日・カナダ共同記者会見
【岸田総理冒頭発言】
トルドー首相、そして、カナダ国民の皆様。新年のお祝いの余韻も残るこのタイミングで温かくお迎えいただき、深く感謝申し上げます。Thank you, Justin, Merci Beaucoup.
2016年に外務大臣として訪問して以来7年ぶりに、また総理大臣としては初めてカナダを訪問することができ、うれしく思っています。7年前の2月はオタワの厳しい寒さとカナダの皆様方によるおもてなしの温かさのコントラストがとても印象的でしたが、今回もそれは変わることはありません。誠にありがとうございます。
近年、日本とカナダの関係は著しく深化しています。両国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的な価値を共有する、インド太平洋地域の重要な戦略的パートナーです。今、国際秩序が様々な挑戦にさらされ、安全保障環境が一層厳しくなる中、国際社会全体の平和と安定の維持・強化のため、カナダとより一層連携を強めていきます。
本日の首脳会談では、まず私から日本の防衛力の抜本的強化及び防衛予算の増額の決定を含む新たな国家安全保障戦略について説明し、トルドー首相から、改めて、全面的に支持いただきました。
また、カナダが昨年11月に発表した「インド太平洋戦略」についても取り上げました。これは、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」実現に向けた日本とカナダの具体的な取組を取りまとめた、昨年10月発表の「自由で開かれたインド太平洋に資する日加アクションプラン」と軌を一にするものです。日本は、カナダが太平洋国家として地域への関与を強めていることを歓迎いたします。両国は、「アクションプラン」の着実な実施を通じてFOIPの実現に向けて連携していきます。
続いて、ロシアによるウクライナ侵略に対しては、G7が結束を維持し、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を引き続き実施していくことで一致いたしました。また、ロシアによる核の威嚇を深刻に懸念し、これを断じて受け入れられないこと、ましてやその使用は決してあってはならないことを改めて確認いたしました。
北朝鮮については、核・ミサイル活動の活発化への深刻な懸念を共有し、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に向け、引き続き緊密に連携していくことを確認いたしました。この点から、日本は、カナダによる「瀬取り」警戒監視を高く評価しています。また拉致問題への対応においても引き続き協力していくことを確認いたしました。
また、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みに強く反対することでも一致し、地域の諸課題への対応に当たり、引き続き日本とカナダが緊密に連携していくことを確認いたしました。
経済面については、「LNG(液化天然ガス)カナダ」や重要鉱物資源を含め、エネルギーや食料を含む各分野で協力関係を強化すること、また、サプライチェーン強靱(きょうじん)化や経済的威圧への対応を含む経済安全保障の分野、さらに不透明・不公正な開発金融への対処においても連携していくことで一致いたしました。
会談では、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)についても率直な議論を行い、協定のハイスタンダードを維持することの重要性を確認するとともに、引き続き両国で協働していくことで一致いたしました。
また、会談では、私から本年5月のG7広島サミットに向けたG7議長としての私の考え方を説明し、サミットの成功に向け緊密に連携していくことを確認いたしました。
G7広島サミットでは、力による一方的な現状変更の試みや核兵器による威嚇、その使用を断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くというG7のビジョンや決意を示していきます。
さらに、トルドー首相との間で、エネルギー・食料安全保障を含む世界経済、核軍縮・不拡散、経済安全保障、また、気候変動、保健、開発といった地球規模の課題などの分野でもG7が結束して取り組むことが重要との認識で一致いたしました。
7年前から多くのものが変わりましたが、変わらないものも多くあります。日本とカナダが共有する普遍的価値、そして両国が様々な分野で連携していくことの意義は、これからも変わることはないと確信しております。今回も極めて有意義な訪問となりました。心から感謝申し上げます。
本年5月にジャスティンを広島でお迎えできることを楽しみにしております。