グローバルファンド第7次増資会合 岸田総理スピーチ
バイデン米国大統領、サンズ・グローバルファンド事務局長、御出席の皆様、本日、グローバルファンドの第7次増資会合に出席することができ、喜ばしく思います。私自身、2015年に、外務大臣として、東京で第5次増資準備会合を主催したことをよく憶えており、本日、グローバルファンドのファミリーに内閣総理大臣として戻ってきたことを誠にうれしく思います。
新型コロナの感染拡大から教訓を得て、感染症対策及び将来のパンデミックへの備えの強化が益々重要となる中、本日、バイデン大統領が本会合を主催されたことを高く評価いたします。
グローバルファンドは、その設立以来、エイズ、結核、マラリアの三大感染症から5,000万人以上の命を救うという、高い実績を上げ、国際保健分野で主要な役割を果たしてきました。サンズ事務局長を始めとする全ての関係者の努力と貢献に、心から敬意を表し申し上げます。
他方、我々の目標は、2030年までに三大感染症を収束することであり、残された時間は多くありません。この目標達成に向け、ドナー、実施国、民間企業、市民社会など、国際社会の全ての関係者がその力を結集することが必要です。実施国における資金動員の拡大や、世銀等による借款と組み合わせた支援等の拡充、さらには、新規ドナー、民間セクターの一層の貢献が必要です。
御出席の皆様、グローバルファンドには、これまでの三大感染症対策に加え、保健システム強化にも取り組むことが、明示的に期待されています。グローバルファンドによる保健システム強化は、将来のパンデミックへの備えにもなり、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に貢献するところ大です。我々は一丸となって取組を加速させる必要があります。
こうした考えを踏まえ、私はここに、G8九州・沖縄サミットを契機に設立されたグローバルファンドに対し、今後3年間で最大10.8億ドルを拠出するというプレッジを表明いたします。
今後、グローバルファンドの活動に関しては、日本政府や関係機関がより強いリーダーシップをもって種々の意思決定に関与し、また、日本の優れた技術やイノベーションにより、一層の貢献ができるよう取り組んでいく所存です。
明年、日本はG7広島サミットを主催します。本年5月に策定したグローバルヘルス戦略も踏まえつつ、将来のパンデミックに対する予防・備え・対応の強化に資する国際的な枠組みの強化に取り組みます。また、新型コロナで後退した感染症対策等を含む、山積する国際保健課題への対応強化のため、新型コロナを踏まえた新しい時代のUHCの達成に向け、関係者と緊密に連携しつつ、引き続き国際保健分野でリーダーシップを発揮していく所存です。
全ての関係者の緊密なパートナーシップの下、グローバルファンドの活動が今後も具体的な成果を上げ続けることを祈念し、私の挨拶といたします。今こそ、世界中の皆さんの英知と決意を結集し、誰の健康も取り残さない社会の実現に向け、大きく踏み出しましょう。ありがとうございました。