令和4年度補正予算成立等についての会見
(物価高騰対策を盛り込んだ補正予算が成立したことに関する所感について)
先ほど、参議院本会議場において、総額2兆7千億円の令和4年度補正予算が可決・成立いたしました。迅速な審議に感謝を申し上げたいと思います。そして今回、補正予算の議論が必要となった、その背景には、新型コロナによる影響に加え、ロシアによる暴挙があることを改めて申し上げたいと思います。力による一方的な現状変更は、世界のどこでも起こり得る。だからこそ、あらゆる手段を講じ、次の危機を防がなければならない。この10日間、その強い覚悟で、日米首脳会談、クアッド首脳会合、そして、補正予算の審議と、全速力で取り組んでまいりました。ロシアによるウクライナ侵略を主な要因として、世界中で各国が、原油高、資源高、穀物高、そして金融資本市場の不安定化、こうした問題に直面しています。一日も早く非道な侵略をやめさせ、平和を取り戻すために、G7を始めとする国際社会が結束して対応しなければなりません。その中で、欧米では、7~8パーセント台のインフレに直面をしています。日本国内では、4月の消費者物価で2.5パーセント上昇しましたが、欧米と比較すると、相対的に低くなっています。様々な政策を講じています。ガソリン価格は、本来1リットル200円を超えるところを、激変緩和事業により168円程度に抑えています。家庭向けの電気や一部のガス料金は、上限の設定により一定の歯止めがかかる仕組みとなっています。 小麦は、ウクライナ侵略後、2割程度、国際価格が上昇していますが、国内の政府売渡価格は、侵略前の価格に基づく水準に据え置いています。家計を支援するため、基礎年金生活者の方々を含めた、住民税非課税世帯に対する10万円の給付を、2月から3月にかけて行っています。また、子育て世帯に対する5万円の給付は、5月末から、順次、支給が始まっています。こうした取組に加え、さらに地方創生臨時交付金に1兆円の枠を創設し、地域の実情に応じ、自治体と協力しながら、電気・ガス料金高騰などでお困りの家庭や事業者への支援、給食費の負担軽減などを行います。輸入小麦から米粉、国産小麦等への切り替え、戦略物資の安定供給確保、そして中小企業の価格転嫁の円滑化対策なども進めてまいります。そして、雇用調整助成金の特例措置を、9月まで3か月間延長することといたしました。今般の補正予算では、4月に策定した緊急経済対策の一環として、引き続き9月までガソリン価格を抑えるための燃料油価格の激変緩和事業のほか、今後の自然災害、新型コロナの感染再拡大、物価の更なる高騰など、夏の間に不測の事態が生じても、迅速に対応できるよう、予備費計5.5兆円を確保いたしました。
インバウンドについても一言申し上げます。6月10日から、外国人観光客の受入再開に先立ち、実証事業の結果を踏まえた、外国人観光客受入対応に関するガイドラインを6月7日に公表いたします。6月中の新千歳、那覇空港再開に加え、今後も、例えば仙台など、他の地方空港についても、地元自治体と調整した上で、順次、国際線受入再開を進めてまいります。円安によるメリットを受けられるインバウンド再開は、地域経済にとっても大きな意味があると考えます。岸田政権は、このように、今般の原油・食料価格の高騰等に対し、昨年11月の79兆円の経済対策、今年4月の13兆円の総合緊急対策、そして、今般の補正予算と切れ目なく対策を講じてまいります。今後も、厳しさを増す国際情勢に毅然と対応するとともに、国民生活を守り抜くために全力を尽くす覚悟です。
(規制改革や規制緩和を今後行っていく考えがあるかについて)
もちろんです。従来から申し上げています、そうした成長のエンジン、これを全開させるためには、政府として、呼び水となる財政出動も必要でありますが、併せて規制緩和、そして税制改正、こうした取組を進めて環境整備を行うことが重要であると考えています。これから新しい資本主義について、グランドデザイン、そして実行計画、これを与党ともしっかり調整した上で、閣議決定していきたいと思いますが、それを実行する際に今申し上げた政府の取組、民間の資金を思い切って投入するためにその呼び水となる財政出動や税制改正、規制改革、しっかり政府としても行っていきたいと考えています。
(札幌地裁が泊原発の運転差し止めを北海道電力側に命じた判決に対する受け止めと政府の今後の原子力政策について)
判決に対する受け止めは御案内のとおり、今回の判決は民事訴訟の判決でありますので、民事訴訟の判決に政府の立場から何かコメントするのは控えなければならないと思います。ただ、政府の原子力に対する政策は、従来から申し上げておりますように、再稼働については安全第一で、原子力規制委員会の新規制基準に基づいて、安全が確認されたものを、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく、こうしたものであり、これは従来と変わっておりません。