日韓共同記者会見

更新日:令和5年3月16日 総理の演説・記者会見など

【岸田総理冒頭発言】
 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の御訪日を心から歓迎申し上げます。今週、東京では桜の開花を迎えましたが、長い冬の時期を抜けて、二国間訪問としては約12年ぶりに、韓国の大統領を日本にお迎えいたしました。尹大統領との首脳会談において、現下の戦略環境の中で、日韓関係の強化は急務であること、そして1965年の国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を更に発展させていくことで一致いたしました。
 先般、韓国政府は、旧朝鮮半島出身労働者問題に関する措置を発表しました。日本政府としては、この措置を非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価しています。その際に、日本政府は、1998年10月に発表した日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認いたしました。今後、措置の実施とともに、両国間の政治・経済・文化等の分野における交流が力強く拡大していくことを期待いたします。
 日韓関係の新たな章を開く、そのために、今回、尹大統領との首脳会談において、両国の首脳が形式にとらわれず頻繁に訪問するシャトル外交を再開させることで一致いたしました。
 また、日韓関係については、多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を活性化していくことで一致いたしました。具体的には、まずは、これまで長い期間中断していた日韓安全保障対話、日韓次官戦略対話を早期に再開すること、そして、ハイレベルの日韓中プロセスを早期に再起動する重要性について一致いたしました。また、新たに、日韓間で経済安全保障に関する協議を立ち上げることといたしました。さらに、輸出管理分野においても進展がありました。今後、各政策分野で担当省庁間の対話を幅広く推進していきます。
 また、民間の交流・協力は二国間関係を下支えする屋台骨です。今般の尹大統領の訪日を契機として、両国の経済団体が未来志向の日韓協力・交流のための基金を創設すると表明したことを歓迎いたします。政府としても、未来を担う若者の交流を引き続き支援していきます。今や両国の交流が戻り、それぞれの訪問外国人数において、日韓はお互いに最大数を占めています。今後、人的交流の活発化と関係改善の好循環が更に加速化することを大いに期待いたします。
 また、現下の厳しい安全保障環境についても、尹大統領との間で、認識を共有しました。とりわけ、今朝のICBM(大陸間弾道ミサイル)級弾道ミサイルの発射を含め、核・ミサイル活動を更に進める北朝鮮への対応については、日米同盟、韓米同盟の抑止力・対処力を一層強化し、日韓、そして日韓米3か国の間でも安保協力を力強く推進していくことの重要性を確認いたしました。北朝鮮との対話の窓は開かれているということに変わりはありません。そして、拉致問題については、尹大統領から改めて力強い支持を頂きました。
 さらに、この歴史の転換期において、自由で開かれたインド太平洋を実現する重要性について確認し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くため同志国が力を合わせていく必要性について認識を共有いたしました。
 今般の尹大統領の訪日は、日韓関係の正常化にとって大きな一歩となる訪日となりました。この後予定されている夕食会で、尹大統領御夫妻と更にじっくりお話ができることを楽しみにしております。今回の訪日を契機として、信頼と友情が育まれ、日韓関係が大いに飛躍することを期待しております。

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