「海の日」を迎えるに当たっての内閣総理大臣メッセージ
令和6年の「海の日」を迎えるに当たり、心からお慶(よろこ)び申し上げます。
四方を海に囲まれ、世界第6位の広大な管轄海域を有する我が国にとって、経済社会の存立と成長の基盤として「海」を活(い)かしていくこと、そして、人類の存続基盤として「海」を継承していくことは、非常に重要なテーマです。
海の恵みを子孫に引き継ぎ、海洋立国を実現するためには、海洋人材の育成・確保が重要ですが、こどもや若者の皆さんに、海に親しみをもってもらい、海洋開発、海運・造船などの海に関わる産業の魅力などに関心をもってもらうため、「海の日」が良い機会となることを願います。
我が国は、国際物流の99.6%を海運に依存していますが、国際海運におけるシーレーンは世界共通の重要な財産であり、各国や国際機関等と緊密に連携し、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の維持・発展を図ります。
私が本部長を務める政府の総合海洋政策本部において、本年4月に、新たに、「海洋開発等重点戦略」を決定いたしました。府省横断で取り組むべき重要ミッションを実現するための本戦略に基づき、海洋の開発・利用を、政府一丸となって強力に進めてまいります。
また、小笠原海台海域の大部分において、国連海洋法条約に基づく我が国の延長大陸棚を設定する政令案を閣議決定いたしました。これにより、この海域において、我が国が、天然資源の探査及び開発のための主権的権利を行使するのに必要な国内手続が完了しました。
加えて、物流「2024年問題」への対応として、内航海運がモーダルシフトの受け皿としての役割を果たすことができるよう、本年2月に決定した「2030年度に向けた政府の中長期計画」等に基づき、取組を進めてまいります。
政府として、産学官の英知を結集し、「総合的な海洋の安全保障」、「持続可能な海洋の構築」や、「海洋人材の育成・確保」等を通じた海洋立国の実現を目指して、海洋政策の変革に取り組んでまいります。
最後に、海のもたらす恩恵に感謝するとともに、海洋国家・日本、そして世界の、益々の平和と繁栄を願い、海洋政策を着実に進めていくことをお約束申し上げ、本年の「海の日」のメッセージといたします。
令和6年7月15日
内閣総理大臣・総合海洋政策本部長 岸田文雄