北朝鮮による弾道ミサイルの可能性があるものの発射事案等についての会見
(北朝鮮による弾道ミサイルの可能性があるものの発射事案について)
北朝鮮のミサイル発射について申し上げます。先ほど、北朝鮮が弾道ミサイルの可能性があるものを発射いたしました。この事態を受けて私より、情報収集・分析に全力を挙げ、国民の皆さんに対して、迅速・的確な情報提供を行うこと。航空機・船舶等の安全確認を徹底するということ。そして不測の事態に備え、万全の態勢をとること。この3点の指示を行いました。
先日、北朝鮮は弾道ミサイルを発射し、それについて、国連安全保障理事会において、対応が協議されたところです。こうした事態において、北朝鮮が継続してミサイルを発射しているということは極めて遺憾なことです。
政府としましては、これまで以上に、警戒、監視を強めているところでありますが、いずれにせよ、この発射の詳細については、今早急に分析を行っているということであります。分析した結果、明らかになったことがあれば、できるだけ早くお知らせしたいと思っております。
(岸田政権発足100日目を迎えたこと及び新型コロナウイルスの現在検討している対策について)
まず就任100日の受け止めですが、総理大臣に就任してから100日がたちました。総裁選挙、第1次内閣の組閣、そして総選挙、第2次内閣の組閣、そして経済対策の取りまとめ、さらには補正予算、息つく間もなく駆け抜けてきた、こうした感想を持っています。この間、新型コロナ対応、そして日本経済再生、外交・安全保障、目まぐるしく変わる国内外の情勢に、機動的に対応しながら、スピード感を持って、山積する課題に一つ一つ決断を下し、そして対応してきた、このように振り返っています。
中でも国民生活に大きな影響がある新型コロナ対応は一瞬たりとも気を抜くことができない、政権の最重要課題として取り組んできたところです。足元、全国のオミクロン株を含めた感染者数の増加が見られ、先日、3県にまん延防止等重点措置を適用しました。そうした中、新型コロナ対応の基本姿勢について、今日、改めて申し上げさせていただきたいと思います。
基本姿勢ということですが、まず、G7で最も厳しい水際対策により、オミクロン株流入を最小限に抑えつつ、国内感染の増加に備える時間を確保できました。内外のオミクロン株の感染状況の差は明らかであり、水際対策については、人道上、国益上の観点から必要な対応を行いつつ、当面の対応として、2月末まで現在の水際対策の骨格を維持いたします。その上で今後オミクロン株対策の重点を、更に国内対策へと移していきます。
このため、この3連休中に専門家の皆様との意見交換を含め、協議を続けてまいりました。オミクロン株については分からないこともまだ多いのですが、専門家の皆様からは、昨日、感染力が高い一方、感染者の多くは軽症・無症状であり重症化率は低い可能性が高いこと、また潜伏期間が短いこと、一方で、高齢者等で急速に感染が広がると重症者が発生する割合が高くなるおそれがあることなどの分析が報告されました。今後、オミクロン株の感染力の強さによって、当面、地域によって感染者数が急激に拡大する可能性があります。しかし、重症化率が低い可能性も踏まえ、皆様には、過度に恐れることなく、マスク着用、手洗い、3密の回避、アルコール消毒の徹底など、冷静な対応をお願いいたします。
これまでの航空機内での感染の状況を見たときに、冬場での換気の重要性についても、専門家の皆様から指摘があったところです。政府としては、こうした新たな変異種の発生も念頭に、既に昨年11月の「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」や、令和3年度補正予算において、医療提供体制の拡充、ワクチン・経口薬の確保に向けた各種の対応を採ってきています。引き続き国民の命を守ることを第一に、重症者や中等症の患者、あるいはそのリスクの高い方々に的確に医療を提供することを主眼に置いて、これまで第6波に備えて準備してきた医療体制をしっかりと確認し、強化していきます。
医療体制については、昨年末、各自治体に第6波に備えた準備状況について、自己点検することを依頼いたしました。先日のまん延防止等重点措置の発動に当たっては、3県についてその結果を公表し、医療提供体制の確保に万全を期していただくことといたしました。特に感染拡大が著しい沖縄県については、国のリエゾンチームを派遣いたしました。また、要請があれば明日にも、ひっ迫している医療現場に自衛隊の看護師も派遣いたします。その他の都道府県についても、点検結果を12日に公表いたしますが、全体像に基づく計画に定めた、即応病床数の確保は順調に進んでおります。さらに、今後の鍵となる在宅・宿泊療養に対する地域の医療機関数は、全国で1.6万、計画を更に3割上回る体制が準備できました。このように体制強化を図った上で、稼働状況の見える化を強化し、これをしっかりと動かしていくことが今後の対応の基本です。
