内閣総辞職に当たっての内閣総理大臣談話

更新日:令和6年10月1日 総理の指示・談話など

令和六年十月一日
閣議決定

 本日、岸田内閣は総辞職いたします。

 三年前の内閣発足以来、我が国が「時代の転換点」に直面する中、先送りできない課題に正面から向き合い、経済、社会、外交の各分野において、「変化を力にする」取組を着実に進めてきました。

 経済の再生が岸田政権の最大の使命である。この強い思いの下、就任以来、「新しい資本主義」を掲げ、成長と分配の好循環、賃金と物価の好循環の実現に向け、全力で取り組んできました。世界的な物価高騰に直面しながらも、多くの皆様の御協力によって、日本経済は、過去三十年間続いたデフレ型経済から抜け出し、成長型経済に移行していく千載一遇のチャンスを迎えています。さらに、カーボンプライシング、GX経済移行債の導入、原子力の活用推進など、エネルギー政策の転換についても、大きな結果を出すことができました。

 日本社会の最大の課題である人口減少問題に対しては、二〇三〇年代に入るまでが、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであるとの認識の下、約三・六兆円規模に及ぶ、前例のない規模で、こども・子育て支援を抜本的に強化しました。また、「デジタル田園都市国家構想」や「デジタル行財政改革」を掲げ、人口減少に打ち勝つためのデジタル社会への変革にも取り組んできました。

 ロシアによるウクライナ侵略など、世界各地で深刻な事態が多発し、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものとなりました。岸田政権では、国民生活の安全と繁栄の確保、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のための外交を積極的に展開するとともに、五年間で四十三兆円の防衛予算を確保し、外交力の裏付けとなる防衛力の抜本的強化にも取り組みました。さらに、安全保障の裾野が経済・技術分野に拡大する中、経済安全保障分野における取組も大きく進展させることができました。

 能登半島地震はじめ、自然災害による度重なる被害も発生しました。被災された方々が一日も早く元の生活を取り戻せるよう、政府一丸となってしっかりと対応してまいります。

 この間、国民の皆様から賜った御理解と御協力に、改めて心より御礼を申し上げます。

 一人一人の国民の声に寄り添う、「信頼と共感」を得られる政治を実現する。これが岸田政権発足の原点であり、一貫して持ち続けてきた決意でした。こうした中、自民党の政治資金をめぐる問題に端を発し、国民の政治への信頼を揺るがす事態を招いたことは遺憾であり、説明責任を果たすべくつとめるとともに、再発防止にも全力で取り組みました。先の国会では、各党・各会派による真摯な議論を経て、改正政治資金規正法が成立しましたが、政治改革に終わりはなく、引き続き取り組んでいかなければなりません。

 我が国は、内外共に正念場を迎えています。今後、新たな内閣の下で、日本の未来を切り拓く重要政策が力強く進められることを願ってやみません。どうか、次なる内閣、新総理に対しても、皆様の御支援をお願いいたします。

 ありがとうございました。