故安倍晋三国葬儀を終えての所感等についての会見
(故安倍晋三国葬儀を終えての所感について)
一昨日、海外からの来賓を含め、4,183人の方に参列いただき、国葬儀を滞りなく執り行い、厳粛かつ心のこもった形で安倍元総理をお送りすることができました。今はただ、安倍元総理に安らかにお休みいただきたいということを申し上げたいと思っています。一般の方々からの献花は、千鳥ヶ淵に設置された献花台だけでも2万5,000人を超えました。多くの皆様から安倍元総理に対する感謝の念と不慮の死を悼む真心が広く示されました。国葬儀の葬儀委員長として、改めて感謝を申し上げたいと思います。誠にありがとうございました。今回、国葬儀には在京大使館を含め217の国と地域から首脳級・国家元首級48人を含め700人を超える来賓をお迎えいたしました。私自身、38回計42人の海外要人と個別会談を行うとともに、参列いただいた各国代表に直接感謝を申し上げる場を作るなど、世界各国から示された弔意に対して礼節をもってお応えをするよう、時間の許す限り最大限の対応を行いました。会談相手からは、世界的にも傑出したリーダーであり、その功績をたたえたいといった、安倍元総理の数々の業績をたたえ、故人をしのぶお言葉を数多く頂きました。私からは安倍元総理の残した外交的遺産をしっかりと受け継ぎ、強固な日米関係、自由で開かれたインド太平洋、法の支配による国際秩序の維持・強化など、日本外交の基軸をぶれずに貫いていくことを強調いたしました。あわせて最近の国際情勢など、多角的な意見交換の場ともなりました。安倍元総理の国葬儀は無事終わりましたが、国民の皆様から様々な御意見、御批判を頂いたことは真摯に受け止め、今後にいかしていきたいと考えております。これから年末にかけ、臨時国会、予算編成などが続きます。改めて気持ちを引き締め、山積する我が国の課題に対応するため、各種政策を進めてまいります。
(国葬儀実施後の検証をどのように進めていく考えかについて)
今後の議論に資するためにも記録を残しておくことは重要であり、先日、国会でも申し上げたように、今回の国葬儀の実施について検証を行うことといたします。まずは、幅広い有識者の方々から意見を伺い、国葬儀について論点と意見を整理するところから始めます。早急にその整理をお示しできるよう作業を進めます。その上で、国民のより幅広い理解を得て、国葬儀を執り行うにはどうしたらよいか、適切な金額や規模はどうかなど、今後の国葬儀の在り方について国民各層の御議論を踏まえて、幅広い御理解をいただいていくことができるよう、必要な検討を行ってまいりたいと考えています。
(総合経済対策の柱立て及び電気代の負担増の緩和対策について)
総合的な経済対策の策定に向けて与党とも連携して方向性を検討し、明日の閣議で具体的な柱立てを指示いたしますが、その中でも特に物価高・円安への対応、構造的な賃上げ、そして成長のための投資と改革、この3つを重点分野として思い切った対策を策定していきたいと考えています。我が国は、コロナ禍を乗り越え社会経済活動の正常化が進みつつはありますが、一方で、足元ではエネルギー・食料価格の高騰が家計を直撃し、世界の景気後退懸念が日本経済のリスク要因ともなっています。足元の物価高への対応に全力で当たり、新しい資本主義の加速による日本経済の再生、これに最優先で取り組んでいきたいと考えています。そして御質問の電気代に対する対策ですが、ウクライナ侵略を背景とする国際エネルギー危機によって、欧州の一部では、電気料金は昨年比で2倍から3倍の水準に急騰しています。我が国では、LNG(液化天然ガス)の長期安定契約ですとか一部の料金の上限制度などによって、欧州に比べて上昇幅を抑制することができましたが、それでも我が国の電気料金は昨年に比べますと、既に2割から3割の上昇を示しています。家庭にも、企業にも、深刻な負担増となっています。まずは、この深刻な負担増から国民の生活と生業を守るため、地域の実情に応じたきめ細かい対策と低所得世帯の集中的支援、これを行っています。すなわち9月20日の日に、まずは地方創生臨時交付金による6,000億規模の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、これを創設し、地域独自の取組の後押し、これを強化いたしました。そして電力・ガス・食料品価格高騰緊急支援給付金、これを創設して低所得世帯に1世帯5万円をプッシュ型で支給することを決定いたしました。これらを予備費を使う形で、既に発動することを明らかにさせていただいています。しかし一方で、この冬のウクライナ紛争の長期化をにらみ、天然ガスの市場、これは更に高騰を続けており、我が国の電力料金も一段の上昇が避けられない、こうした状況になっています。しかもその上昇が来年春以降に、料金改定あるいは契約改定の形をとって一気に2割から3割の値上げとなる可能性もある、こうした状況にあります。こういった事態を避けるために、激変緩和を目的とした新たな制度を創設し、国民生活とコストアップの転嫁が困難な企業の活動を守っていく、こういった決意をいたしました。関係各省の総力を挙げて成案を得るよう指示をしたところであります。今回の経済対策の策定プロセスの中で、与党と具体的な制度内容についてしっかり意見交換を行い、10月末の取りまとめを行い、成案を盛り込んでいきたいと考えています。
(日中国交正常化50年を迎えての受け止め及び首脳会談を行う可能性等について)
まず、本日、日中両国は国交正常化50周年を迎えました。私と習近平(しゅう・きんぺい)主席、李克強(り・こくきょう)総理との間で50周年を記念するメッセージの交換を行ったところです。現在、日中関係は様々な可能性とともに数多くの課題、また懸案、こうしたものに直面しています。同時に、日中両国は地域と世界の平和と繁栄に大きな責任を担っている次第でもあります。50年前に両国の国交正常化を成し遂げた原点を思い直し、また今後の50年も見据えながら、建設的かつ安定的な日中関係を双方の努力で構築していくことが重要であると考えています。そして御質問の日中首脳会談ですが、日中首脳会談については現時点で何ら決まっていることはありませんが、主張すべきことは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案を含め、様々なレベルで対話をしっかり重ねていく、こうした姿勢で臨んでいきたいと考えています。
(細田衆議院議長が旧統一教会との関係を認める文書を公表されたことについて)
まず、細田衆議院議長が御自身と旧統一教会との関係について説明する書面を公表されたこと、これは承知しております。そして、これは三権の長たる議長として、御自身の判断で適切に対応すべきものであると思っておりますので、コメントは控えております。細田議長は自民党会派を離れているため党の点検対象にはなっていないということでありますが、これはもう三権の長たる議長に対して、こうした事案に対する対応は、やはり自らが判断されることであると思いますし、これは立法府として、これについて判断されるものであると考えます。
(自民党総裁としての考えについて)
三権の長に対して、自民党の総裁が何か、例えば指示をするとか、何か働きかけるということ、これは三権分立の考え方からしても、他の党であっても、これはいろいろな問題を含み考えなければいけない、こういった課題ではないかと思います。三権の長の重みということを考えて関係者はそれぞれの対応を考えるべきものではないかと思っています。
(今回の国葬儀でかかった費用について今後どのように説明する考えかについて)
国葬儀の費用につきましては、式典自体の経費のほか、実施に伴い必要となる接遇費あるいは警備費、こうしたものについても既定予算で対応する中で、一定の仮定を置いた上で見込みの額を事前にお示しをしてきました。国葬儀が終了したことから、実際に要した経費の速報値については速やかに取りまとめてお示ししたいと考えています。そしてその後も、所要の手続等が終了した時点で、概数値ですとか確定値について明らかにしていきたいと考えております。