超高齢社会の課題を解決する国際会議 岸田総理ビデオメッセージ
内閣総理大臣の岸田文雄です。本日から2日間、世界の産学官の第一人者の皆様を集め、「超高齢社会の課題を解決する国際会議」が開催されますことを、心よりお慶(よろこ)び申し上げます。
私は、「新しい資本主義」という経済政策を掲げています。「新しい資本主義」は、日本が直面する社会課題を成長のエンジンへと転換することで、力強い成長を実現しながら、我々の経済社会を持続可能で包摂的なものへとアップデートさせていくための政策イニシアティブです。
改めて申し上げるまでもなく、超高齢社会は、日本が克服していかねばならない喫緊かつ最も重要な社会課題であり、この問題にどの様に向き合っていくか、この社会課題を、日本の成長、あるいは、持続可能性や包摂性にどのようにつなげていくか、という問題は、新しい資本主義の中核的な課題でもあります。
今年のカンファレンスでは、高齢者を「新しい資本主義」の主要プレイヤーとして捉え、超高齢社会の課題解決とより良い未来実現のためのアイデアを考えていくと伺っております。
まさに、私と同じ問題意識であり、この機会に、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が行われ、未来に向けたアクションにつながることを大いに期待しております。
我が国は、世界最高水準の平均寿命を達成し、人類の誰もが願う長寿社会を現実のものとしました。
そんな日本が目指すべきは、健康長寿という個人の幸せの追求が、経済社会全体の活力につながる社会であると考えています。
鍵を握るのは、高齢者が年齢にかかわりなく、その希望に応じて意欲・能力を十分に発揮し、活躍できる環境整備です。
高齢者による就労などの社会参画は、個人の疾病予防・健康維持にも寄与するとも言われています。「健康で長生きしたい」、「年をとっても働き続けたい」。そうした高齢者の希望をかなえることで、人口減少という逆風の中にあっても、活力ある経済社会を創り上げてまいります。
デジタル社会構想会議などの委員にもご就任いただいている若宮正子さんは、80歳を過ぎてから、コンピューターを学び、ゲームを開発し、世界中から注目を集められました。若宮さんの例のように、私のような世代も含めた、あらゆる方が、リスキリングを行い、それを通じて、自らの希望する職業に就くこと、そして、生産性の向上、賃上げを実現していくことが重要です。
「人への投資」の施策を抜本強化し、国民全体がリスキリングに取り組む機運をしっかりと醸成していきたいと考えています。
最後に、この超高齢社会、高齢化の問題は、日本固有の問題ではなく、世界共通の課題だということを強調したいと思います。日本は、世界で最も早くこの問題に向き合わなければならない国です。だからこそ、大変困難な道のりではありますが、超高齢社会の下で、力強く成長を続ける持続可能な経済社会を創り上げるという挑戦を成し遂げ、我が国、そして、世界の未来を切り拓(ひら)いていきたいと思います。
結びに、本日御参加の皆様の御健勝と益々の御活躍、そして、本会議の成功を心より祈念し、私のメッセージとさせていただきます。