食料安全保障シンポジウム 岸田総理ビデオメッセージ

更新日:令和5年4月22日 総理の指示・談話など

 本日ここに、食料安全保障シンポジウムが開催されるに当たり、一言御挨拶申し上げます。
 現在、人口増加に伴う食料需要の増加に加え、気候変動による食料生産の不安定化、また、ウクライナ情勢を受けた穀物価格の高騰とサプライチェーンの混乱によって、世界規模での食料危機が生じており、食料安全保障の強化は緊急の対応が必要な世界の重要課題です。
 そして、食料安全保障の強化には、持続可能な食料システムの構築が欠かせません。
 我々のすべての経済活動、とりわけ食料生産は、豊かな自然の恵みの上に成り立っており、持続的な食料の生産には、生物多様性の保全が不可欠です。一方で、食料システムは、生物多様性の損失に最大で80パーセント寄与していると指摘されており、持続的な食料生産と生物多様性の保全の両立は、全世界共通の課題です。昨年12月の生物多様性条約COP15(生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議)でも、いわゆるネイチャーポジティブに向けて緊急の行動を呼び掛ける、新たな目標が採択されたところです。
 その中で、我が国は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立の実現に向け、みどりの食料システム戦略に基づき、調達、生産、加工・流通、消費に至る食料システム全体の変革に取り組んでいます。これは、アジア・モンスーン地域の持続可能な食料システムのモデルとして提唱しているものであり、世界のより良い食料システムの構築に向けて積極的な役割を果たしてまいります。
 我が国が、これら地球規模の課題へのG7による対応に主導的役割を果たしていく中で、G7サミットが開催される広島において、食料安全保障と生物多様性の両立に関するシンポジウムが開催されることは、誠に意義深いものと考えます。
 結びに、シンポジウムの成功と皆様の御健勝を祈念しまして、私のお祝いの言葉といたします。