣より、マイナンバーの総点検の現状等について報告を受けました。まずマイナ保険証に関して、一部の方の資格情報がシステムに登録されていないという課題に関して、提出された情報と住民基本台帳の情報が一致しないケースなどにより、システムへのデータ登録が保険加入から2か月を越えて完了しておられない方が、被用者保険全体で約0.8パーセントに当たる約64万人おられるとの報告がありました。私からは加藤大臣に対して、国民目線に立って速やかに、未登録者に向けてデータが未登録となっていることをお知らせするとともに、総点検と併せて11月末をめどとして登録作業を完了するよう指示をいたしました。またマイナンバーの総点検に関して、明日、点検実施機関となる自治体に対して、デジタル庁から点検マニュアルを自治体向けに発出し、自治体の個別データの点検を開始するとの報告を受けました。私から河野大臣に対し、全体の作業スケジュールを自治体、そして国民の皆様と共有し、進捗状況が国民の皆様に見える形で点検を進めるとともに、点検を実施する自治体に対して、国としてしっかりと支援していくよう指示をしたところです。国民のマイナンバーカードに対する信頼回復のためには、国民目線に立って、個々の課題に迅速に対処していくとともに、総点検とその後の修正作業の着実な実施が不可欠です。私自身、先頭に立って、自治体や保険者の方々と共にしっかりと進めてまいります。
(立憲民主党が、衆・参予算委員会での閉会中審査の開催と総理の出席を要請しているが、政府としてどのような対応を検討しているか)
御指摘の点については、国会でお決めになることです。私の方から、それについてコメントすることは控えなければならないと思います。先ほど申し上げましたように、政府としては、国民に対する説明、しっかり努力し、説明責任を果たしていきたいと思っています。
(処理水の放出をめぐりソウルの駐韓日本大使館に大学生が乱入した騒動についての受け止めと政府としての考えについて)
御指摘のように、韓国においては、大使館の入居するビルの共有部分への侵入者が逮捕される、こういった事案が発生したと承知しています。本事案を受けて、在韓国大使館から改めて現地警察当局に対し、警備強化を要請いたしました。今後も、現地当局とも協力しつつ、適切に取り組んでいきたいと考えています。以上です。
(処理水の放出についてどのような報告を受けたか及び放出が始まった時にどう過ごしていたかについて)
放出が開始されました13時過ぎの時点で、私は執務室におりました。本日予定どおり放出が始まったことについて、秘書官を通じて報告を受けた、こういった次第です。