「海の日」を迎えるに当たっての内閣総理大臣メッセージ
令和5年の「海の日」を迎えるに当たり、心からお慶(よろこ)び申し上げます。
四方を海に囲まれ、世界第6位の広大な管轄海域を有する我が国にとって、経済社会の存立と成長の基盤に「海」をいかしていくこと、そして、貴重な人類の存続基盤として「海」を継承していくことは、非常に重要です。
政府は、4月28日、向こう5年間の海洋政策の指針となる「第4期海洋基本計画」を閣議決定しました。「総合的な海洋の安全保障」と「持続可能な海洋の構築」を大きな2つの柱として位置付け、産学官の英知を結集して、海洋政策の大きな変革を進めていきます。
具体的には、防衛力や海上法執行能力の強化などを進め、我が国の領海等における国益の確保を図ります。また、各国と連携し、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の維持・発展を図ります。合わせて、経済安全保障の観点から、海洋資源の産業化・商業化の促進や、自律型無人探査機(AUV)等の先端技術の育成と社会実装等に取り組みます。
脱炭素社会の実現に向けても、海洋のポテンシャルを最大限有効活用していきます。洋上風力発電の排他的経済水域への拡大に向けた法整備や、国産化に向けた技術開発、CO2の回収・貯留(CCS)の事業開始に向けた環境整備等を推進します。
さらに、適切な海洋保護区の設定等による海洋環境の保全や、水産資源の適切な管理、極域を含めた全球観測の実施、北極域研究船の着実な建造等による科学的知見の充実等にも取り組みます。
最後に、海のもたらす恩恵に改めて感謝するとともに、海洋国家・日本、そして、世界のますますの平和と繁栄を願い、海洋政策を着実に進めていくことをお約束申し上げ、「海の日」のメッセージといたします。
令和5年7月17日
内閣総理大臣・総合海洋政策本部長 岸田文雄