第10回CTBTフレンズ首脳級(ハイレベル)会合

更新日:令和4年9月21日 総理の演説・記者会見など

 御列席の皆様、本日はCTBT(包括的核実験禁止条約)フレンズ・ハイレベル会合にお集まりいただき心から感謝申し上げます。
 ロシアによるウクライナ侵略を契機に、核兵器のない世界への道のりは一層厳しくなっています。しかし、道のりがいかに厳しいものであったとしても、この歩みを絶ゆむことなく進めていかなければなりません。
 先のNPT(核兵器不拡散条約)運用検討会議において、最終文書案はわずか1か国の反対により採択こそされませんでしたが、今後、国際社会が核軍縮に向けた現実的な議論を進めていく上での新たな土台が示せたと考えています。また、同会議での議論を通じて、国際的な核軍縮の礎石としてのNPTの維持・強化の重要性が各国の間で強く認識されたことは、有意義であったと考えています。
 私は、先のNPT運用検討会議で核兵器のない世界に向けた現実的なロードマップの第一歩として、ヒロシマ・アクション・プランを提唱しました。CTBTの発効はこのプランを進めていく上で重要な一歩であり、国際的な議論を今一度喚起すべく、今回のフレンズ会合を首脳級で開催しようと呼びかけました。その呼びかけに応え、今日は、ニーニスト大統領、アザリ大統領、アーダーン首相を始めとする同僚の皆さんが参加してくれたことに心から感謝を申し上げます。
 CTBTの署名開放から25年となる今年、ツバル、ガンビア、ドミニカ、東ティモールの批准を得て、締約国数は174か国となりました。これは、核実験の禁止規範が世界規模で広がっていることの証左です。事実、21世紀に入ってから、北朝鮮を唯一の例外として核爆発実験は行われていません。日本は、フロイド事務局長の強いリーダーシップの下、条約の普遍化が進展していることを高く評価しています。
 御列席の皆様、今日私が訴えたいことは、次の2点です。
 第1に、CTBTの普遍化と早期発効に向けた強いコミットメントを我々が今一度明確にし、そのための具体的な努力を進めるということです。
 第2に、CTBTの検証体制を強化することです。CTBT機関準備委員会(CTBTO)の活動、とりわけ国際監視制度(IMS)の整備は、核実験を探知する極めて重要な役割を担っており、こうした国際的な監視網の重要性は一層高まっています。
 日本としても、CTBTの早期発効、そして、検証体制の強化に向けて、より一層貢献していく考えです。未締約国に対して粘り強く批准を働きかけていくとともに、特にアジア太平洋地域において、批准国・未批准国の双方に対し、条約の運用体制の整備・強化を一層積極的に支援していきます。また、我が国国内に所在するものを含め、観測施設の維持・強化を進め、国際監視制度の一層の充実を図っていきます。
 そして、日本は、来年、広島でG7サミットを開催いたします。サミットにおける議論を通じて、核兵器のない世界の実現に向けて現実的かつ実践的な取組を進めてまいります。こうした取組を更に進めていく上で、御列席の各国の協力を呼びかけたいと思います。
 最後に、本日は、CTBTOユースの代表の方々にも御参加いただきました。条約発効に向けて、あらゆる世代の主体的な関与が重要です。CTBTの早期発効を始め、核兵器のない世界の実現に向けて、共に粘り強く取り組んでまいりましょう。
 御清聴ありがとうございました。

関連リンク

これまでの総理の演説・記者会見など