ライシナ東京・ラウンドテーブル 岸田総理ビデオメッセージ

更新日:令和6年3月7日 総理の指示・談話など

 御出席の皆様、国際社会より高い名声を誇るオブザーバー・リサーチ基金(Observer Research Foundation)、株式会社国際協力銀行及び経済同友会との共催により、ライシナ東京・ラウンドテーブルが開催されましたこと、心からお祝い申し上げます。そして、インドを始め、世界各国からお集まりいただいた皆様、東京へようこそおいでくださいました。
 国際社会は、今、歴史の転換点にあり、世界の一体化を目指してきた流れとは異なる動きも生じています。中でも、グローバル・サウスと呼ばれる諸国の成長は大変目覚ましく、その中核的役割を果たすインドには多方面から注目が集まっています。昨年はG7及びG20の議長国として日本とインドが緊密に連携して世界的な課題に対処してきました。モディ首相及びジャイシャンカル外務大臣の力強いリーダーシップの下、G20が成功裏に進められたことを大変うれしく思います。
 一方で、日印両国の位置するインド太平洋地域の安全保障環境は急速に厳しさを増しています。こうした厳しさと複雑さを増す国際情勢の中で、私は、自由、民主主義、法の支配といった価値や原則を重視しながら、未来への理想の旗をしっかりと掲げつつ、したたかで、徹底的な現実主義を貫く「新時代リアリズム外交」を展開していく決意を表明しています。
 「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のコンセプトは、2007年の安倍元首相のインドでのスピーチから始まったものです。その後もFOIPの考え方は様々な声を受けて、柔軟な形で発展してきました。各国の声に育てられたFOIPは国際社会を分断と対立ではなく協調に導くものです。
 私も昨年インドを訪問し、現在の課題を踏まえ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、平和の原則と繁栄のルール、インド太平洋流の課題対処、多層的な連結性、「海」から「空」へ拡がる安全保障・安全利用の取組が新たな重要な柱となることを紹介しました。さらに、この実現のため、開発協力メニューの見直しや、国際協力銀行法の改正などを通じた更なる民間資金の動員を可能とするべく、政府一体となった取組を進めています。
 また、日米豪印(クアッド)の連携については、4か国の首脳が定期的な会合を重ねることで、協力関係を次のステップにつなげたい、と考えています。首脳会合はもとより、外相会合などを重ねることで、FOIPの実現に向けたインド太平洋地域での4か国の結束を固め、21世紀型のグローバル・ルール作りに取り組んでまいります。
 先ほど触れた新たなFOIPの柱である「多層的な連結性」には、国家レベルだけではなく、「人」に着目したアプローチとして「知」の連結性も含まれます。
 この場にお集まりいただいた皆さん、会場での活発な議論を通じ、「知」の連結性を深めていただき、インド太平洋地域の更なる発展に貢献されることを祈念し、私の挨拶とさせていただきます。御清聴、ありがとうございました。