岸田総理の新型コロナウイルス感染症の罹患等についての会見
(岸田総理の新型コロナウイルス感染症の罹患(りかん)について)
内閣総理大臣の岸田文雄です。皆さん御存じのとおり、私は、昨日21日に行ったPCR検査の結果、新型コロナウイルス陽性であると診断されました。一昨日20日から咳(せき)や微熱といった症状を生じ、急遽(きゅうきょ)PCR検査を行ったものです。幸いにして、感染防止策を徹底して行ってきたことから、私の同居家族以外に濃厚接触者に該当する方はおりません。そして、少し咳は出ますが、既に熱は平熱に戻り、このとおり普通に生活できていることから、医師にも相談の上、首相公邸において自宅療養を行いながら、リモートで仕事を続けることにいたしました。私は、自分が新型コロナに感染するという事態も想定し、テレワークで職務を継続できるよう、官邸と公邸との間に光ファイバーによる専用会議システムを整備させ、万が一の場合に備えてきました。こうした準備をいかし、早速、本日からリモートでの執務を開始しました。今のところ大きな不便を感じることなく仕事を行うことができています。今週の閣議にもオンラインで出席することといたしました。27日から開催されるTICAD(アフリカ開発会議)へのオンライン出席を始め、可能な限り、通常同様の対応を行っていきたいと思っています。災害対応など、危機管理についても、松野官房長官を始めとする官邸スタッフのサポートを頂きながら万全を期してまいります。このまま状況が順調に推移すれば、発症翌日から10日目となる30日まで自宅待機を続け、31日から出邸することになります。
今回、幸いにして軽症で済んでいるのは、先日、4回目のワクチン接種を行った効果もあったと考えています。高齢者の皆さんや基礎疾患をお持ちの方など、重症化リスクをお持ちの皆さんを始め、引き続き、感染防止対策、そして3回目、4回目のワクチン接種に取り組んでいただきたいと思います。足元では、3年ぶりに行動制限がなかったお盆休みが明け、引き続き、高い感染状況が続いています。引き続き、病床の確保など、保健医療体制の確保に万全を期します。医療従事者の方、保健所の方、高齢者施設の方など、エッセンシャルワーカーの皆さんにおかれては、感染症との戦いの最前線に立ち続け、大変な御苦労をされていることと思います。改めて敬意と感謝を表し申し上げます。保健所や医療機関の負担軽減については、HER-SYS(ハーシス)入力の簡素化、健康フォローアップセンターの全国整備、検査キットのOTC(Over The Counter:医師による処方箋を必要とせずに購入できる医薬品)化などを進めているところですが、更なる負担軽減策を一両日中にお示しするようにしたいと思っています。新型コロナの感染症法上の措置の見直し、水際対策の緩和など、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行についても、専門家、自治体の御意見も踏まえ、併せて早急に方向性をお示しいたします。変化する新型コロナウイルスの特性を踏まえながら、できる限り、感染防止と社会経済活動の両立を実現していくため、対応を加速させてまいります。
今回の私の感染について、国民の皆さんから頂いている様々な御指摘については真摯に受け止めなければならないと思っています。国の内外で課題が山積する中、リモートでの対応になりますが、国政に遅滞が生じることがないように全力を尽くしてまいります。
(総理の新型コロナウイルス感染症罹患を踏まえた国民へのメッセージについて及びTICADに対面で参加することができなくなったことについて)
まず、最初の質問についてですが、冒頭の発言でも申し上げましたが、今回、私自身が軽症で済んでいるのは、先日、4回目のワクチン接種を行った効果もあったんだと考えています。そうしたことから、高齢者の皆さんや基礎疾患をお持ちの方など重症化リスクをお持ちの皆さんには、引き続き、感染防止対策と併せて3回目、4回目のワクチン接種に取り組んでいただくことが重要であると感じております。そして、引き続き、政府としては、病床の確保など、保健医療体制の確保に万全を期してまいります。私たちは、これまで6回の感染の波を乗り越えてきました。その中で、日常生活、経済活動における感染防止の取組、科学的知見の積み重ね、そして、医療体制を始めとする政府、自治体の取組など、我が国全体として、対応力が強化されていると考えます。検査キットについても、十分な量が流通しており、不安のある方が自身で検査し、そして、陽性が確認されたら健康フォローアップセンターで対応する。こうした新たな仕組みについてもスタートし、全国に広がっています。例えば、札幌(さっぽろ)では陽性者の4割、そして東京、大阪では1割から2割の方が、この新しい仕組みを活用していただいていると承知しています。かねてより申し上げているとおり、過度にこの感染症を恐れることなく、変化する新型コロナウイルスの特性を踏まえながら、できる限り、感染防止と社会経済活動の両立を実現していくため、対応を加速していきたいと考えております。1問目の国民の皆さんへのメッセージという点については、以上です。
2点目のTICAD8(第8回アフリカ開発会議)に対する対応ですが、残念ながら対面でのTICAD8出席はできなくなってしまいましたが、我が国として、今回のTICAD8、これは重視しており、オンラインなどの手法を使いながら、できる限り私自身、主要行事に参加する方向で調整を行っており、外交面での影響が出ないよう万全を期していきたいと考えています。TICAD8は、パンデミック発生後初めて日本とアフリカのハイレベルで議論する重要な国際会議です。アフリカにとって日本が信頼できるパートナーであるということをしっかり示しながら、日本とアフリカ、このポストコロナの時代も見据えながら、持続可能な世界を一緒に作っていく、こうした具体策を掘り下げていく議論を行う貴重な機会にしたいと考えております。