その上で、感染が想定を更に超えて急拡大した地域において、病床がひっ迫するような緊急事態になることのないよう、国民に症状に応じた的確な医療を提供するため、オミクロン株の入退院基準などについて、先進諸国の取組も参考にしながら、科学的知見の集約を急ぎ進め、対応を示してまいります。
予防・検査、早期治療の強化も、引き続き重要です。今後、感染の急拡大が確認された地域では、在宅療養が増加することが予想されます。しかしオミクロン株による重症化率が低い可能性が高いことに加え、昨年の夏と状況が大きく異なるのは、在宅療養の即応体制を強化したことと、飲める治療薬の存在です。メルク社の経口薬は、1万5千の医療機関、薬局が登録し、その約半数に2万人分をお届けしています。作用の仕組みが異なるファイザー社の経口薬についても、月内に購入に関する最終合意をし、2月中できるだけ早く実用化を目指してまいります。
ワクチンについては、1月、2月に山場を迎える、3,100万人を対象とする3回目接種の前倒しについて、各都道府県における大規模接種会場の設置や、接種場所の更なる確保などを通じて、ペースアップを要請いたします。めどが立った自治体は、市中にある全国900万回分の未使用ワクチンなども活用して、高齢者接種を更に前倒しいたします。さらに3月以降は、今般追加確保したモデルナ1,800万人分を活用して、一般分についても前倒しいたします。国としても、自衛隊による大規模接種会場を設置するなど、自治体の取組を後押ししてまいります。
オミクロン株は、若年層やお子さんの感染も多く見られます。12歳以上の若い方で、まだワクチン接種をしていない方は、是非接種をお願いいたします。なお、これまでワクチン接種の対象となっていなかった12歳未満の子供について、薬事など必要な手続を経て、希望者に対してできるだけ早くワクチン接種を開始いたします。
感染者数が増加すると、各種の調整にあたる保健所、自治体業務の負荷が重くなります。ITも活用した保健所に頼らない重層的ネットワークの整備を、医師会、薬剤師会、看護協会にお願いしました。今夕、各都道府県知事にも私から直接依頼いたします。各知事、医療関係者と緊密に連携し、ワンチームで早急に体制整備を進めていきます。保健所についても、体制強化を図るとともに、オミクロン株の感染が急拡大した地域においては、積極的疫学調査の重点化、ゲノム解析等のサーベイランス体制への転換など、科学的根拠に基づき、業務の合理化を図りながら、必要な即応体制を確保いたします。
感染者数の増大に伴って、仕事を休まれる方や休校が増えています。社会活動の維持の観点から、企業・自治体におかれては、前広にテレワークの拡大など、BCP(業務継続計画)の準備を進めていただくようお願いいたします。学校でも、休校時におけるオンライン授業の準備を進めています。入試については、追試、再追試などにより入試機会を確保するとともに、4月以降の入学を可とするなど、柔軟な対応を要請いたします。
最後に、米国との間では先般、必要不可欠な場合以外の外出を認めないなど、在日米軍の感染拡大防止措置の徹底について共同発表を行いました。在日米軍の駐留に関する保健衛生上の課題に関し、日米地位協定に基づく日米合同委員会において、日米間でしっかり議論してまいります。
重症化率が低いとされるオミクロン株ですが、感染者数が大きく増大すると、どうしても重症者の絶対数が増え、医療への負荷が増します。まだ分からないことの方が多いオミクロン株です。今後、あらゆる状況変化に柔軟に対応することが重要です。引き続きオミクロン株の特性に関する科学的知見集約を進め、専門家や都道府県知事、医療界、そして国民の皆さんとよく相談し、必要に応じ、臨機応変に対応を変更してまいります。
重要なことは国民の命を守り抜くことです。未知なるウイルスとの戦いですが、十分な備えをした上で過度に恐れることなく国民皆で協力して、この状況を乗り越えていきたいと思います。医療現場を守るため、社会経済活動を維持していくため、改めて、マスク、手洗い、3密の回避、そして換気などの基本的感染防止策の徹底をお願いいたします。
本日は、新型コロナ対応の基本的姿勢について、私から述べさせていただきましたが、具体的には、この後関係閣僚から会見で説明してもらいます。事実関係等に関する問合せについては、各大臣にお聞きいただきますようお願いいたします。