福島県訪問等についての会見
(東北の復興の現状に対する認識及び今後の原発政策について)
まず、本日、福島県が主催されました追悼復興祈念式に出席をさせていただき、災害でお亡くなりになられました多くの方々に思いを馳(は)せ、そして、私自身、この復興に対する決意を新たにさせていただいた、こういった次第です。そして、今の状況についてどう考えているかという御質問の部分に関しては、震災から11年を迎える中、多くの関係者の皆様方の御努力によって、復興は着実に進展をしていると感じる一方で、心のケアを始めとする様々な課題も残されている。特に福島においては原子力災害からの復興・再生に臨まなければいけない。これは中長期的な対応が今後とも求められている、こうした状況にあると認識いたします。今後とも被災地の皆様方の声をしっかり受け止め、そして質問の中でも触れていただきましたが、「東北の復興なくして日本の再生なし」という思いを今一度しっかり噛(か)みしめて、強い決意で政府一丸となって復興に臨んでいきたいと思っています。
そして、原子力発電について、どう考えるかという御質問の部分に関しては、原子力発電については、いかなる事情よりも安全性、これは最優先されなければならないと考えています。原子力規制委員会の新規制基準に適合すると認められた場合に限り、地元の理解を得ながら活用していく、これが原子力発電における基本的な考え方です。この部分はこれからも変わらないと思っております。
(原子力政策を進めてきた国の責任、復興拠点外の帰還困難区域の避難指示解除及び来年に予定するALPS(多核種除去設備)処理水の海洋放出への対応並びに被爆地出身の首相として原子力災害について思うところについて)
まず、福島においては、本格的な復興が始まっているものの、今なお多くの方々が、ふるさとに帰ることができず、避難先で生活を強いられている、大変な御苦労をおかけしていること。これは忘れてはならないと思っています。この春から特定復興再生拠点区域の避難指示解除が順次見込まれる中、区域外については、被災者の皆様の意向を丁寧に伺いながら、2020年代にかけて、帰還を希望する全ての住民の方々にお戻りいただけるよう、しっかりと取り組んでいかなければならないと思っています。
そして、ALPS処理水について御質問がありました。ALPS処理水の処分については、IAEA(国際原子力機関)の協力も得つつ、安全性を確保し、国内外に分かりやすい形でこの安全性等を伝えていき、そして安心を感じていただく、こうしたことが大事であると思っていますし、また、風評被害は生じさせないとの決意を持って風評対策にも政府を挙げて全力で取り組んでいきたいと思います。
そして御質問の中で、国の責任についてどう考えるかという部分がありましたが、正に今申し上げたことについて、国が前面に立ってしっかり取り組んでいく、そのことによって国の責任を果たす、これが重要であると認識をしています。
そして、原子力災害についてどう考えるかという部分については、原子力災害については二度とこうした事故は起こしてはならない、そうした思いで原子力の安全確保に取り組んでいかなければならないと思っていますし、また、復興の前提となる廃炉、この廃炉についても、国が前面に立って安全かつ着実に進めていくことが重要であると認識をいたします。福島の本格的な復興・再生、着実に進んでいくよう、必要な対応を政府としてもしっかりと講じていきたいと考えています。