(新型コロナウイルス感染症を季節性インフルエンザと同様の対応にしても良いのではないかという意見について及び自宅療養の経験を新型コロナ対策にどのようにいかしていくかについて)
まず、最初の質問については、新型コロナの感染症法上の取扱いを含め、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行について、専門家、自治体の御意見も踏まえて検討を進めております。そして早急に方向性を示したいと考えています。そして、私自身が新型コロナに感染したことについては、これはもちろん、新型コロナへの対応については、従来から専門家の皆さんの御意見もしっかり踏まえながら政府全体としてしっかり取り組んできたところでありますが、今回、自分自身が、こうした新型コロナに感染したことによって、より具体的に、様々な、国民の皆さんの不安や心配に思いを巡らす、そうした貴重な機会にもしなければならないと思います。是非、今回感じたことを自分自身でしっかりと受け止め、より幅広い国民の皆さんの不安に思いを巡らす、こうした努力をしていきたいと考えております。
(内閣支持率の下落について及び旧統一教会の問題について)
まず、世論調査の結果については、調査機関により、調査による数字の水準ですとか、あるいは増減の程度、これは様々でありますので、一つ一つコメントすることは差し控えますが、国民の皆さんから頂いている様々な御指摘については真摯に受け止めていかなければならないと思っています。是非、こうした国民の皆さんの様々な声、これをしっかり受け止めて、日本の直面する様々な課題に向けて全身全霊で取り組み、使命を果たしていきたいと思っております。そして旧統一教会の問題については、従来から政府として、こうした社会的に問題になっている課題において、被害に遭われている方等に対して十分対応しているのか、こういったことについてしっかりと確認していかなければならないということを申し上げています。宗教団体も社会の一員として関係法令を遵守しなければならない、これは当然のことであり、仮に法令から逸脱する行為があれば厳正に対処すること、そして法務大臣を始め関係大臣においては、悪質商法などの不法行為の相談、被害の救済に連携して万全を尽くすこと、こうした2点の指示を行ったところであります。そうした政府としての対応をしっかり点検するということが1つ大事なことであり、もう1点、国民に疑念を持たれることがないように、政治家としての責任において、当該団体との関係を厳正に見直していく必要があると考え、各閣僚、関係副大臣、また大臣政務官等にもそれぞれ点検し、厳正に見直すことを指示したところであります。この方針に基づいて、引き続き、各閣僚が適切に対応するよう、これを徹底していきたいと考えております。
(人事について)
まず、人事については、今、我が国が歴史を画するような大きな課題に直面している、こうした大きな課題に政府・与党として、しっかり対応していくためにはどういった人材が求められているのか、そういった観点から、これまでの経歴、あるいは能力、様々な点を考慮して人選を行ったということであります。そして一方で、旧統一教会に関係する様々な指摘を国民の皆さんから受けている、このことについても真摯に受け止めなければならないと思います。政治の信頼をしっかり確保するために政治家としてどう行動すべきなのか、どうあるべきなのか、こういった点から関係者に改めて自分自身をしっかりと点検していただき、そして今後の行動について明らかにしてもらわなければならないと考えています。それを今後ともしっかり徹底していきたいと思います。具体的な対応についても引き続き考えていきたいと思っています。
(旧統一教会の問題について)
まず、政府として社会的に問題を起こしている団体との関係について、改めて関係法令との関係をしっかりと確認しながら対応していく。そして、こうしたことでお困りの方に対してしっかりとした相談体制、あるいは救済体制を用意していく、こうしたことが重要であるということを申し上げています。その上で何が必要なのか。これはまず今言った取組からスタートして今後議論を深めていきたいと思います。有識者の方々の意見を聞きながら政府の対応を考えていきたいと思っています。そして政治家としての対応については従来から申し上げておりますように、自民党としては組織としてこうした団体との関係はなかったということを申し上げた上で、様々な政治家が様々な形で当該団体との関係があったことが指摘をされています。その点について、一人一人の事情は様々でありますので、それぞれの責任においてこれを明らかにし、そして説明をすることがまず基本だということを申し上げてきています。その上で、今後、団体との関係についてはしっかりと見直し、どうあるべきかを考えていく。これを政府としても徹底していくことを政府として申し上げた上で、閣僚等にその対応を求めているということであります。是非、こうした対応を徹底することによって政府が疑念を持たれることがないよう、こうした過去の説明をしっかりした上で、これから未来に向けて、こうした団体との関係については断っていただくよう徹底していくことは重要であると思っています。